さくらが池 ~白鳥に恋し、妃になった人妻~

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さようなら、さくらが池

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 こうして犯人は捕まった。王子の身にも別条はなく、飛行にも支障はなかった。

 それなのに、彼は浮かない顔をしていた。

「どうしたの? 気分でも悪いの?」

 506号室のリビングで、カーペットの上に座ったまま、ずっとブツブツ呟きながら暗い顔をしている。アイは彼の顔を覗き込んだ。

「王子ね、気分が悪いんだって。しばらくそっとしておいてあげて」

 さくらはダイニングテーブルの上でボールペンを持ち、何やら書類に書き込んでいた。だが、時々込み上げる笑いを抑えきれず、ぷぷっと噴き出しては記入に失敗し、その紙をぐちゃぐちゃに丸め、くずかごに捨てた。

「ね、どうして笑ってるの? 教えてよー」

「んー、んふふふっ! ・・・あははははは、ダメだ。お腹が痛くて、書けないよー!」

「笑い過ぎだぞ、さくら! ・・・もういい! 」

「だあってェ・・・ぷ、ぷわはっはははは・・・」

「無我夢中だったとはいえ、あんな男のナニを・・・。嘴が気持ち悪くて仕方ないんだっ! 笑ってないで、何とかしてくれっ!」

「わっはははははは・・・」

 アイは、どうすることも出来ずに王子とさくらを見比べてため息を吐いた。

 ようやく笑いを収めたさくらは、書類も書き終えた。

「さ、終わったよ。そろそろ行く?」

「そうだな。アイも、いいか」

「おっけー」

「じゃ、これ、一階のポストに入れて来てくれる?」

「はあい」

 アイはさくらからカギを受け取ってドアから出て行った。そのドアを内側からロックした。

「忘れ物ないか」

「忘れものって言っても、持ち物ないし、ブレーカーも落としたし・・・。書類も書いたし・・・、あ、これだ」

 さくらは左手の薬指にあったリングを外し、書類の上に置いた。

「お隣さんへの挨拶は出来ないしね。これで全部終わり」

「そうか・・・。じゃ、行くか」

「はい。あなた」

 二人は連れ立ってベランダから躍り出た。

 池に着水して待っていると、雑木林で姿を変えたアイがやって来てさくらと王子に寄り添ってきた。

「ポスト、入れてきたー」

「ありがとう、アイ。少し早いが、国に帰る前にみんなと気持ちを同じくするためだ。今日から発つまでの間はここで過ごすぞ」

 さくらもアイも頷いた。さっそく寄って来た若鳥たちに混じって、アイはすぐに食事を兼ねた遊びに出かけた。

「ちょっと行ってくるね」

「気を付けるのよ」

「わかってる」

 アイは仲間たちと翼を連ねて池の空に大きく弧を描くと西の空に消えていった。若鳥たちにとって、たっぷり栄養を摂り身体を作っておくことは、帰国の長旅に備えての大切な準備なのだ。

「あの子、すっかり慣れたわね」

「あらためていう。ありがとう、さくら。いや、国へ帰れば正式に王子の妃になるから、これからは妃と呼ぶことにする」

「・・・なれるかな、わたしに」

「もちろんだとも。わたしの兄弟の妻たちの中で最も優れた妃だ。やがて国の要となろう」

「国の、かなめ?」

 王子は少し思案気に俯くと威儀を正してさくらに向き合った。

「妃よ。お前だけには話しておこう。王はこの夏、王位を譲るつもりだ」

「王子のお父様が」

「うむ」

 と王子は言った。

「毎年、王子たちと同じく、王もまた王妃と共に一隊を率いて南に避寒の地を求める。

 だが父は今年、もう南への隊を率いることはないだろう」

「どうして?」

「王は自らの死を悟っておられる・・・。

 さくら。わたしと初めて契ったときのことを覚えているか?」

 さくらは、あのブリザードが吹き荒れる真っ白な酷寒の地のイメージを思い描いた。

「王だけではない。わたしの国では、死期を悟ったものは避寒せず、冬の国にとどまり、氷の棺に入るのだ」

 王子は穏やかに続けた。

「だがそれは悲劇ではない。

 氷が解け、太陽が輝きだす。死んだ者の骸(むくろ)は新しい命の褥(しとね)となり、我々の日々の糧を産み出す。わたしの国だけではない。この丸い地の上に生きる者はすべて、この掟に従って生き、命を継いでゆくのだ。古き者は新しき者の命となり、永遠に生き続けるのだ。逆に、古き者が新しき者の糧を奪う時、その種は滅びる。

 わかるか、さくら。

 それは、現世(うつしよ)の輪廻(りんね)なのだ。それが天地(あめつち)の理(ことわり)なのだ」

 王子はスーッとさくらに寄り添い、ささやいた。

「もし王がわたしに王位を譲れば、王子として訪れた避寒地にはもう二度と戻らない。そういう掟がある。

 さくら。いや、妃よ。もう二度とここを見ることは無いかもしれない。名残を惜しんでおけよ」

「はい、あなた・・・」


 


 

 和也は急遽帰国し、自宅に帰った。

 家にもさくらの携帯にもつながらない。自分やさくらの実家からもどうなっているのだという問い合わせがひっきりなしにある。会社にまで、

「おい。いったいどうなってるんだ。マズいぞ。一度帰宅して情況を把握して報告しろ」

 と言われる始末。

 部屋はそのままだったが、妻のさくらも、娘のアイも、どこにもいなかった。さくらの財布もスマートフォンもアイのランドセルも全て、部屋にあった。それに、アイのお気に入りのいつも身に着けていた赤いカチューシャまで。

 いったいどこに消えたというのだろうか。

 ダイニングのテーブルの上に手紙と書類があった。


 

「愛と一緒に新しい生を生きることにしました。

 探さないでください。

 今までありがとうございました。

 末永く、お健やかにお過ごしください。

 さようなら。

 さくら 愛」


 

 一緒に置いてあった記入捺印済みの離婚届を引っ掴んで、和也はベランダに出た。

 知らなかった。

 見下ろすと、マンション前の池に多くの白鳥たちが身を寄せ合って翼を休めていた。

 なにか感じるところがあって、階下に降り、共用スペースを横切って池に張り出したウッドデッキの手すりに凭れた。

 たしかに、妻や娘にウソを吐いて、南の国で束の間の独身気分を愉しんだ。

 だが、その代償がこれだというのか・・・。

 くああーっ、くああーっ。

 妙に池の鳥が騒がしい。

 こっちは突然女房と娘が失踪して訳も判らずにいるというのに・・・。

 いつの間にか茶色いベレー帽とシャツにベストの老人が横に立っていた。

「出発を見にいらしたのですか」

「はあ?」

「この白鳥たちがこの池を越冬地に選びましてね。去年の秋から、いろいろありましたが、今日、国へ帰るらしいんです」

 大勢の水鳥たちが眼下の水面に犇めいていた。その数、数十羽。

「あまり見ないお顔ですね。失礼ですが、どちらにお住まいで?」

 ベレー帽のジジイが馴れ馴れしくしてくるのが疎ましい。

「あの、506号室の・・・」

 と、和也は力なく三号館の一角を指さした。

「ああ、さくらさんの・・・」

 なに?

「知っているんですか、家内を」

「知っているも何も、この白鳥たちの面倒を見る集まりがありまして、さくらさんもそのお一人でしたし・・・」

「でした?」

 老人の放った言葉の過去形が妙に引っかかった。

「でした、とはなんです。

 居なくなったんです。妻と、娘が。こんな・・・。書置きひとつで、何も持たず、忽然と・・・。なにか知っているんですか。教えてください。家内は、さくらは今どこにいるんです!」

 余裕のない和也は初対面のその老人に掴みかかった。

「・・・いや、このところ、お姿を見かけないものですから、人としてのさくらさんと娘さんの・・・」

「人として?」

「おお、ごらんなさい。始まりましたよ」

 白鳥たちの群れの中から、ひと際大きな一羽が先陣を切って水面を羽ばたき滑走を始めた。完璧な離水で、そのオオハクチョウは飛び立った。よく見ると、頭の上に金の天使の輪をつけている。

「あれがこの群れのリーダーです。最も気品のある一羽なので、私たちは『王子』と呼んでいます。じつはこれもさくらさんから教えてもらったんですがね・・・」

「なにか、知っているんですか。さくらは、アイは、今どこにいるんです!」

 ベレー帽の先生は、その妻子に姿を消された哀れな夫を憐憫を持って見つめた。

「よく御覧なさい。あなたに心の目があれば、見えますよ」

 そう言って池の上の群れを手で指し示した。

「本当のご夫婦であり、親子でいらしたのなら・・・」

「なにを・・・」

 和也は白鳥の群れに目を凝らした。

 王子の飛翔に続き、次々と鳥たちが飛び立ってゆく。そして池の上空で旋回して仲間たちが上がってくるのを待っていた。

 水面の群れが半数になったころ、和也は群れの中に赤い強毛をピンと生やした少し体の小さな一羽に目を留めた。するとその一羽がスルスルと彼の立つウッドデッキに寄って来て、ひと声クワーっと鳴いた。

「・・・お前」

 赤い強毛はプイと横を向き、片目でジッと和也を見ていたかと思うともう一度正面を向いて威嚇するようにバサバサ翼を羽ばたかせた。その強毛を同じような体格のまだ若い鳥たちが取り囲み、誘うようにスーッと遠ざかって行き、一羽、また一羽、離水を始めた。若鳥たちは皆、しぶきを飛ばしてらせんを描きながら上昇していったが、赤い強毛の飛翔が群を抜いて力強かった。

 和也はなぜかそれに見とれた。その強毛が上空の鳥たちの輪の中に加わるまで見つめ続けた。だから、一番最初に飛び立った金の輪の鳥と同じ、天使の輪を持つ少し優し気な一羽がすぐそばまで来ているのに気付くのが遅れた。

「あれは、メスですな」

 と先生は言った。

「一番最初に飛び立ったオスのつがいです。この群れの要の鳥です」

 彼女は赤い強毛と同じようにプイと横を向き、じっと和也を見つめた。

「この池で新しいカップルが3組産まれましたが、その一つがこの要の鳥とリーダーなのです。先ほどあなたに寄って来た赤い強毛の母親です。最初はおりませんでしたが、途中からこの母子が加わりました。近くの越冬隊から離れて加わったものなのでしょうが、常識ではありえません。学術的に、非常に興味深い現象です」

 そのメスは横を向いたままクイクイと頭を擡げ何度か羽ばたきを見せた。

「・・・お前、・・・もしかして・・・。イヤ、そんなバカなことがあるわけがない」

「あなたの見たものが全てですよ」

 ベレー帽の先生は言った。

「思ったままを話しかけてごらんなさい」

 和也はカラカラになった喉を絞るように、その名を叫ぼうとしたが、どうしても信じられなかった。

「もう、残りが少ない。今話さないと、飛んで行ってしまいますよ」

 そのメスの背後では次々に仲間たちが離水してゆく。

 いつの間にか池の周辺はこの半年の間心を和ませてくれた白鳥たちと別れを惜しもうと住民たちが見送りに出て来ていた。マンションのベランダにも多くの人が鈴なりになっていた。

 クワーッ!

 その金の輪のメスがひと際甲高い声を上げた。すると上空で旋回している一羽から同じ鳴き声が応えた。

「あれは彼女の旦那さんですな。今行くわ、早く来いと。夫婦の掛け合いをしているのでしょうな。

 ご存じですか?

 白鳥の夫婦愛は非常に強いものなのです。ほとんどのカップルが生涯伴侶と共に過ごし、一生を添い遂げます」

 仲間たちは全て飛び立った。金の輪のメスが最後に残った。彼女は意を決したように最後にひと声鳴くとスーッと池の真ん中に去ってゆき水を蹴って羽ばたきを始めた。身体が浮き、脚が水から離れた。水しぶきがキラキラと舞い、彼女はらせんを描いてぐんぐん上昇していった。

 と、突然和也が手すりを乗り越え、ウッドデッキの下の池に身を投げた。周囲からキャーという悲鳴が上がった。水深は腰までだったが、構わず和也はどんどん池の中に入って行った。

「さくらーっ! アイーっ 戻って来てくれっ。オレが悪かった。だから。もう一度やり直させてくれっ。さくらーっ! アイーっ! さくらーっ!・・・」

 池に集った住民たちからは、和也の正気を疑う声も上がったが、中には、

「奥さんと娘さんに逃げられて、白鳥に化身したと思い込んでるんだな。可哀そうに。無理もないな・・・」

 と憐れむ者もあった。

 さくらとアイを呼ぶ声はマンションの壁にこだました。それは、マンションと住宅地の人々の耳朶を弄った。


 

 近所の人々の予想に反して、和也は506号室を引き払わなかった。

 マンションの管理組合に掛け合って、雑木林の草むらの一角、池のほとりに一本の桜の苗木を植えさせてもらった。

 その年の秋、再びオオハクチョウの群れがその池にやってきたが、もうあの金冠をつけたカップルの姿はなかった。そのかわり、赤い強毛のメスが若いオスとつがいになって現れたのを見て、和也は顔をほころばせた。

 その翌年の春。まだ細い桜の木に美しい花が咲いて池の水面に映えるころ、赤い強毛は桜の枝の下で夫と戯れ、506号室のベランダの和也を見上げ、クアー、とひと鳴きして北の国に戻っていった。

 もう人々は「タタリ池」とは呼ばなくなった。

 誰からともなく、いつしかその池は「さくらが池」と呼ばれるようになった。


 


 


 

                   了
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