強制結婚させられた相手がすきすぎる

番外編、〇〇とゆい

はとことゆい 1

「じゃあ一週間よろしくね、圭ちゃん。
零さんもほんと、急に押しかけちゃってごめんね…これ生活費なんだけど、足りなくなったら立て替えて貰えると助かる…！」
じゃあみんないい子にね、と言って、圭吾の従兄弟は足早に去っていった。
「零、ほんとごめんね、妊娠中なのに…」
圭吾の従兄弟は零と同じ子どもを産める男性で、シングルマザーだ。
一人で仕事と家事育児をしており、
今回の出張が急に決まったため、子どもの預け先が見つからず、花嶺家に頼み込んだのだった。
「いえいえ、ゆいと遊んでくれる子達が来てくれて、うれしいですよ。
それにみんな、かわいいですし」
従兄弟の子は上から五歳の長女、三歳の長男と二人いる。
「この子がそらちゃん、五歳。
それでこの子がまおくん、四歳だね」
二人は、
「よろしくおねがいします！」
と元気よく挨拶をする。
圭吾と零の息子、ゆいも二人に続いて、
「おねがいしま～す」
と張り切っている。
「じゃあ、お昼はみんなでたこ焼きパーティーしようね。
そらちゃんとまおくんはおてて洗って、
お荷物は圭吾さんに預けてね」
零が言うと、二人ははーい！とこれまた元気よく返事をし、圭吾に荷物を預けた。
「ほんとにいい子たちですね」
圭吾は二人の荷物をお客様用の衣装ケースにしまいながら、
「翔くん、あの子たちが礼儀で一人親を馬鹿にされないようにって色々教えてるみたい」
と言った。
従兄弟、翔の旦那は二年前に病気で亡くなった。
と、表向きではそう言っているみたいだが、圭吾のみが知る情報として、
旦那の浮気が原因で翔が離婚届を書かせた後に追い出したと聞いている。
翔は強制結婚を拒み、塾講師だった元旦那と駆け落ちをした。
親戚とはとうに縁を切っていて、その中でも唯一繋がりを残していたのが圭吾だ。
「そっか…じゃあ今回預けるのも悔しかったんじゃないかな。
一人で全部やろうって思ってるなら…」
でも頼ってくれてうれしいね。
と零はたこ焼きパーティーの準備を始める。
零は第二子の妊娠５ヶ月を迎え、安定期に差し掛かっている。
ゆいを妊娠していたこともあり、お腹は一人目よりも膨らみやすい。
「零、これ出すね」
圭吾は重いホットプレートを出し、
たこ焼き用のプレートを設置する。
ありがとうございます、と零は生地を作り、野菜やたこ、そして子ども用のウインナーを刻んでいる。
「わあ！これたこやきのやつ？」
そらがプレートを覗き込み、うれしそうに聞いている。
「そうだよ、これでたこ焼き作ろうね」
圭吾はそらとまお、そしてゆいを椅子に座らせ、
「熱くなるから絶対に触らないでね」
と言った。
零が材料を運ぼうとすると、すかさずそらが立ち上がり、
「そらがはこぶ」
とお手伝いをしてくれた。
お姉ちゃんに続いて、
「まおくんも！」
とまおがウインナーを運び、
それに影響され、ゆいもお手伝いをしてくれた。
「まますっごい助かったよ～、みんなありがとね」
圭吾は折りたたみ式の椅子を持ってくると、お誕生日席にそれを置き、座った。
「ふふ、圭吾さんちいさくなった」
普段座る椅子より低い椅子に座り、圭吾の長い足は膝が上に持あがる形で座りにくそうだ。
「僕変わりますよ、食べづらいでしょう」
零が立ち上がろうとするが、
「いやいや、これで転んで赤ちゃんと零に何かあったら困る」
と、零を止めた。

「おいしかった～ごちそうさまでした」
4人は食べ終えると、次々にお皿を洗い場へ運ぶ。
零は途中でお腹が苦しくなったので、片付けと3人のことを圭吾に任せ、寝室で休んでいた。
隣には、心配そうにももたが寝そべっている。
「まま寝てるから、起こさないようにみんなで公園行こうか」
圭吾が提案すると、3人は静かに靴を履き、遊び道具を持って外に出た。

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新キャラを書くとついつい説明やらなんやらで長くなりがちです。
ちなみに、翔は強制結婚を拒んだことにより罰金を支払っています。(10万円程度)
それでも一緒になりたいと駆け落ちした旦那に浮気され、一人で子どもたちを育て、なかなかすごい人ですね。
幸せに暮らす圭吾と零を見ても、
「圭ちゃんが幸せそうでうれしいわ～」
と素直に喜べる綺麗な心の持ち主です。

さて、こちらもまだ続きそうですね。
恐らくあと一話か二話くらいで終わると思いますが、色んなものを好きなだけ書きすぎて読んでくださる方を混乱させていないかと不安です。