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11 威力偵察の準備 そしてヤヨイは少尉の娘になった
しおりを挟む帝国の人々の平均寿命は大体50から60。
だから20歳と言えばもう立派な大人。ヤヨイもすでに立派な大人の女だった。
だが徴兵され、人間以下の扱いを受け、今度はイキナリ雲の上の人にスカウトされ、重い使命を負わされ、いきなりの最前線に送られて、しかも、調査対象の上官がどうやら軍規違反の常習者という・・・。
そんな不安定な心理が、ジョーを求めさせたのかもしれない。これを恋と言うのかはわからない。だが、これでヤヨイも軍規を犯した。しかも、それが少尉の命であったことを知り、何か得体の知れないものに、でも、どこか甘美な香りのする罠に、二重に絡めとられてゆくような感触を覚えていた。
3日間の担当偵察エリアのチェックを終え、小隊は次の宿営地に向かうことになった。その地で再び3日間のパトロールを行い、その後第二中隊の所属する偵察大隊の駐屯地へ帰る。
第一と第三の分隊が帰投すると小隊長から命令があった。
「夕食後作戦会議を行う。チャン、ジョー、ヒッピー、それにヤヨイ。夕食後わたしのテントに集合しろ」
チャン軍曹は第一分隊の分隊長を兼務する。ヒッピーは第三の分隊長だった。ジョーは第二の。しかし、何故自分が呼ばれるのだろう。
「少尉は見せておきたいんだよ、お前に。全てを」
ジョーは配給の葡萄酒のカップを煽るとそう言って笑った。
「他人の信頼を得ようとするならば最初に全てを開示する方が信頼を得やすい。逆に情報を小出しにすれば、相手に余計な猜疑心を生み、信頼を得難くなる」
バカロレアでは理系の学部に属するヤヨイだったが、徴兵という、団体行動を常にする集団に入ることを控えていたこともあり、心理学の講座を少しだけ聴講したことがあった。そこでの講義の内容を思い出した。
研究費稼ぎの雑労働(アルバイト)に明け暮れていたヤヨイにとっては昼寝するのにちょうどいいかくらいに気楽に受けていたものだったが、無駄かもしれないと思ったことでも後で案外役に立つこともあるのを知った。少尉は士官学校でもああした心理学の授業を受けたのだろうか。彼女の行動は全てにおいて論理的学術的な合理性を持っているのを認めざるを得なくなっていた。
夕食が終わるとジョーと一緒に小隊長のテントに行った。
「おう、来たか。ご苦労。座れ」
彼女は既にテントの中央にドカッと胡坐をかいて地図を見下ろしていた。そして革袋の中身を直接口に当てて飲んでいた。ぷはっと吐き出した吐息が酒臭く、その匂いは既に小さなテントの中に充満していてヤヨイまで酔ってしまいそうだった。胡坐の太腿は例によって剥き出しで、テュニカの下のショーツが見えていた。だが少尉はそんなことにはお構いなしの体でゆったりと過ごしていた。
「ヤヨイ。お前はわたしのそばに来い」
目の前に地図があった。
兵士の描いた簡易図ではなく、工兵隊だかなんだか知らないが、プロの測量による正式で本格的な軍隊用の地図であることは見ればわかる。
地図の真ん中よりやや上に横たわるように描かれているのが北の国境線の河だとわかる。その下側部分は精緻に等高線まで描かれているのに比べ、上側の北側、つまり敵地はほとんどが空白になっている。軍隊用に描かれた地図でさえこれなのだから、やはり対岸の敵はヤヨイの想像以上に未知の世界。未だわからない部分が多いのだ。それでもそこここにある台地や山、その山肌から発して南の国境の河に注ぎ込む支流の存在は描かれている。山や丘の大体の標高も記入されていた。
「工兵隊が観測気球を上げて測量しただけのものだから標高の数値の精度も低いし地形図の域を脱していない。こんな地図で戦争などは出来ない。情報量が圧倒的に足りなさすぎる。なんの情報もなしにいくさをするヤツは無能でバカだ。そのバカのせいで命を落とすのは犬死にだ。わたしは、わたしの子供たちであるお前たちにこんな地図で犬死にせよなどとは到底、言えない。我々にはもっと精緻な情報が必要だ。概略図ではなく、詳細図が必要なのだ」
と、少尉は細かく噛み砕くようにいった。
「旧文明をさらに数千年遡る古代。シナとかいう土地があり、そこに栄えた国の軍師が表した兵法書というものがある。
『敵を知り己を知れば百戦危うからず』
これはその中の言葉だ。古代も今もいくさの原理になんら変わりはないということだな」
きっと少尉は、ヤヨイが「電波」の研究を通じて軍の作戦行動や戦略を改革しようとしているのかもと、興味と関心と期待を持っているのだろう。だから、このように事細かに教えてくれるのだろう・・・。
そのうちに軍曹とヒッピーが入ってきて、会議が始まった。
「チャン。風はどうだ?」
「良い感じの南風が吹いています」
「そうか。明日、明後日は。天気はどうか」
「次第に風が強まるでしょう。嵐とまで行くかどうか、くらいにはなると思います。が、雲が厚く覆うことはないでしょう」
「しかも、明日は15日、満月だ。・・・そうか。では、おあつらえ向きだな」
「そのようです」
と軍曹は不敵な笑みを湛えて答えた。
そこで少尉は威儀を正した。
「明日から明後日にかけ、河を渡り、威力偵察を行う」
その場の皆が、緊張した。テントの中をピリリとした空気が満ちた。
「通常の宿営地間の移動はこの軍用道路で行うが、」
と指で河の南に添ったほぼ真っすぐな道を指した。
「今回はこの軍用道路の中間の北方、この、川沿いの南岸に野営する。
明日、1000までに当地に到着し対岸渡河用の簡易陣営地を構築し、もって対岸に渡河し前哨陣地を構築する。
その翌朝、明後日は若干名を簡易陣営地に残し、日の出と共に2個分隊で渡河する。若干名を前哨陣地に残し、残る全員でこの辺り一帯の森に火を放ち焼き払う。しかるのちにその中央を突破してこの辺り、」
少尉の指は河から北に少し入った地点に描かれた丸印を指した。
「ここにあると推定される敵の前哨陣地である村を攻撃。これを攻略する」
少尉は高らかにそう、宣言した。
「今回の作戦行動の目的は第一に、この敵の前哨陣地の存在の確認と、第二に敵の反撃の程度を測ることにある。それによってこの地域に集結しているであろう、敵の兵力が知れる。そして副次的には恒例になっている敵の夏の襲撃の意図を未然に打ち砕く。それを目指す。したがって長時間の滞在はしない。日没までに全隊撤収し、再び渡河して南岸の簡易陣営地に戻る。以上が骨子だ。質問は?」
説明を聞き終わり一同からホオーっとため息が漏れ、皆の顔に輝きが溢れた。
「腕が鳴りますね、少尉!」
と、色鮮やかな布を頭に巻いて、色付きの丸眼鏡をかけたヒッピーが半ば昂奮気味に言った。
「もう、陣立てと詳細を吟味する段階でよろしいのでは? ジョー、お前はどうだ」
と軍曹が言った。強襲作戦は久々だ! 歴戦の彼にして、早や昂奮しているように見えた。そんな気持ちが傍目にも見て取れた。ジョーは昂奮を抑えつつ、無言で頷いた。
「ヤヨイ。お前の意見は」
突然少尉に名前を呼ばれて驚いた。
昨日今日来たばかりの新米の、新兵。それがこの場に居ることさえ僭越だし、異例だろうにと思っていた。ましてや意見を求められることなどあるわけがないと。
「なんでもいい。遠慮せず、言ってみろ」
軍曹までが催促した。自信に溢れ、その顔に闘志が漲っていた。次いで横にいるジョー、そして、少尉の顔を見た。
「・・・ごく、一般的な疑問ですが」
「かまわん。言ってみろ」
少尉は昂奮するでもなく、ほんのり酒で紅潮した頬に笑みを浮かべてヤヨイを促した。
「この、国境を超える、作戦は、中隊からの命令によるものですか」
少尉はニヤリと笑った。
「いや、それはない。これは、わたしの独断だ」
ヤヨイは、戦慄した。
「お言葉ですが、それは・・・、重大な軍規違反では、ないでしょうか。
わたしが訓練所で学んだ軍法概略でも、無断で軍事行動を起こし、しかも国境を越えて進撃すれば、・・・死刑に該当すると、学びましたが・・・」
「進撃ではない。あくまで、偵察だ。先ほども言ったように、誰かが情報を集めねばならない。
敵がこちらの思いもよらない兵力を集め、ある日突然大挙して渡河してきてからでは遅い。それがもし、この小隊で支えられないほどの大軍だったら、いかに兵器で優越しようと、犠牲も厭わず殺到してくる敵には歯が立たないかもしれない。それに襲撃を後方の司令部に知らせて増援が来るまでに相当程度我が帝国の領土が荒らされてしまうだろうし、わたしの大切なこの小隊も全滅するかもしれない。
そのためにも、あらかじめ敵の手の内を知り、未然にコマめにその意図と意思を打ち砕いておく。少なくても、進撃に慎重にならざるを得ないほどの心理的なダメージを与えておくのが必要なのだ」
「では、少なくとも中隊か、偵察大隊司令部の許可を得てから行動すればどうでしょうか。それなら法的に問題はないと思うのですが」
「中隊程度ではそのような判断はできない。大隊でも、連隊でも無理だろうな。軍団司令部が元老院に上申し、皇帝陛下の裁可が無ければ国境を越えての作戦行動などは出来ん。無論、今まで何度も許可申請を出して進言して来た。もちろん、その都度、却下された」
と、少尉は言った。
「それに、これは軍事行動といえるほどのことではない。ただの、小競り合いだ。その程度のことは、夏は何度もある。ただし、全て敵の奴らが河を渡って、こちら側で、だがな。それを河の向こうでやるだけの話だ。なんの問題もない」
「ヤヨイ。この程度の作戦は、じつは過去、何度も行ってきたのだ」
と、軍曹が少尉を受けた。
「その都度、我々は作戦を成功させてきた。少尉の状況判断と分析は的確だ。敵は冬枯れで水量が少なく渡河しやすい冬ではなく、水量が多くて渡河しにくい夏に攻勢をかけて来る。自分たちが渡河しやすいということは、我々も渡河しやすいのを知っているのだ。敵は我々帝国軍が大挙して逆襲してくるのを何よりも恐れているからだ」
横でジョーが頷いた。少尉は黙って酒を飲み続けた。
「15年前、」
と、軍曹は宙を仰いで語り始めた。
「わが軍は敵に対して大規模な侵攻作戦を行った。その戦争に俺は従軍した。あいつらの土地の奥深くまで攻め入って数万人を殺し、捕虜にした。それでも奴らを征服することはできなかった。奴らを完膚なきまでに叩きのめすことができなかったのだ。
北の蛮族の地は広大でふところが深い。その奥地に逃げ込まれてしまったのだ。わが軍の兵が震えあがるような寒さの奥地へ。
わが軍はそれを追撃できなかった。兵站があまりにも長くなりすぎて前線と後備との連絡も途絶えがちになり、止む無く、撤退したのだ。政府は国民向けには大勝利と宣伝したが、実態はまったく違った。
それ以来、冬季の大規模な侵攻は行われなくなった。敵はわが軍の弱みを知った。冬季は奴らの地の奥深くに逃げ込み、夏になって我々が大軍を渡河出来なくなるとやって来てはこちら側を脅かす。その繰り返しなのだ。
例えば何本も橋を作って渡河させればよいと思うだろう。しかしその戦争以降、帝国の領地も広がった。防衛線が拡大したのにわが方には兵力が足りない。もう、15年前のような大軍を一か所に集結しての大規模な侵攻などはできなくなってしまったのだ。だから橋は作らないし、作れなくなった。わかるか、ヤヨイ」
彼は噛んで含めるように、ヤヨイを諭すように、静かな目で語った。
「奴らは組織された軍隊や兵站というものを持っていない。敵が攻勢をかけるには兵力を河近くに集めねばならない。集結は奴らの部族総出、家族総出で行われる。男だけじゃない、女も子供も。そこに村ができるのだ。
だから、それを叩く。叩いて散らしてしまえば、その年はもう、やつらは河を渡って来なくなる。これは見かけ上は侵攻作戦かもしれんが、事実上立派な敵の侵攻防止、純然たる防衛作戦なのだ。奴らが来て暴れるのではなく、我々が行って、打擲する。それだけのことなのだ」
チャン軍曹の言葉が終わると沈黙が訪れた。それを破ったのは、少尉だった。
「全責任は指揮官であるわたしがとる。お前たちはただわたしを信じて、ついて来ればいい」
少尉は笑った。
部署配置と詳細の検討を行った後、会議は解散した。
「ヤヨイ。お前は少し、残れ」
立ち上がってテントを出ようとすると少尉に呼び止められた。ジョーはヤヨイの肩を叩いてテントを出て行った。
「立っていると鬱陶しい。座れ」
ヤヨイは止む無く座った。それを見て少尉はフフ、と笑い、飲むか? と革袋を回してくれた。配給の葡萄酒よりも酒精度の高い酒らしく、木の栓を抜くとツーンと精が鼻をついた。直に口をつけて飲んだ。途端に、むせた。
「我が小隊に肌の青い奴隷がいる。元はアレクサンデルという名らしいが、わたしはアレックスと呼んでいる。これはアレックスが作ってくれた酒だ。ウォトカというらしい。小麦や奴らの土地で栽培するライ麦を発酵させて蒸留して作る。慣れると、美味い」
そう言ってまたも一口飲み、革袋に栓をした。
「ヤヨイ」
「・・・はい」
「偵察隊の兵の適性が何か、知っているか。どういう兵が偵察隊に適しているか、わかるか」
「・・・わかりません」
「想像でいい。思うところを言ってみろ」
しばし考えて、言ってみた。
「まず、洞察力、それに、観察力、判断力、体力も。それに、好奇心。・・・他は・・・」
「うん。他には? ジョーが言っていたろう」
「・・・仲間への信頼、ですか」
「そうだな」
「それに、上官への信頼、も」
「うん。・・・他には」
「・・・それ以外は、・・・わかりません」
少尉はヤヨイの頬に手を添えた。
「臆病者であること、だ」
彼女の鳶色の瞳の奥が淡いカンテラの灯で鈍く光った。
「臆病だから常に注意を怠らない。功名を焦って蛮勇を振るわない。単独行動をしない。常に最悪の状況を考える・・・。
ヤヨイ、わたしは、小隊一の臆病者なのだ」
少尉は意外な言葉を口にした。
「もし今この時、敵が河向うに集結し、虎視眈々とこちらを望み、侵攻の準備をしていたら、どうするか。
こちらからは敵の集結地が見えない。森の奥だし、向こうの地の方が標高が高い。だから、わからない。わからないものは、怖い。怖いから、知ろうとする。
だが、何の用意もなく無暗に敵地に乗り込むと不意を突かれてやられる。殺されるかもしれないし、捕まるかもしれない。捕まって捕虜になれば、生きたまま皮をはがされ、首を切られる。
でも、誰かがそれを見て来なくてはならない。
偵察とは、敵情を詳しく知ることだ。これは軍法が禁じている無断での越境攻撃ではない。あくまでも、偵察なのだ。
威力偵察の予定地は、やつらの数少ない集結地点なのだ。そこ以外に大兵力を集められる地は少ない。兵站を持たない奴らは、そこで生活し家畜を養い畑を耕す。何百何千の兵を集めるには、それを満たすだけの土地が必要なのだ。我々の目標は、その要衝ともいうべき場所なのだ。そこを叩けば敵は警戒して奥地に逃げ帰る。少なくとも来年までは平和が得られる。
万が一、仮にこの小隊が全滅しても、小隊という最小の犠牲で多くの兵の命がムダに失われずに済む。軍が恐れる兵力の損耗が防げるのだ。
しかし、軍はそれを認めない。理解しようとしない」
レオン少尉はヤヨイの手を取り、それを硬く握り、瞳を覗き込んできた。その圧倒的な存在感に、まるで彼女に犯されてでもいるかのような錯覚を覚えた。
「わたしは過去数度、今回のような威力偵察を行った。上級司令部に無断での越境だ。当然、軍法会議に掛けられた。もちろん、有罪になれば、死刑だ。
だが毎回実績を持ち帰った。敵の集結地の規模と詳細な位置。集結していた兵力の数。その実態。そして、威力偵察を行ったことで得られた、敵の襲来を未然に防いだという、利益。それらを勘案され、その都度、無罪になった。ただし、昇進と引き換えにされた。だから同期が中尉大尉に昇進してもわたしは未だに少尉のままなのだ。
だがな、わたしはそれでも構わないと思っている。それでいいじゃないか、と。
ヤヨイ。それでもわたしの行動を認められないと思うなら、今から宿営地を出て中隊に帰れ。そして中隊長に報告しろ。わたしはお前の行動を止めはしない。
しかし、もし、わたしの考えに賛同できると思うなら、わたしの命に服して欲しい」
少尉の鳶色の瞳は、澄んでいた。気がくるっているとか、酔って言っているのではない。もしそうなら、軍曹やジョーがあれほども彼女に心服しないだろう。
「お前は冷静で論理的で好奇心が強く、良い頭脳を持っている。稀にみる偵察兵の適任者だと思う。大学に戻すのが惜しいくらいに。
だからどうか、わかってくれないか。なんなら、お前にはこの岸に留まる任務を与えよう」
少尉は鳶色の瞳を煌めかせて、重ねて問うた。
「・・・どうか?」
ヤヨイは、心を決めた。
ヤヨイの任務は、少尉の調査だ。どこまでもこの人についてゆき、少尉の真意を探らねばならない。反逆者の反乱を、帝国の内乱を、防がねばならない。
「いいえ」
とヤヨイは言った。
「よろしければ・・・、渡河隊に加えて下さい」
少尉の顔が、さらに輝き、ほころんだ。
「ならば、戦闘中、お前にわたしの副官を命じる。常にわたしの傍を離れずにいろ。いいな、ヤヨイ」
「はい」
「ジョーから聞いた。ヤヨイという名は3月のメルツ、マルティウスに通じると。軍神マルスがいつもそばにいてくれるならば勝利は間違いない。小隊一の臆病者のわたしでも立派に務めを果たせるだろう。お前の、軍神たる力をわたしに貸せ、ヤヨイ」
少尉のキスはジョーよりも情熱的にヤヨイを蕩かした。女に唇を奪われたのは、生まれて初めてのことだった。
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