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もしものふたり

朝七時、コンビニで

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※もしものふたり の世界線です。
今回は零目線の話になります。
_______

毎朝、大学前に働くコンビニで必ずブラックコーヒーを買って行く彼。
自分の担当するレジに、コツンと音を立て、缶コーヒーを差し出す。
「お願いします」
最初は、丁寧な人だなあ。なんて思っていた。
コンビニには色々なお客様が訪れる。
明らかに店員が年下だとわかると、
横柄な態度をとる客。
小銭を落として慌てる客。
丁寧にお願いしますと言う客。
番号で言えばいいのに、銘柄で伝わらないとキレる客。
その誰もが、生活をしている。
この人は、どんな生活をしているのだろうか。
こんなに丁寧で、疲れないのだろうか。
彼を見る度、彼のレジを担当する度、
そうやって色々と考えてしまう。
ある時彼がいつも飲むブラックコーヒーを買って飲んでみたが、思った通り苦い。
苦い上に、不味い。
苦味の中に旨みがあるとか、そういうの、ないな。
彼の生活が、苦いものだけでなければいいな。

「今日、寒いですね」
雨の日、いつもより店が空いている日、
初めて彼と話をした。
「ほんと、冷えますね」
平静を装うが、心が震えている。
話しかけられるなんて、思ってもみなかった。
「毎朝偉いね、学生さん?」
あ、この人ナチュラルに相手を褒めるタイプなんだ。
「はい、大学生です」
「そっか、じゃあいつも頑張ってるからこれ、よかった飲んで」
そうして渡されたのは、ホットのミルクティー。
自分に合わせてブラックコーヒーにしないの、大人だな。
そう思った。
本当は差し入れとか、ダメなんだけど。
彼から貰えたことが、自分でも驚くほどうれしい。
うれしいから、そっとポケットにしまった。
お腹の辺りがじわっと温まる。
僕って、結構単純だな。
19年間一度も感じたことの無い恋心を、こんなにあっさり奪われてしまうとは。

___________

零目線オンリー、初ですかね。
ミルクティーは飲める人と飲めない人で別れやすいのに、圭吾もよく渡しますね。
苦手だったら好感度下がるぞ、と作者ながら圭吾に批評です。
圭吾はひたすら紳士を装うので、
こういうことをナチュラルにやります。
きっと会社でも女の子にちやほやされてるんだろうな。
幼稚園児の頃はきっと初恋キラーです。

そしてコンビニ店員の内心を色々と書きましたが、一度もコンビニで働いたことはありません…。
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