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2023

「ガンプラ」から「ウォーターラインシリーズ」、そして「戦記オタク」を経て、「ただのひと」へ

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 いつもお付き合いいただき、ありがとうございます!


 


 

 さて、みなさんは某国営放送の、「博士●ゃん」という番組、ご存じですよね? あのアシ●マナちゃんとサ●ドがでてる、アレです。

 いやあ! 毎度毎度、スゴイガキがでてきますよねえ、ええ。

 一般の、ほかの子たちが、やれガンダムだ、ドラゴンボールだ、鬼滅だ、と大騒ぎしてるのにまるで無関心に、一心不乱に、

「なんでそんなん?」

 というものにコリまくってる子たちが登場してきます。

 青森のねぷた/ねぶた博士とか、電柱博士、時計博士、地層博士、看板博士。

 信号博士、なんて子もいましたね。あれはビックリしました。部屋中、交差点の信号だらけ。

 ごっつ、極めとるな~・・・。

 思わず食い入るように観てました。

 

 でも、あそこまでは行かなくとも、今にして思えば、なんか、

「なんでそんなんオモロイン?」

 と言いたくなるようなワケわからんモンにハマったことあるなあ・・・。

 そういう経験をお持ちの方、いないですか?

 それなのに、今はもう、いつの間にか、それにハマってたことすら忘れかけちゃってる、みたいな。


 

 小生の場合、それは、

「ウォーターラインシリーズ」

 でした。

 

 きっかけは、しかし、「ガンプラ」だったんです。

 

 時は、小生の不肖の兄たちが「ガンプラ」作っては遊んでぶっ壊してた時期に遡ります。

 すでに、いわゆる「ファースト」の放映が終わってて、世に「ガンプラ」が出回り始め、小中高校生を中心にコアなファン層が形成されてきつつあった時、とでもいいましょうか。

 兄たちが楽しそうに「ガンプラ」を作っては壊して遊んでいる。

 小生はただ、それを指をくわえて見ていた、ガキでした、ええ。

 当然に欲しくなりますよね? 当たり前です、ええ!

「ボクにもかして~!」

「ウルセー! お前にはまだ早いの。アッチいけ!」

 でも、幼い弟の非常な願いをアッサリ無視できるほどに、兄たちは薄情で、残酷でした、ええ。

 そして、まるで小生に見せびらかすようにして「ガンプラ」で遊ぶのでした。

 兄たちが学校へ出かけてしまった後は、小生の独壇場でした。

 当然のように兄たちの「ガンダム」や「ザク」を手に取り遊びに興じるのですが、当然のようにすぐに腕や脚が取れてしまったのが露見してしまい、

「おい! お前、イジったろ!」

 で、イジめられる。

 そんな日々を送っておりました、ええ。

 実に悲しい幼年期、でありました。


 

 で、くわえてばかりいた指がふやけ始めたころ。

 ようやく小生も「ガンプラ」を買ってもらい、死ぬほどうれしかったのを覚えています。

 ところが。

 兄たちの見よう見まねでニッパーを使いセメダインを着けて夢中になって組み立て、

「さあ遊ぼう!」

 となったところで、それまでのガンプラへの熱い思いがなくなっているのに気づいてしまいました。

 プラモデルは作っている最中は楽しいけど、いざ出来上がってしまい製作中の苦労を思い出しつつ完成の感慨に耽った後、急に熱が冷めてしまうのはその後何度も経験するわけですが、それとはまた違う喪失感に子供ながら襲われてしまいました。


 

 それでも、その後もザクとかズゴックなんかを作った記憶はあるのですが、最初のころの感動はもうありませんでした。

 そして、兄たちも次々にガンプラを卒業していった、そんなある時。

 行きつけのプラモデル屋さんに飾られた新しいジオラマに、小生は心を奪われました。

 それは、どこかの港を再現した風景でした。

 真っ青な港に灰色の岸壁。埠頭にはいくつもの燃料タンクが立ち並び、ガントリークレーンが立ち、白いウェーキを曳いた小さなタグボートが今しも一隻の船を岸壁に接岸させようとしている。そんな情景を現したものでした。

 船は、軍艦でした。

 小生が「ウォーターラインシリーズ」に出会った、最初でありました、ええ。


 

 毎度、ウィキペディアにはこうあります。

「ウォーターラインシリーズ(WATER LINE SERIES)は、艦船の喫水線から上のみを1/700スケールで模型化した、プラモデルシリーズの一つ。静岡模型教材協同組合に属するタミヤ、アオシマ、ハセガワの3社が分担して開発を行っている。

1971年の発足当初は第二次世界大戦時の日本海軍艦艇をプラモデル化する事で始められ、後に外国艦艇や客船も発売されるようになった・・・」


 

 要するに、軍艦のプラモデルです、ええ。

 それまでの軍艦のプラモと言えば、喫水線下もちゃんと付いてて専用の架台に載せて飾られる式のものばかりでした。

 でも、実際に見ることのできる船は海面から上の部分だけです。現実には、建造中かドックに入ってメンテナンスを受けるときぐらいしか、我々が喫水線下を見ることはありません。要するに、それまでの船の模型というものは、帆船であれ汽船であれ、どれほど精緻に精巧につくられたものであっても船のようであって船でない、「リアリティー」がなかったのです。

「ウォーターラインシリーズ」は大胆にも喫水線下をカットし、逆にリアリティーを高めた、当時としては画期的な船舶模型だったと思います、ええ。

 小生がその魅力に憑りつかれたころにはすでに100を超えるタイトルが発売されていて、プラモデル屋さんの一角には専用の棚までありました。

 それまで作っていたガンプラはお小遣いとは別に親にねだって買ってもらっていましたが、小生はその時初めて自分の月々のお小遣いから、それを買いました。

 初めて買ったのは「重巡洋艦足柄」だったと思います。500円。サイフの中のお金ギリギリの値段でした。本当は「大和」が欲しかったけど、ガマンしました。

 荒々しい大海を勇猛に突き進む原画のパッケージを開くと、ビニールに包まれた、ガンプラよりもはるかに細かい部品が目に飛び込んできます。当時はそれを「おとなのかほり」だと感じていました。

 製作図に従い、一つひとつニッパーで切り離し、カッターでバリを取り、刷毛付きの専用接着剤で取り付けます。で、推奨の塗料を買い揃え、ムラができないように薄め液で濃度を調整しつつ、甲板の「タン」や鋼鉄の「艶消しガンメタ」を塗って行きます。

 部品の無いものは自作しました、ええ。

 ロウソクの火にランナーを翳して溶かし、引っ張って糸を作り、艦上に張られたワイヤーを作ったりもしました。

 プロの製作者はこれで舷側の手摺まで作ります。

 1/700ですから重巡洋艦でも約30センチほどの小ささです。プロはブリッジの横に張り出した観測台の手摺も、そこに設置された防弾用のクロスまで再現します。もちろん、20センチ砲の基部の白いカンヴァスの覆いとかもパテを使って忠実に再現しますし、マストや艦尾に掲揚された軍艦旗、搭載する二枚羽の水上機に張られたワイヤーまで、全て自作します。飛行機なんて、翼長たったの2センチですよ?! も、「神」以外の何物でもないです、ええ。

 もちろん、小学生ではそこまでは出来ませんでした。とうてい「博士●ゃん」には遠く及ばず、まったくの、ヘタレでした。専門紙に掲載された写真を眺めて「すっげー・・・」と溜息を吐き、いつかはオレも! と思ってただけです、ええ。

 

 ふたたび、ウィキペディアです。

「(1/700と、スケールが)小さいことから企画開始当初は比較的安価な価格帯で、シリーズ開始当初の1971~72年の価格は駆逐艦は100円、重巡は250円、戦艦・空母は400~600円だった。オイルショック後の1980年代中盤~後半には駆逐艦・潜水艦および輸送艦250円、巡洋艦500円、護衛空母・客船650円、戦艦・空母750円だった。その後原材料の高騰などにより価格は更に上昇し、2013年現在では駆逐艦が1000円前後、空母などでは3000円台の商品もある」

「下は小学校高学年から、上は社会人や高齢者の趣味として利用され、また実史に基くジオラマ作成にも用いられ、博物館などに収められているものも見られる」

 ちなみに、

「田宮模型(現タミヤ)社長の田宮俊作が提案し、1971年より静岡に本社がある静岡模型教材協同組合に属する青島文化教材社、田宮模型、長谷川製作所、フジミ模型の4社の合同企画としてスタートした。シリーズ開始に当たって、各社が担当する艦はくじ引きで公平に決められた。ただし、大和型戦艦に関しては提案者特権でタミヤが担当したことを暗に匂わせる発言を田宮俊作がしている・・・」

 そうした記述もあります。

 現在では一番人気の「大和」が3000円以上もするとか。「原子力空母エンタープライズ」なんかは5000円に手が届くほど。

 モロ、時代を感じます。

 

 ちょうど小学生から中学生の時期。

 小生は「ウォーターラインシリーズ」の艦隊を作り続けました。

 あの熱意はいったい何だったんだろうか、と思うぐらいでした。あの膨大な熱量を勉強のみに費やしていたら、きっと今ごろは・・・。何度もそんな回顧をしては、決して逆さまに流れない時の流れの残酷さに身を捩っております。今ではもう、どうしてそんなに熱かったのか、まったく理解できないぐらいの、熱量でした、ええ。

 作るだけでなく、付属の組立図に書かれているその艦の履歴、参加した海戦などの文章にもつぶさに目を通しました。だけでなく、学校や街の図書館まで行って子供向けや時には大人向けの戦史にも目を通し、例えば、

「ミッドウェー海戦時の第一、第二航空戦隊」

「第一次ソロモン海戦時の第八艦隊」

 などと作戦別に買い揃え、作ってはディスプレイして楽しみ、時に床の上に習字で使うフェルトの下敷きを敷いてその上に単縦陣とか対空陣形とかに並べては写真を撮る、なんてこともしたりしました。BGMにショスタコーヴィチの第五番最終楽章とかホルストの「惑星」の「火星」など勇ましいものをかけたりして、一人悦に入っていたものです(小生の敬愛する田中芳樹の「銀英伝」初期アニメ版では、戦闘シーンにドヴォルザークの「新世界より」とかベートーヴェンの「第七」とかが使われていてめっちゃカッコよかったです! 音源はたしか、カラヤンが振ったベルリンフィルだったような)。

 アクセサリーも充実していて、先に挙げた埠頭や岸壁のシリーズとかタグボートや艀、輸送船など、ジオラマにした際のリアリティーを高めるパーツも多種あったように思います。

 ですが、あれだけ欲しかった「大和」はついに作らずじまいに終わってしまいました、ええ。


 

「大和」を作るより先に、吉村昭の「戦艦武蔵」をはじめとした戦記文学に触れたからかも知れませんし、それと並行するようにして「ウォーターラインシリーズ」のブームも徐々に下火になって行き、小生も勉強とブカツの方が忙しくなってしまい、高校に入ると、戦記や戦史の方に興味が行ってしまい、そのままになってしまっています。もしかすると、数々の軍艦の組立図の艦歴を熟読していたせいだったかもしれません。

 もう、当時作っていたのは一隻も残っておりません。写真も残ってません。全てことごとく小生の記憶の水溜りの中に撃沈されてしまいました。歳を降るにつれ、その水溜りの水量は増す一方です。

 ただ、そこはかとなく軍艦への思慕は残っております。

 いずれ、さらに歳をとってもうそれしかやることがなくなったらまたチャレンジして艦隊を復活しようかなとは思いますが、思ってるだけです。願わくばその時までメーカーさんが発売していてくれますようにとお祈りしております。

 そして、「戦記」オタクとなって、社会に出てからもしばらくはその「微熱」が続いていたのですが、今ではもう、「ウォーターラインシリーズ」どころか模型すら作らなくなり、戦記も読まなくなり、まるっきりの「ただのひと」になってしまいました、ええ。

 そして、最初に入った会社を辞め、今住んでいる田舎に越してきてからは物語を紡ぐおもしろさにハマってしまい、時折ハマった戦記を記憶の底を漁っては取り出して眺め、暇を見つけては、投稿サイトに書いている、今日この頃なのです、ええ。
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