強制結婚させられた相手がすきすぎる

番外編、〇〇とゆい

おみせとゆい

※唯は4歳くらいを想像してください。 


「いらっしゃいませ～いらっしゃいませ～」
唯は今日も(ままだけに)大繁盛のお店を、一人で営む。
「わあ～この苺美味しそうですね～何円ですか？」
「ままさんこんにちは～かわいいのでゼロ円で～す！」
唯は圭吾の真似をして、かわいいのでゼロ円 理論で売る。
それだとまましか来ないお店では赤字どころではないが、おままごとの遊びなので良いとしよう。
「やった～じゃあこのレンコンも買います！」
「レンコンはゆいにちゅーしてくれたらゼロ円で～す！」
これも圭吾の真似で、零は何を買ってもゼロ円だ。
零が唯のほっぺたにちゅ、とすると、唯が嬉しそうにきゃ～と言う。
もちろん苺もレンコンも偽物で、これは零がフェルトを切ったり縫ったりして作った物だ。
唯のおもちゃは殆どのものが零の手作りで、
新作をあげる度に飛び跳ねて喜ぶ。
その時の唯はまるで、圭吾の心の中にいるうさぎのようだ。
「じゃあまた来ますね～」
零はこれまた手作りのお買い物バック(唯用の小さいもの)に苺とレンコンを入れ、お店を後にする。

「唯～ただいま～」
零が空間にガチャ、とドアを開くふりをし、
唯のいる場所へ帰る。
「まま～！おかえりなさい～！！」
店員をしていた唯はいつの間にか自宅(ソファー)に戻っている。
「今日のお夕飯はなあに？」
唯が聞くと、零はエプロンを着て、フェルトの苺とレンコンを取り出す。
それを包丁で切るふりをし、
「今日は苺とレンコンですよ～」
と言う。
包丁はダンボールをその形に切り、そこにフェルトをカバーのようにして縫ったものだ。
切ったものをお皿に乗せ、さっそく唯の前に並べる。
「おいしそ～ですねえ～」
さっき役をしていた店員さんが抜けないのか、
敬語を使っているのがかわいい。
唯はもぐもぐと食べるふりをし、零にも分けてあげる。
「ままど～ぞ」
零も真似してもぐもぐと食べるふりをした。
次は唯がお客さん役になり、零は店員さんをする。
零もまた、唯くんはかわいいのでゼロ円ですよ～とか、ままにちゅーしてくれたらゼロ円で～す！と出血大サービスだ。
そのうちお金の使い方を教えないといけないが、
今はまだかわいいのでこのままでいいだろう。

休日でぱぱ相手にお店を開く時は、
「ぱぱなのでひゃくまんえんです！」
などと言う。
ぱぱとままの扱いが違いすぎるのが面白い。

零は今日も、旦那の如く自分をデレデレに甘やかしてくれる息子がかわいくて仕方がなかった。