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第一部

第二話 最初の依頼人 ヤリマンのヒグチ・カオリ (前編)

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 家に帰った。

  宿題をしていると、スマホが鳴った。

「来たよ~ん」

 トーク画面には可愛いピンクの子豚のスタンプが付いていた。

「あいつめ! ふざけやがって・・・」

 ぼくはスマホをジャージのポケットに突っ込み、下に降りた。

「あのさ、ちょっと友達と会って来る」

 リビングにいたオカンに声を掛けた。

「カギ持ってってねー」

 TVに釘付けになっているオカンはぼくを振り返りもせずにそう言った。こういうウチのオカンのような「韓流ドラマ」に夢中になっている中年のオバハンは今、全国至る所に生息しその個体数を増殖させつつあるらしい。

「はいはい」

 ぼくは家を出た。

 冷房の効いた家から外に出ると、もわんとした夜の熱気に包まれた。

 ホンネを言えばこんな夜は出歩きたくない。だが、カオリはいっぺんシメとかないと。これ以上無秩序に依頼人を増やされるととても困る。ぱっと見、ゼツリンに見えるぼくにだって、限度と言うものがある。そんなにのべつ幕無しにセックスばかりしているわけにはいかないからだ。

 いつもの公園のベンチにヤツはもう来ていた。

 チビTシャツの上に腕まくりした薄いパーカー。そして超ミニのフレアの下はビーサン。

「よお!」

 会った早々、こんな軽口を利くカオリ。ぼくは思わずムッとして、言った。

「お前なあ! よお、じゃねえだろっ!」

「怒ってんの?」

「当たり前だろ! これでもう6人目だぞ、勝手に話広げやがって!」

「だって、ヒロキに言うとダメっていうんだもん」

 ぼくはため息を吐いた。

「お前、実は面白がってるだろ?」

「へへ」

「あのな、笑い事じゃな・・・」

 急にキスしてくる。

  カオリは、美人っていうよりカワイイっていうタイプ。マリみたいなツンツンしてるのとは正反対。どっちかというと、おちゃらけてる方だと思う。少なくとも、ぼくの前では。

 でも、コイツはキスが、めっちゃ、上手い。

  それでいつも最後にはゴマかされてしまうのだ。自然ぼくのはムクムクと反応してしまい、そんで、抱きつかれてぴったりカラダを密着したカオリにそれを知られてしまうのだ。

「うふっ・・・。カタくなってんじゃん」

 小悪魔のように、カオリは笑った。

 カオリの髪は少し湿り気が残っていてシャンプーの香りがした。シャワーを浴びて来たのだろう。それに、かすかな体臭も。ここまで歩いてくる間に汗をかいたのだろう。男にも女にもそれぞれ固有の匂いがある。マリのより淡くて甘い匂いだ。マリのもよかったが、カオリの匂いはよりぼくの好みに合っている。コリコリした乳首がぼくのハラの上らへんをくすぐる。ノーブラかよ・・・。

「とりあえず、行こ?」

「行く? どこに」

「ゆっくり話がデキるとこ。そこで説明してあげる」

「いいじゃんか、話ならここですれば」

「ここ、蚊が多いしさ。聞きたいんでしょ? マリ先輩のコト」

 暗いとはいえ、カオリは大胆にも公園のベンチでぼくのナニをジャージの上からスリスリし始めた。そして、なんと耳に舌まで突っ込んで来る。ゾクゾクッ・・・。

「ねえ、行こ?」

 カオリの瞳の奥が遠い街灯の灯りに妖しく光った。

 

 話したように、コイツがぼくの最初の依頼人というか、企画人というか、ぼくがこういう趣味というかボランティアみたいなコトをするようになったキッカケになったヤツなのだ。

  だからコイツは、ぼくのシンジツをみんな知ってる。本当はぼくがゼツリンなんかじゃなくてただ単に女の子のナカや手コキやフェラとかでイケないのも、オナニーならソッコーで出せるのも、全部知ってる。さしずめぼくはコイツに

「キンタマ握られ状態」
    
  にあるワケなのだ。

 それだけにハラが立つし、それだけに、無碍(むげ)にできないのだ。


 

 カオリに連れていかれたのは公園から近い元音楽教室だったところだ。

 不動産屋の「貸店舗」のカンバンが立ち、建物には錠がされ駐車場はトラロープが張られて車が入れないようになっていた。その前はダンス教室だったし、その前はオートバイのリストアをする店だったような気がする。どの街にもこういうところはある。誰がどんな商売をしてもなかなか繁盛しない。だから頻繁に店子が変わる。うろ覚えだけどたしか、一番最初はコンビニだったはずだ。

 ぼくたちは裏口に回った。鉄のドアに警備会社のステッカーが貼ってある。だけど、ドアノブが壊れていてドアが少し、開いていた。

「入るの? まずいんじゃないのか。立派に不法侵入だろ」

「わかんなきゃいいの」

 カオリにはこういうクソ度胸と言うか無頓着なところがある。

 中は思ったほど暗くはなかった。一番最初がコンビニだっただけに、表に面した方は大きくガラス張りになっていた。そこにクロスのようなものが張られて外は伺えないのだけれど、そのクロスが街灯の灯りにぼんやりと浮かび上がっていた。

 チェーンでない、個人の子供向けの音楽教室に使われていたらしく、クロスには色画用紙で切り張りしたクマさんやウサギさんやカエルさんが音楽の記号を撒き散らしながら踊っている「壁画」が描かれてあった。だが、シルエットになってしまっていて、それがちと、不気味さを演出していた。ここが音楽教室だったことを示すものは、それだけだった。ピアノやら太鼓やら楽譜とかみたいな売れそうなものは全て持ち去られてしまったのだろう。

 壁際に二人がけのソファーがぽつん、と置かれていた。売れそうもない、破れてスポンジがはみ出した、安物のボロいやつだ。

「座って」

 ぼくはいろいろ観念して座面に広げてあった古い新聞紙を取り去った。街灯の灯りが剥がれかけたクロスの隙間から差し込んでいて、少しホコリが舞ったのが見えた。

「ムード満点の、オツなとこだな」

 ぼくの感想へのカオリの反応は、めっちゃ濃厚な、ケダモノみたいなディープキスだった。

 舌を絡ませ合い、くちびるを吸い合い、カオリの舌先がゆっくりと軟体動物のようにぼくの歯茎を舐め回した。そんなスケベな熟女みたいなやりかたを現役のJKがやってるから、余計にエロかった。

「ケチャップの味がする。夕ご飯、オムレツだった?」

「話すんじゃなかったのかよ」

 ぼくは口のまわりのよだれを払って、尋ねた。

「話の前に、することしないと、落ち着かないじゃん」

「結局、そうなんのかよ・・・」

 甘い匂いが、濃くなった。鼻息がぼくのうなじをくすぐる。コーフンしてるんだ。

 カオリはぼくの手を取って自分のフレアの下に滑り込ませた。指先がすべすべした太股を滑って脚の付け根、股間に届いた。そこに、柔らかい毛の感触があった。

「ぱんつ穿いてないのかよ」

「だって、どうせスルんだし。脱いできちゃった」

「脱いできちゃったって、お前・・・」

 もういちどキスでぼくの口は塞がれ、同時にカオリの手がぼくのジャージのゴムの下に滑り込んでさらにぱんつの下にも潜った。さっきからのキスで半勃起ちしてるそれを握ってコスりはじめた。キスだけじゃなく、カオリは手コキも上手い。中2でロストバージンしてると言っているから、マリよりも、こんなことをしてるぼくよりも確実に経験値は高い。

 自然に指先はカオリのヘアの奥に進んでしまう。むしろカオリの方が脚を開いて腰を進めて来た。もっと触って、みたいな。そこはもう、ぐちょぐちょに濡れてた。

「昨日からずっとなんだ。だからぱんつ穿けなかったの。ヒロキがマリ先輩としてると思ったら、こんなになっちゃった」

 甘えたようにぼくの耳元にこんな言葉を吹き込んで来る。

「もう準備オッケーなの。・・・して?」

 ぼくのをシゴく指先に力が籠る。指だけじゃなくて掌全体で先っぽを撫でまわされる。これが、けっこう、キク。でも、出ないんだけどね。

「お願い・・・」

「まだマックスじゃないけど、いいの?」

「ん、もうっ!」

 ぷんぷん怒りながらぼくのジャージに手をかけてブーメランと一緒にズリ下げようとするのを腰を浮かして援けた。で、パクッと。

 でも、キスとは違い、むしゃぶりつく、ってのでもない。カオリのフェラには自然な慣れが合って、ヨユーがある。舌を巧みに使いながら、ぼくの反応をチラチラ見ているのが、またなんともエロい。マリは本で読んでやり方を覚えたという頑張り屋さんだが、カオリのは経験の豊富さから来る熟練のワザ、って感じがする。まだ、高2なのに。

 しかし、めっちゃ、気持ちいい・・・。サイコー・・・。

 おかげで「マックスバリュー」になったけれど、でも、イケないんだな、これでも。

「も、いいでしょ! 早くしてっ!」

 ぷんぷんしながら顔を起し、ソファーの背もたれに手をついてお尻を突き出した。カオリはバックが好き。マリと同じで、だいぶ下付きだ。

 じゃあ、するか・・・。

 ぼくは、立った。立ちバック。

 カオリのフレアをぴらっと捲った。表の街灯の灯りに、彼女のまあるいお尻が浮かび上がる。そこをしばらくナデナデした。

 マリほどじゃないけど、カオリもお尻から太ももまでの肉付きがいい。テニスをやると、みんなこうなるんだろうか。極めてぼく好みのお尻と太ももなのである。

「ねええっ! 何してんの? さっさとちょうだいっ!」

 へへ。めっちゃ、ジレてやがる・・・。

「はいはい」

 ぼくはシャフトを持ってカオリの入り口に当て、そこでなんどか上下して溢れてるラブジュースを塗した。

「んんっ・・・」

 期待感からなのか、早くも高まって艶のある鳴き声をあげるカオリ。背もたれに肘をついてさらにお尻を突き出し、指を噛んでいる。

「じゃあ、行くよ?」

「早くっ!」

 めりめり。ぐちゅぐちゅ・・・。

「んんっ!・・・、ぐむんっ!・・・、」

 抑えてはいるけど、喜悦の声? が上がった。

   めっちゃ、気持ちいいんだろうなあ・・・。

 キツキツのカオリの入り口のせいでぼくのもめっちゃ、気持ちいい。マリよりもキツキツに挿入れたことがあるって話したけど、それはコイツのことなのだ。カオリは間違いなく「ヤリマン」だけれど、その割にはここがキュウキュウに締まる。

 コイツとはもう何度もセックスしてるから勝手がわかってる。マリの時みたいに遠慮なんかしないで、そのままゆっくりと腰を進め、最後まで、挿入れきった。

「んあっ! ・・・んん、んんっ! きも、ち、いい・・・。・・・。・・・」

 最後まで全部挿入れきって、そこでしばらくそのままでいる。これがカオリは好きなのだ。自分の奥でぼくのを愉しみたいらしいのだ。奥がぐにゅぐにゅ蠢いて、やがて勝手に、イク。

「・・・・・・・。・・・。・・・」

 女の子にもいろんなタイプがいる。

   マリみたいに、最初は恥ずかしがって抑えていても、慣れてくると地が出てくる子がマジョリティーだけど、最初っからけだものみたいに吼える子もいるし、淫語連発する子もいる。

   コイツはあんま声は出さない。目瞑って、指噛んで、

「あむっ!・・・、んんっ!・・・、・・・っく、う、んんっ・・・」

   気持ちくて陶酔? ってカンジ。バックだから見えないんだけど。

   カオリが本当に気持ちくてイクときは、無言になる。口だけパクパク、ワナワナ。カラダじゅうでピクピク、ビクンビクン、ガクガク。声が出なくなるほど気持ちいいらしいのだ。そしてぶわっと、汗が浮いてくる。それが、タマラなく、エロい。

 ぼくは男だから、そういう女の子の気持ちよさのレベルゲージのようなものは実感できない。それが少し、羨ましいような気もするんだけど。

 最初のオーガズムが終わって、そこから、抜き差しが始まる。カオリはイキやすい。一分も経たないうちに何度かイク。イクたびに動きを止めてやる。連続すると過呼吸気味になることもあるからだ。これでも気を遣っているのである。でも、

「ああ、んっ、きも、ぢい”、 い” い”ーっ・・・。もっとっ!  もっと突いてェッ!  」

   あそこをキュッキュ締めてくる。ピストン再開してやると、

「あ、・・・いいっ!・・・、ぎも”ぢい”、・・・っ い”よ”、あ”ん”っ・・・」

   このレスポンスは、マジ、萌える。エロい・・・。

 ぼくのちんこで無我夢中になって悶えまくるカオリの姿を見下ろしながら、ぼくは思い出す。

 ぼくがこんな風になった、カオリとカラダの関係になった、そもそものキッカケと言うか、原因と言うか、その「事件」があったのは、ちょうど1年前の高1の夏休みだった。

 そうか。もう一年になるのかなあ、と。


 

 その悲劇と言うか、むしろ喜劇というべきものが起きたとき。ぼくは人生最初の彼女が出来て有頂天になって青春を謳歌していた。
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