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もしものふたり

昨日はどうも

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朝起きて目が覚めると、机の上に置いた電話番号の書いてある紙が目に留まる。
昨日は1日中緊張して気を張っていたのと、
その前日もたのしみで眠れなかったので、
帰宅後は安堵してすぐに眠ってしまった。
早速スマホを開き、一文字ずつ大事に入力した。
最後の一文字を打ち終わると、名前の入力欄に
『立花零くん』
と入れ、登録し終えると一気に顔が上気した。
このままではダメだ、とメールを送ることにし、
これまた丁寧に入力していく。
『昨日はどうもありがとう。
帰って直ぐに寝てしまったので、連絡が遅くなってごめんね(><)
よかったら、今度は僕から誘わせてください』
文章を柔らかくするために絵文字なんか使ってしまったが、引かれないだろうか。
ここはクールに…
『昨日はどうもありがとう。
帰って直ぐに寝てしまったので、連絡が遅くなってしまいました。
よかったら、今度は僕から誘わせてください』
よし、こんな感じだな。
何回も文を書き直し、結局送ったのは最初の文字を入力してから30分後だ。
零からのメールは、思ったよりも早く返ってきた。
『こちらこそ、本当にありがとうございました。
タクシー代も…お釣りは次に会った時に返させてください。
誘ってくださるんですね、楽しみに待っています』
ああ、なんてかわいいのだろう。
ただの文字なのに、こんなことを思ってしまう自分は浅はかだろうか。
そんなことを考えていたらあっという間に出勤の時間なので、急いで準備を済ませた。


「あ、花嶺さんおはようございます!
ちょっとそこで待っててください…!」
今日もまたいつもの如くコンビニへ行くと、
零は慌ててバックヤードへ走って行ってしまった。
二分ほどして、急いでいた零が戻ってくると、
手にはなにやら封筒が。
そういえば、タクシー代のお釣りを返すとメールで書いていた。
「これ、本当にありがとうございました!
おかげで無事家に帰れました」
家まではそう遠くなかったらしく、
封筒に貼られたレシートには1490円と書いてある。
5000円預けていたので、残りはそう多くないが、
少しでも生活の足しになれば、と思っていた。
しかし礼儀正しい零は、それをレシート付きで返してくれた。
その優しさに圭吾は涙が出そうになったが、
ここはどうするべきだろうか。
もしも
「それは生活の足しにでもしてくれ」
と受け取らなかったら、毎日一生懸命働く零のプライドが傷つくかもしれない。
だがここで受け取るのも、男としてはどうだろう。
圭吾は短時間で頭をフル回転させ、
そしてこう返した。
「それは零くんが持ってて。
好きに使ってもいいし、嫌じゃなければまた一緒に出かけた時にそれで何か美味しいものでも食べよう」
この返しが正解なのかはわからないが、
少なくとも間違ってはいなかったらしい。
「そうですか…?
じゃあ、また一緒におでかけしたいです」
と笑顔だ。
缶コーヒーをレジに持って行き、再び店員と客に戻る。
また、一緒にでかけることができる。
たまにはメールをしても良いだろうか。
圭吾はそんな事を考えながら、仕事に向かった。

_______________

好きな相手へメールを送る時、何度も文を読み返しては消して、直して…の繰り返しですよね。
しばらく夫婦の圭吾と零を書いていないので、
書き方がわからなくなってそうで怖いです。
ということで、明日は多分夫婦の二人を投稿すると思います。
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