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夫婦デート満喫中
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昨晩遅くまで愛し合っていたこともあり、
この日零はいつもより少し遅い時間に目が覚めた。
「あ、圭吾さん身体拭いてくれたんだ…」
こういう小さな気遣いで、零はとても幸せな気持ちになる。
圭吾はまだ寝ているので、朝の日課を全て済ませ、そして昼からでかける準備をする。
今日はどの服を着ていこうかな、デートだし、おしゃれなのがいいよね。
身体のラインがあまり見えると圭吾が嫌がるので、
いつもゆるっとしたのを着ている。
袖がダボッとしたニットを選び、
お気に入りのスキニーと合わせる。
うん、これでよし。
圭吾を起こし、二人で朝食(零にとっては昼食)を済ませたら、
映画館までゆっくりお話をしながら歩く。
圭吾さんは長めのコートを着ていて、かっこいいなあ…なんて見惚れてしまう。
手を繋いで仲睦まじく散歩しながら映画館へ向かい、事前にスマートフォンで予約していたチケットを発行する。
ポップコーンとチュリトスを二本買ってもらい、
飲み物は持参したお茶を持って入る。
真ん中の席なので、とても見やすい。
圭吾は
「お腹を冷やさないようにね」
と零にブランケットをかけてやる。
妊娠しているかは定かではないが、もしもの時のためにこういうところで気遣ってやれるのが、圭吾の魅力だ。
最初の性行為から一ヶ月以上経っても検査薬を使わないのは、焦らないようにね、とこれまた圭吾の気遣いだ。
映画が始まり、二人でポリポリポップコーンを食べながら、スクリーンを眺める。
ラストの感動シーンでは、今度は零が圭吾にハンカチを渡してあげた。
圭吾もハンカチを持っているが、零の優しさがうれしくて、そっとポケットにしまう。
「映画よかったですね、ラストのシーンで全部繋がるところが鳥肌でした」
ぞわ、とした仕草をする零がかわいくて、
圭吾はふ、と微笑む。
「もう少し時間あるから、昨日言ってた雑貨屋さんに行こうか」
はい、と返事をし、零は自分から手を繋ぐ。
雑貨屋に入ると、零はテンションが上がってずっとにこにこしている。
ここからはゆっくり見ようか、と手を離し、それぞれ見たいものを見た。
しばらくすると、
「零、なにかほしいものはあった?」
と圭吾が声をかける。
零は圭吾の手を取り、
「こっちです、これ。このマグカップかわいいなって…」
「ほんとだ、この猫のシルエットがシンプルでかわいいね」
「はい、それで…あの…」
「どうした?好きに買っていいんだよ」
「えっと、それも有難いんですけど、その…」
歯切れの悪い零が珍しくて、かわいい。
「零、これ二つ買っておそろいにする?」
零の言いたいことがなんとなく伝わり、
圭吾は優しくそう聞いた。
零はまだどこか遠慮がちなところがあって、
例えばこういう恋人っぽいことを提案するときなどは、圭吾が察して助け舟を出す。
「え、いいんですか?!」
ぱっと表情を明るくした零に、圭吾は嬉しさが込み上げる。
自分の発言や行動で愛する人を笑顔にできることが、この上ない幸せだと思う。
「うん、おそろいの物ってそういえば持ってなかったからね」
マグカップを二つと、圭吾が気に入ったもこもこのソックスを買い、店を出る。
「マグカップ、ありがとうございます」
「うん、いいよ。帰ったらこれにホットミルクを作ってくれる?」
「もちろんです!」
零の笑顔を見て、圭吾はまた心のうさぎを跳ねさせた。
「夕飯の時間になっちゃったね、
どこかで食べて帰ろうか」
そう提案すると、零は少し困ったような顔で、
「でも…今日は映画も見ましたし、それにこのマグカップも買ってもらいました」
「零、俺が稼いだお金は零のものでもあるんだよ。零が家で家事をしてくれてるから、
俺は安心して働けるし、頑張れる。
本当はもっと贅沢させてあげたいくらいだよ」
やはり遠慮がちな零に、圭吾は少しムッとする。
零は自分の存在の有り難さをわかっていない。
圭吾は土日という休みがあるが、零にはそれがない。
主婦とは生活を支えるお仕事のようなものであり、
365日年中無休だ。
これが労働であるとすれば、立派な労基違反になる。
圭吾は零が少しでも休めるよう、
週末は家事をやらせてもらったり、
こうして外食を提案したりする。
零には、感謝してもしきれないほどだ。
遠慮して引かない零に、圭吾は
「それならファミレスでどう?
それなら低価格だし、なにより美味しいよ」
と提案した。
実際のところ、圭吾の稼ぎは平均より随分と高めなので、毎日外食をしても平気なくらいだ。
ただ零はその生活に慣れないので、
圭吾が寄り添う形で過ごしている。
ファミレスで食事を済ませ、家に帰ると約束通り零はホットミルクを入れた。
マグカップを綺麗に洗い、牛乳を沸騰させないよう注意しながら鍋で温める。
そこに蜂蜜と三温糖を加え、ホットミルクの出来上がりだ。
圭吾はその様子を眺めていた。
「圭吾さん…あんまり見つめられると恥ずかしいです…」
顔を赤らめる零に、圭吾は何度もうさぎを跳ねさせる。
「んー?いや、うちの奥さんは本当にかわいいなと思ってさ」
強制的に相手を決められたはずなのに、
全く嫌じゃない。
むしろ最高の気分だ。
二人でテレビを見ながらホットミルクを飲む。
零は体が温まって眠くなったのか、
いつの間にか圭吾の肩に寄り添ってすうすうとかわいい寝息を立てている。
起こさないようにソファーの横に置いていたブランケットを零にかけ、
しばらくそのかわいらしい寝顔を眺めていた。
この頃、零はよく眠る。
そっと電気を消し、寝室へ零を運んだ。
自分も横になり、零にそっとキスをした。
この日零はいつもより少し遅い時間に目が覚めた。
「あ、圭吾さん身体拭いてくれたんだ…」
こういう小さな気遣いで、零はとても幸せな気持ちになる。
圭吾はまだ寝ているので、朝の日課を全て済ませ、そして昼からでかける準備をする。
今日はどの服を着ていこうかな、デートだし、おしゃれなのがいいよね。
身体のラインがあまり見えると圭吾が嫌がるので、
いつもゆるっとしたのを着ている。
袖がダボッとしたニットを選び、
お気に入りのスキニーと合わせる。
うん、これでよし。
圭吾を起こし、二人で朝食(零にとっては昼食)を済ませたら、
映画館までゆっくりお話をしながら歩く。
圭吾さんは長めのコートを着ていて、かっこいいなあ…なんて見惚れてしまう。
手を繋いで仲睦まじく散歩しながら映画館へ向かい、事前にスマートフォンで予約していたチケットを発行する。
ポップコーンとチュリトスを二本買ってもらい、
飲み物は持参したお茶を持って入る。
真ん中の席なので、とても見やすい。
圭吾は
「お腹を冷やさないようにね」
と零にブランケットをかけてやる。
妊娠しているかは定かではないが、もしもの時のためにこういうところで気遣ってやれるのが、圭吾の魅力だ。
最初の性行為から一ヶ月以上経っても検査薬を使わないのは、焦らないようにね、とこれまた圭吾の気遣いだ。
映画が始まり、二人でポリポリポップコーンを食べながら、スクリーンを眺める。
ラストの感動シーンでは、今度は零が圭吾にハンカチを渡してあげた。
圭吾もハンカチを持っているが、零の優しさがうれしくて、そっとポケットにしまう。
「映画よかったですね、ラストのシーンで全部繋がるところが鳥肌でした」
ぞわ、とした仕草をする零がかわいくて、
圭吾はふ、と微笑む。
「もう少し時間あるから、昨日言ってた雑貨屋さんに行こうか」
はい、と返事をし、零は自分から手を繋ぐ。
雑貨屋に入ると、零はテンションが上がってずっとにこにこしている。
ここからはゆっくり見ようか、と手を離し、それぞれ見たいものを見た。
しばらくすると、
「零、なにかほしいものはあった?」
と圭吾が声をかける。
零は圭吾の手を取り、
「こっちです、これ。このマグカップかわいいなって…」
「ほんとだ、この猫のシルエットがシンプルでかわいいね」
「はい、それで…あの…」
「どうした?好きに買っていいんだよ」
「えっと、それも有難いんですけど、その…」
歯切れの悪い零が珍しくて、かわいい。
「零、これ二つ買っておそろいにする?」
零の言いたいことがなんとなく伝わり、
圭吾は優しくそう聞いた。
零はまだどこか遠慮がちなところがあって、
例えばこういう恋人っぽいことを提案するときなどは、圭吾が察して助け舟を出す。
「え、いいんですか?!」
ぱっと表情を明るくした零に、圭吾は嬉しさが込み上げる。
自分の発言や行動で愛する人を笑顔にできることが、この上ない幸せだと思う。
「うん、おそろいの物ってそういえば持ってなかったからね」
マグカップを二つと、圭吾が気に入ったもこもこのソックスを買い、店を出る。
「マグカップ、ありがとうございます」
「うん、いいよ。帰ったらこれにホットミルクを作ってくれる?」
「もちろんです!」
零の笑顔を見て、圭吾はまた心のうさぎを跳ねさせた。
「夕飯の時間になっちゃったね、
どこかで食べて帰ろうか」
そう提案すると、零は少し困ったような顔で、
「でも…今日は映画も見ましたし、それにこのマグカップも買ってもらいました」
「零、俺が稼いだお金は零のものでもあるんだよ。零が家で家事をしてくれてるから、
俺は安心して働けるし、頑張れる。
本当はもっと贅沢させてあげたいくらいだよ」
やはり遠慮がちな零に、圭吾は少しムッとする。
零は自分の存在の有り難さをわかっていない。
圭吾は土日という休みがあるが、零にはそれがない。
主婦とは生活を支えるお仕事のようなものであり、
365日年中無休だ。
これが労働であるとすれば、立派な労基違反になる。
圭吾は零が少しでも休めるよう、
週末は家事をやらせてもらったり、
こうして外食を提案したりする。
零には、感謝してもしきれないほどだ。
遠慮して引かない零に、圭吾は
「それならファミレスでどう?
それなら低価格だし、なにより美味しいよ」
と提案した。
実際のところ、圭吾の稼ぎは平均より随分と高めなので、毎日外食をしても平気なくらいだ。
ただ零はその生活に慣れないので、
圭吾が寄り添う形で過ごしている。
ファミレスで食事を済ませ、家に帰ると約束通り零はホットミルクを入れた。
マグカップを綺麗に洗い、牛乳を沸騰させないよう注意しながら鍋で温める。
そこに蜂蜜と三温糖を加え、ホットミルクの出来上がりだ。
圭吾はその様子を眺めていた。
「圭吾さん…あんまり見つめられると恥ずかしいです…」
顔を赤らめる零に、圭吾は何度もうさぎを跳ねさせる。
「んー?いや、うちの奥さんは本当にかわいいなと思ってさ」
強制的に相手を決められたはずなのに、
全く嫌じゃない。
むしろ最高の気分だ。
二人でテレビを見ながらホットミルクを飲む。
零は体が温まって眠くなったのか、
いつの間にか圭吾の肩に寄り添ってすうすうとかわいい寝息を立てている。
起こさないようにソファーの横に置いていたブランケットを零にかけ、
しばらくそのかわいらしい寝顔を眺めていた。
この頃、零はよく眠る。
そっと電気を消し、寝室へ零を運んだ。
自分も横になり、零にそっとキスをした。
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