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優しいですね圭吾パパ
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妊娠10週目、零は毎日悪阻に悩まされていた。
何を口にしても気持ちが悪いし、
外からの匂いですら吐き気がするので窓も開けられない。
圭吾はそんな零を気遣い、毎日定時に帰宅しほとんどの家事を行う。
妊婦である零に栄養のあるものを食べさせたくて、
唯一苦手とする料理も頑張っている。
仕事に家事、全てをやってくれている圭吾に対し、
零は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「う…おかえりなさい圭吾さん…」
「零、ただいま。ご飯少しは食べれた?」
零は今にも倒れそうな青白い顔をしている。
「グレープフルーツのゼリーだけ食べました」
「そっか、それだけでも食べられたならよかった。
また買い足しておいたからね」
零はこの頃、近くのスーパーでオリジナル商品として売られているグレープフルーツのゼリーを好んで食べている。
というより、それしか食べられないのだ。
零は今まで家事をして圭吾と対等でいられている気がしていたが、今はその家事ですらできない状態だ。
妊娠中の不安定な精神に追い打ちをかける。
「ごめんなさい、今日も何もできなかったんです」
そう謝る零に、圭吾は少し悲しくなる。
「零、いつも言ってるでしょ。
お腹の中で赤ちゃんを育てるって、相当大変なことなんだよ。
俺が仕事と家事をするよりもずっと大変だよ。
本当に頭が上がらない」
「でも…」
毎日その言葉をかけても、零は落ち込んだままだ。
「零、無理して家事なんかして、
赤ちゃんに会えなくなったらどうするの?
俺のためにも、今は安静にしててよ」
「はい…悪阻が落ち着いたら今まで以上に頑張ります」
零は最近とても泣き虫で、何をしても何を見ても泣いてしまう。
そんな零を落ち着けるため、圭吾はいつも優しく言葉をかけ、慰める。
前までは三日に一度していた行為を、今はできていない。
そのせいもあるのかもしれないが、なにより今大事なのは零の身体と赤ちゃんの命だ。
零は圭吾の仕事中、突然電話をかける。
「もしもし、零?」
最初こそ驚いたものの、慣れればなんてことはない。
「圭吾さん…ごめんなさい、お仕事の邪魔かなって思ったんですけど、どうしても声が聞きたくて…うぅ…」
ぐすん、と零の泣き声が聞こえ、圭吾は焦る。
「零!今、休憩中だから大丈夫!タイミングばっちりだよ!」
本当はまだ仕事中だったが、零が気にしてしまうので嘘をつく。
圭吾にとって、零は全てにおける再優先順位だ。
「零、今日も定時にあがってすぐに帰るからね、食べられそうならゼリーを食べて、無理そうならゆっくりしててね」
「はい、さっきゼリーを2個も食べたんです。
洗濯物も畳めました」
「偉い…偉すぎるよ零…ありがとね、でも無理だけはしちゃだめだよ」
それからしばらく会話をしたあと、零から電話を切った。
夜、圭吾は零を抱きしめて寝る。
愛し合えない分、ぎゅーっと大事に抱きしめる。
そうすると零は圭吾の腕の中で安心してすやすやと眠ることが出来た。
何を口にしても気持ちが悪いし、
外からの匂いですら吐き気がするので窓も開けられない。
圭吾はそんな零を気遣い、毎日定時に帰宅しほとんどの家事を行う。
妊婦である零に栄養のあるものを食べさせたくて、
唯一苦手とする料理も頑張っている。
仕事に家事、全てをやってくれている圭吾に対し、
零は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「う…おかえりなさい圭吾さん…」
「零、ただいま。ご飯少しは食べれた?」
零は今にも倒れそうな青白い顔をしている。
「グレープフルーツのゼリーだけ食べました」
「そっか、それだけでも食べられたならよかった。
また買い足しておいたからね」
零はこの頃、近くのスーパーでオリジナル商品として売られているグレープフルーツのゼリーを好んで食べている。
というより、それしか食べられないのだ。
零は今まで家事をして圭吾と対等でいられている気がしていたが、今はその家事ですらできない状態だ。
妊娠中の不安定な精神に追い打ちをかける。
「ごめんなさい、今日も何もできなかったんです」
そう謝る零に、圭吾は少し悲しくなる。
「零、いつも言ってるでしょ。
お腹の中で赤ちゃんを育てるって、相当大変なことなんだよ。
俺が仕事と家事をするよりもずっと大変だよ。
本当に頭が上がらない」
「でも…」
毎日その言葉をかけても、零は落ち込んだままだ。
「零、無理して家事なんかして、
赤ちゃんに会えなくなったらどうするの?
俺のためにも、今は安静にしててよ」
「はい…悪阻が落ち着いたら今まで以上に頑張ります」
零は最近とても泣き虫で、何をしても何を見ても泣いてしまう。
そんな零を落ち着けるため、圭吾はいつも優しく言葉をかけ、慰める。
前までは三日に一度していた行為を、今はできていない。
そのせいもあるのかもしれないが、なにより今大事なのは零の身体と赤ちゃんの命だ。
零は圭吾の仕事中、突然電話をかける。
「もしもし、零?」
最初こそ驚いたものの、慣れればなんてことはない。
「圭吾さん…ごめんなさい、お仕事の邪魔かなって思ったんですけど、どうしても声が聞きたくて…うぅ…」
ぐすん、と零の泣き声が聞こえ、圭吾は焦る。
「零!今、休憩中だから大丈夫!タイミングばっちりだよ!」
本当はまだ仕事中だったが、零が気にしてしまうので嘘をつく。
圭吾にとって、零は全てにおける再優先順位だ。
「零、今日も定時にあがってすぐに帰るからね、食べられそうならゼリーを食べて、無理そうならゆっくりしててね」
「はい、さっきゼリーを2個も食べたんです。
洗濯物も畳めました」
「偉い…偉すぎるよ零…ありがとね、でも無理だけはしちゃだめだよ」
それからしばらく会話をしたあと、零から電話を切った。
夜、圭吾は零を抱きしめて寝る。
愛し合えない分、ぎゅーっと大事に抱きしめる。
そうすると零は圭吾の腕の中で安心してすやすやと眠ることが出来た。
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