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06 深奥

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 加奈子は昨日のホテルではなく、少し離れたラブホテルの一室にいた。

 ガードを固めるために気合を入れて着込んだはずのパンツスーツもシャツもインナーも、ストッキングも下着も、全て無駄になった。何もかも脱ぎ去った全裸を渋谷の前に曝していた。脱がされたのではない。全部自分で脱いだ。

 もう、言い訳など無意味だ。

 どうしてここにいるのか。その問いはもう、彼にはできない。その答えは加奈子自身が持っていた。拉致されたわけでも脅迫されたわけでもなく、自分の脚で、自分の意思でこの部屋に入り、服を脱いだ。

 自分で自覚できなかった深奥の欲望を、この渋谷という男に暴かれてしまった。暴かれるために、こんなところまで、夫にウソをついてまでして、のこのこ来てしまったのだ。

 渋谷も下着一枚になっている。全裸の加奈子の前に彼は立った。

「欲しいですか、加奈子さん」

 渋谷は初めて加奈子の手に触れた。その手を自分の股間に導いた。加奈子はその手を振りほどかなかった。

 逞しい・・・。

 それは下着越しではあったが加奈子の手の中でドクドクと息づき、脈を打っていた。渋谷が手を放しても加奈子はそれを離さなかった。自然に無意識に、それを握り、擦り始めていた。夫のもの以外に触れるのは結婚してからはもちろんこれが初めてだ。いつの間にか達彦のものと比べている自分に気づく。なんてはしたない女だろうか・・・。

「もう一度訊きます。欲しいですか。欲しいなら、言葉はいりません。最後はあなたが脱がしてください。それはもう、あなたのものです。

 素直になりなさい・・・。加奈子」

 初めて呼び捨てにされ、ズキンと胸に響いた。もう子供でも学生でもない。夫以外の男性から自分の所有物であるかのような扱いを受けて感じるなんて・・・。

 再び手を取られ、その手を彼の下着の中に導かれた。加奈子はそれを、導かれるのを待っていた。ズルい女と言われても仕方がない。

 指が分身に直接触れる。熱い。その脈動に触れ、頭の後ろがジンジンしびれてくる。

「素直になるんです、加奈子・・・」

 加奈子はそれを握った。

 髪をさばかれ、後ろに回った彼の唇がうなじに寄せられる。背中を快楽の虫たちがぞわぞわと這いまわる。

「はあ・・・」

 深い吐息が漏れる。

「感じるんです。それだけでいいんです。ためらわずに、ただ感じればいいんです。

 感じたら思いきり喘ぎなさい。大きな声を出していいんです。ガマンしなくていいんです。本当のあなたを全て曝け出しなさい。曝け出すんです。そのために、あなたはここへ来たんでしょう」

 耳が甘噛みされ、脇や腹や胸を全て愛撫され乳首を摘ままれてビリッと電気が走り声を出した。その間も手は渋谷のものを握り扱き続けている。

「ああっ!・・・」

「そう。それでいいんです。もっと喘ぎなさい。気持ちいいと言いなさい」

「あはあっ! あ、いい・・・」

 彼の指が下におりてその核の周りで遊ぶ。焦れた加奈子は思わず腰を振る。クリトリスに彼女の核心に触れてほしいから。

「どうなんですか。どうして欲しいんですか」

 指はそのままヴァギナの奥からにじみ出ている愛液を掬い加奈子の目の前に突き出す。

「どうしたんですこれは。こんなに濡らして。これでもまだ、自分を偽るんですか。どうして欲しいのか、はっきり口で言いなさい」

「うう、・・・下さい。あなたの、これ・・・」

 言ってしまった。ついに言ってしまった。夫に対する裏切りの言葉を、吐いてしまった。この部屋に来た。それだけでもう裏切っている。だからその言葉は添え物に過ぎないのだけれど。背徳の罪悪が加奈子を責めた。

「いいんですね。あなたはこれから死ぬほどイカされますよ。イキ地獄に落とされるんです。覚悟してくださいね。あなたが、加奈子がそれを望んだのですから」


 

 彼の言葉には少しの誇張もなかった。

 加奈子は彼の言う通り文字通りの「イキ地獄」に落ちた。

 まず、立ったまま、彼の指と舌だけで何度も絶頂した。彼のものすごいテクニックの前に、加奈子は「初心な女子高生」という今では死語になった感のある言葉を引っ張り出して自分を当てはめた。

 立っていられなくなったところでベッドに寝かされ脚を大きく広げられ、さらに股間を天井を向くまで高く掲げられた。ヴァギナとアナルが全開丸見え状態。加奈子は身体の全てを渋谷に見られていた。

「さあ。これで加奈子の身体が全て丸見えです」

「あ、いやあーっ!」

 羞恥と言葉による拷問も加わった。

「なんてイヤらしいんでしょう・・・。旦那さんというものがありながら、こんなに開ききって蕩けさせて・・・。しかもぐちょぐちょに濡らして・・・。妻として旦那さんに申し訳ないという気持ちはないのですか」

「ああっ、言わな、ああん・・・やめああっ、・・・くぅっ・・・」

 そのまま、渋谷はじゅるじゅるとワザと大袈裟に音を立ててクリトリスやラヴィアを散々に吸い、嘗め回した。

「感じているんですね。こんな恥ずかしい格好にされて。だから裸を見せただけで乳首を立たせたんですね。そしてここを、固く尖らせて、ボッキさせていたんですね」

「あ、そん、あああっ!」

「こんなに昂奮して・・・。淫らすぎですよ、加奈子」

 閉じようとするたびに力強い腕が太腿を割り、抑えつけ、大きく開かれる。自分の股間が弄られる様子を目の当たりにさせられたまま、延々と弄られ続けた。加奈子はたちまち高く登りつめた。何度も。度重なる絶頂に早くも汗みどろになりながら。

「ああっ! あは~ん、き、ああ、い、ああ~ん、は、あ、ん・・・だ、だめあ、そこ、あ、は、んん、あ・・・く、あ、んんんんん・・・」

 絶頂してもその余韻に浸るどころか続けざまに責められ、痙攣している暇もない。しかもまだペニスも挿入されていないのにこれなのだ。意識がモウロウとし、そこをさらに脳天を破るほどの快感が襲い・・・。

「っかはっ、・・・や、もう、イッ、ああっ! も、ダメ、イカさな、ああっ! も、ダメ、そこ、だっ、ああん、ヤメ、あああっ!」

「これほどとはね」

 やっと態勢が変わり、脚を下ろされ一息吐けると思ったら、今度はクリトリスとヴァギナを同時に責められながらに加え、耳元で囁かれる責めワードの怒涛。それが加奈子の官能をさらに高みへ押し上げた。

「加奈子がこれほどのドのつくスケベな女だったとはね。もうドロドロですよ。指が締め付けられて、ヒダが纏わりついてくる。奥へ吸い込まれてしまいそうです。旦那さんの開発力には脱帽ですね。

 しかし、おかしいですね。そんなに満たされている女性が、なんでこんなに欲しがるんだろう」

「ああっ、しゅ、主人のこ、ああっ、言わな・・・ああん、そこダメ、あ、ダメッ・・・くうっ・・・んはぅっ・・・」

「ああそうか。今わかりましたよ。加奈子は欲求不満というヤツなのですね。旦那さんとはご無沙汰なのではないですか。だからこんなに乱れるんですね。でも私ならここまで妻を開発すればもっといろんなことをして楽しみますがねえ・・・。加奈子を欲求不満などとはまったくの無縁の女にします。あんなとこや、そんなことや、こんなこと。毎晩のように散々、朝まで責めて寝かせませんがねえ・・・。

 そうか。ひょっとして、旦那さん以外の人ですか? もしそうなら、ここまで開発されていたのに、放って置かれたというのですか。だから、これほどのものを持ちながら、あんなにも欲しがっていたのではないですか」

「・・・わかんない、はああん、わかんないですああいいいいいっ! きもちい、・・・んああっ」

「では、誰なんです。あなたをこんなにも淫らな女にしたのは。正直に言いなさい。加奈子が淫らなドスケベだということは昨日のうちにもう、バレているんですよ。」

「いや、いやあ、ああっ、許し、ああっ、はあ、はああん・・・」

 感じ過ぎて何も考えられないというのに、次から次へと卑猥な言葉を浴びせられて頭の中がグチャグチャになり、加奈子は快感と罪悪感と背徳感の入り混じったような虫たちの蠢く「るつぼ」の中に溺れ、息も出来ないほどになっていた。それでも身体は彼を求め、くねり、反り返り、彼の指を締め付けてグイグイと中へ引き入れようとした。

「こんなにして・・・。なんていう、ドスケベなんだ。私も多くの女性と肌を合わせてきましたがねえ、あなたほど淫乱な女には初めて会いましたよ」

「イヤッ、ちが、ああうっ!」

「違わないでしょう。これが事実でしょう。ほら、ごらんなさい。私の指がふやけてしまいましたよ。どうしてくれるんですか。ベッドもこんなにびしょびしょにして。恥ずかしいと思わないんですか?」

 目の前に突き出された彼の指からは白く濁った液が滴り、つーっと垂れて加奈子の顔に落ちた。恥ずかしさに思わず目を背けたが彼に頬を抑えられ、それを直視させられた。そして唇に塗りつけられた。

「キレイにしなさい。加奈子の夥しいラブジュースで汚れたんですよ」

 ギュッと口を引き結んでいると指が唇をこじ開けて入って来ようとする。何度もイヤイヤをしたが、許してはくれなかった。

「認めなさい。わたしは淫乱な女ですと」

 躊躇する加奈子に渋谷はさらに追い打ちをかけた。

「さあ。わたしはドスケベですと。認めることで、あなたは自由になれるんです」

 軽い痙攣に身体を揺すぶりながら、加奈子は絶頂の後のふわふわと浮つく妙な気分の中で半ばうわ言のように、言わされて、いや、自らその言葉を言った。

「・・・わたしは、ドスケベな、淫乱です」

   それを口にした瞬間、あんなにも努めていた良い妻、良い母になろうという意志が砕け散った。より快感を得たいというだけならばまだしも、自らの属性まで貶めた。そのあまりに甘美な酔いに加奈子は抗うすべがなかった。だがそれでも彼は許してはくれなかった。

「それだけではダメですね。加奈子の奥の奥からの言葉でなければ」

 そう言って渋谷はベッドの上に、加奈子に跨るようにして、立った。目の前に彼の分身がぶら下がっている。

「自分で確かめて見なさい。これが今からあなたを狂わせます。どのくらいのものか、もう一度しっかりよく見て、握って、確かめて見なさい」

 身体を動かそうとすると筋肉が勝手にあちこちでピクピクする。身体中を駆け巡った電気が残っているのだろうか。そんな想像をしながら半身を起こし、彼の分身に手を添えた。

「もう片方も添えてみなさい。ほら、手を。こんなふうに。そう。両手で握ると、どれくらいのものか、よくわかるでしょう。両手で握ってもまだ先が飛び出してるでしょう。

 今からこれを、加奈子に挿入れてあげますからね。どんなふうに鳴くのかな、加奈子は。これを挿入れたら、どうなってしまうんでしょうね」

「ああ・・・」

「さあ、身体の奥の奥を曝け出して下さい」

「え?」
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