12 / 33
出会い〜恋人になるまで
翌朝
しおりを挟む
目が覚めると、隣には泣き腫らした目のしのが、ぐっすりと眠っていた。
眠りが浅く、よく魘されているしのを慰めるため、ここ数ヶ月は一緒に眠っていたけれど。
こうして、昨日のように身体を繋げたことは無かったし、こんなに虚しい目覚めはない。
しのの変えられない過去に苛立って、いいとは言われたものの、その言葉に甘えて抱いた。
しのは途中から、タガが外れたかのように泣きじゃくった。
それでも、俺は抱き続けた。
しのを、傷つけ続けた。
今更後悔しても仕方がない。
俺はもう、しのの隣にいる資格はないのだろうか。
ならば、せめて生活費だけでも…。
…こんな最低な男の金は、受け取ってくれないだろうか。
そんなことをひたすら考えていると、しのが目を覚ました。
俺の顔を見るなり、微笑んで。
「…おはよ、榊さん」
いつもより少しやつれた笑顔で、こちらを見ている。
「…しの、本当に悪かった。
合意とはいえ、あんなに…。
身体は痛くないか」
謝っても仕方がない。
身体は当然痛いだろう。本来受け入れる場所ではないのに、俺がひたすら出し入れし続けた。
「ちょっと腰が痛いけど、大丈夫。
榊さんが気持ちよかったなら、それでいい。
これからも好きなときに抱いて、ね?」
しのの笑顔が寂しそうで、心が傷んだ。
こんなことをしたかったわけじゃない。
覚悟を決めて俺に話してくれたのに、しのの優しさを利用した。
第一、俺に苛立つ資格はない。
出会う前のしのがやっていたことだ。
「ごめん。謝っても許されることじゃないというのはわかってる。
でも、本当に申し訳ないことをした」
謝ると、しのは俺に抱きついた。
「いいの、いいんだよ。
どんな形でも、俺…榊さんに抱いてもらえて、幸せだよ?」
ああ、こんな嘘までつかせてしまったのか。
俺は、絡められたしのの腕を優しく外し、部屋を出た。
眠りが浅く、よく魘されているしのを慰めるため、ここ数ヶ月は一緒に眠っていたけれど。
こうして、昨日のように身体を繋げたことは無かったし、こんなに虚しい目覚めはない。
しのの変えられない過去に苛立って、いいとは言われたものの、その言葉に甘えて抱いた。
しのは途中から、タガが外れたかのように泣きじゃくった。
それでも、俺は抱き続けた。
しのを、傷つけ続けた。
今更後悔しても仕方がない。
俺はもう、しのの隣にいる資格はないのだろうか。
ならば、せめて生活費だけでも…。
…こんな最低な男の金は、受け取ってくれないだろうか。
そんなことをひたすら考えていると、しのが目を覚ました。
俺の顔を見るなり、微笑んで。
「…おはよ、榊さん」
いつもより少しやつれた笑顔で、こちらを見ている。
「…しの、本当に悪かった。
合意とはいえ、あんなに…。
身体は痛くないか」
謝っても仕方がない。
身体は当然痛いだろう。本来受け入れる場所ではないのに、俺がひたすら出し入れし続けた。
「ちょっと腰が痛いけど、大丈夫。
榊さんが気持ちよかったなら、それでいい。
これからも好きなときに抱いて、ね?」
しのの笑顔が寂しそうで、心が傷んだ。
こんなことをしたかったわけじゃない。
覚悟を決めて俺に話してくれたのに、しのの優しさを利用した。
第一、俺に苛立つ資格はない。
出会う前のしのがやっていたことだ。
「ごめん。謝っても許されることじゃないというのはわかってる。
でも、本当に申し訳ないことをした」
謝ると、しのは俺に抱きついた。
「いいの、いいんだよ。
どんな形でも、俺…榊さんに抱いてもらえて、幸せだよ?」
ああ、こんな嘘までつかせてしまったのか。
俺は、絡められたしのの腕を優しく外し、部屋を出た。
1
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
保育士だっておしっこするもん!
こじらせた処女
BL
男性保育士さんが漏らしている話。ただただ頭悪い小説です。
保育士の道に進み、とある保育園に勤めている尾北和樹は、新人で戸惑いながらも、やりがいを感じながら仕事をこなしていた。
しかし、男性保育士というものはまだまだ珍しく浸透していない。それでも和樹が通う園にはもう一人、男性保育士がいた。名前は多田木遼、2つ年上。
園児と一緒に用を足すな。ある日の朝礼で受けた注意は、尾北和樹に向けられたものだった。他の女性職員の前で言われて顔を真っ赤にする和樹に、気にしないように、と多田木はいうが、保護者からのクレームだ。信用問題に関わり、同性職員の多田木にも迷惑をかけてしまう、そう思い、その日から3階の隅にある職員トイレを使うようになった。
しかし、尾北は一日中トイレに行かなくても平気な多田木とは違い、3時間に一回行かないと限界を迎えてしまう体質。加えて激務だ。園児と一緒に済ませるから、今までなんとかやってこれたのだ。それからというものの、限界ギリギリで間に合う、なんて危ない状況が何度か見受けられた。
ある日の紅葉が色づく頃、事件は起こる。その日は何かとタイミングが掴めなくて、いつもよりさらに忙しかった。やっとトイレにいける、そう思ったところで、前を押さえた幼児に捕まってしまい…?
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる