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第三部 つくす
36 The Nightmare
しおりを挟む「ナツキ頑張ってるから、だからガマンしてんだよ。・・・でも、あたしだって、シタいよ・・・」
奈美の唇が夏樹のを食み、吸った。夏樹の手がスポーツブラの下に潜り込んでその控えめな乳房を包んだ。
「オレの手、冷たくない?」
「・・・うん」
手のひら一杯を使って外側からゆっくりと揉み込んでやる。
「気持ちいい?」
「・・・う、うん。・・・あ、・・・舐めて、チクビ・・・」
乳房を揉みながら舌を出して乳首の周りをべろーん、べろーんと舐める。
「コイツ・・・、くそ・・・、生意気にジラしやがって・・・。もっと強めに吸ってよ!・・・はあん!」
「あいかわらず、タカビー。信頼のナミ印・・・」
「うるさい、クソガキ! はあん・・・きもちい・・・」
強めに、と言われたのでちゅーっと吸い上げ、少し歯も立ててやった。
「はあう・・・、あ、あ、・・・」
背中をビクつかせ、奈美の手が夏樹の髪を掻き毟る。空いた手を奈美のジャージのズボンの中に滑り込ませ、下着の上から股間を触ってやる。すぐにコリコリを探り当てる。そこをさわさわかりかりしてやると、もどかしくなったのか顔を挟まれて再び唇を奪われ、舌が強引に入ってきた。このごろの奈美はめっちゃ、エロい。
「直接触ってェ・・・んねえん、焦らさないでェ・・・」
「触ってやるから、下、脱げよ」
こういう時の奈美は素直だ。夏樹から降りるやサッとズボンを下ろし、再び跨った奈美の大きな裸の尻を揉み込んだ。
「ああん・・・」
「もっと触って欲しい?」
「うん・・・。もっと、もっとしてェ・・・」
「ダメ」
夏樹は揉み込んでいる手を止めた。
「ええん? なんでェ・・・」
キーボードを奥に押しやり、奈美が尻をかけられるだけのスペースを作る。
「ここ座んな。言うとおりにして」
「ええん、またあ・・・。やーん」
そう言いながらも夏樹の言葉に従う。やっぱり奈美は、Mだ。
「脚広げて。じっくり見せて」
「やん、ハズイよーんんん、ああ、やあーん」
夏樹は奈美のそこを言葉通りにじっくりと視姦した。初めてのころは両側が盛り上がって真ん中の筋がぴったり閉じていたが、次第にそこから中の襞がわずかに顔を出して濡れているのを見せるようになった。
「もっと、ちゃんと広げて。片足机に上げて。言うこと聞かないとシテやんないぞ」
「も、うるさいーん。・・・ああ、恥ずいよーんっ! 」
顔が真っ赤だ。目も潤んでる。頼りなげに夏樹を見下ろしてくるのが、余計に夏樹の加虐心をくすぐるのをわかっているのだろうか。
「じゃ、自分でやって見せて。このまえやったろ。できるよな」
「もやだあ、そういうのばっかしぃ・・・」
「好きなくせに、そういうの。好きだろ? 自分でするの見られるの。ほら、片手後ろについて。片手はこう・・・」
奈美の手がキーボードに触れポロンと音が鳴る。諦めたのか、もう片方の手が叢を降りてコリコリのフードの上からそこを揉んだ。
「オレ、開いてやるよ。ナミのここ。いい? 開いて見てってゆって」
「そん・・・ああ、やあーん・・・」
「ゆって! あたしのマンコ開いてじっくり見て、って」
二つ年上の付き合いの長い幼馴染。いつもは可愛い女と大切に思っている奈美だが、彼女の隠れていた性癖を知ってからは、そしてそれを刺激されて奈美が感じるのを知ってからは、夏樹は時に残酷なほどSになる。それに違和感も持たなかった。誰に強制されたわけでもない。奈美がそれを望み、夏樹がそれを与えられるのを知ったからだ。
「・・・開いて、見て、あたしの、・・・マンコ・・・」
両手でそこをグッと開く。中から透明な液体が流れてくる。その淫靡さがまだ14才の男子を、にわかではあるけれどいっぱしのサディストに変えて行く。
「めっちゃ、やらし・・・。ぐっちょぐっちょ。舐めてって言って。早く。舐めてって・・・」
「やあーん!・・・。舐めてェ・・・あたしの、舐めてェーん」
奈美はイキそうになっていた。すごいMだと思う。想像しただけで絶頂しかけているのだ。夏樹は、その秘裂を下からべろんと舐め上げた。
「あひゃ!・・・あう、・・・あ、んんんんん・・・」
奈美は身体をガクガクしながら仰け反った。そこを容赦なく舐めまくり、フードをめくりあげてクリトリスの周りを舌でグリグリ舐め回し、強めに吸った。
「アーッ! だ、めあああん、また、またああんっ!・・・」
その時、階下で物音がした。
「おい! 玄関、カギ閉めた?」
「はあん、はう・・・」
奈美は絶頂の余韻から、まだ覚めていなかった。
「イッてる場合じゃないって。カギ! ちゃんと閉めたか?」
「・・・閉めた、と、思う・・・」
「じゃ、きっとオヤジだ。早く、服着て!」
「ええっ!・・・ちょ、やあん・・・」
アタフタしているうちに、足音が階段を上がって来た。ドアがノックされるのと、なんとか服を着た奈美がベッドに座るのとが一緒だった。でも雰囲気でバレそうだなとは思った。奈美の顔は、風呂上りみたいに真っ赤で今にも湯気が上がりそうだったからだ。
「入るぞ」
「うん」
しばらくぶりの父は、疲れた顔をしていた。
「・・・こんばんわ。おじゃましてます」
と奈美は言った。ふと見ると、机の下に奈美のぱんつが落ちているのに気付いた。足でそおーっとさらに奥に押しやった。
「いつもナツキが世話になってるね。ありがとうな、ナミちゃん。・・・あらためてお母さんにもお礼にあがらないとな」
「・・・いえ。・・・じゃ、あたし、これで」
「あ、戻る? 勉強見てくれてありがとな、ナミ」
我ながら白々し過ぎると思ったが、この際、仕方ない。
「あとで電話して。じゃ、失礼します」
カバンを持って、奈美はそそくさと部屋を出て行った。
あとに、気まずい空気が残った。
夏樹は何気に口を払った。奈美のインモーとかがついていないか、チェックする暇がなかったのだ。
「これ、遅くなったが、今週の分な」
父は前と同じ裸の三万円を机の上に置いた。
「ナミんちに世話になってるから、こんなにいらないよ」
と、一応は言ってみた。
「まあいい。あり過ぎて困るもんじゃない。それと、これな」
そう言って通帳と印鑑とカードをだして金の上に置いた。
「転勤になった。頻繁に来れなくなるから、置いて行く。暗証番号はお前の誕生日だ。1224」
「・・・うん」
「それと、この前のメールでお前が寄越した番号だが・・・」
「・・・うん」
「あれは、なんだ」
もう言ってもいいだろうと思った。訊かれたら答えようと思っていた。美玖もそれを覚悟の上で番号を伝えろと言ったのだろうから。
「ミクさんていう、女の人」
「・・・誰だ、それは」
「家出した時出会って、世話になった人」
「・・・どういう人なんだ」
「ミクさんは一人旅だった。それで、オレと・・・。スゴイ、いろいろ、助けてくれたんだ。それで、今も、お母さんを探すのを手伝ってくれてる」
「なに・・・」
「オレ、あの山の中の家に行った。お母さんは住民票を移して、いなくなってた。あの家も、銀行の持ち物になってた。移転先まで行った。瀬戸内海の、島。そこで、伯父さんは死んだ。死んでた」
夏樹は一歩も引かなかった。
「お母さんはそこにもいなかった。その行方を、ミクさんが今、探してくれてる」
「赤の他人がか!」
「赤の他人でも!」
夏樹は一歩、父の前に進み出た。
「赤の他人でも、実の父親より、家族なんだよ、オレにとっては!」
噴火直前の活火山。
父にそんな印象を受けた。
普通、夏樹ぐらいの年頃の少年ならば、父親に対してそんなに冷静に観察できる方が珍しい。多くは反抗して無視するか、無口になるか、暴れるか。あるいはまれにフレンドリーな関係を構築するか。いずれにしても、近親者だから。ポジティヴかネガティヴかはあれど、クールにはなかなかなれない。
夏樹は活火山を前にして地質学者のような冷静な目で観察した。大噴火するか、このまま鎮静化するのか。
ふっ。
父は鼻で笑った。
「家族か・・・」
「なにがおかしいの?」
その問いに、父は答えなかった。
「あなたのケータイの番号も、ミクさんに伝えました」
「・・・そうか」
と父は言った。
「・・・他に何か、困っていることはないか。保護者宛のプリントとか、学校に払わなきゃならんものがあるとか・・・」
「今は、ないです」
「そうか・・・」
父は手帳を取り出して何かを書きなぐり、ページを切り取って通帳の上に置いた。
「オレの赴任先とアパートの住所だ。ナミちゃんちに挨拶して帰る。身体に、気を付けるんだぞ。じゃあな」
そう言って、父は部屋を、家を出て行った。
パソコンとピアノを片付け、奈美の家に行った。
玄関の上がり口で奈美が仁王立ちになって腕組みして何故かウンウンと頷いてた。奈美の母が一瞬だけ複雑な顔をしたがすぐに、
「汚れ物持ってきた? 先にお風呂入っちゃいなさい。ご飯はその後でいいわね」
そういってパタパタ台所に行ってしまった。何故かエプロンの端で目のあたりを拭いていた。
「そういうわけだから、早くフロ入ってきな」
やはり奈美はウンウン頷きながら腕組みしたままだった。
夕食の後、奈美は母親と、ちょうど帰って来た父親に向かって宣言した。
「あたし、今日はナツキと一緒に寝る。エッチなんかしないよ。今のナツキにはそれが必要だから。いいよね?」
「ナミ! お前・・・」
奈美の父は目を白黒させて驚いていたが、母がそれを制した。
「いいの。あたしに任せて。
ナミ。ナツキをあんたの部屋に連れて行ってあげなさい。ママね、あんたを信頼してるから。ママは、どこまでも、あんたとナツキの味方だから。
ナミ。その言葉の意味、重さ。・・・よ~く、肝に銘じなさいよ」
奈美は大きく頷くと、夏樹を促した。
「ナツキ。・・・上行くよ」
パジャマ姿の奈美のデカいケツを追って階段を登り、部屋に入った。奈美はすぐにベッドカバーをまくり上げて上掛けをめくった。
「もう寝な」
言われた通りに奈美のベッドに入ると、灯りを消した奈美が隣に来て夏樹を抱きしめた。
「あたし、どこまでも、あんたと一緒だから」
と、奈美は言った。
彼女は、夏樹の母はたしかにこの街に、このネオンの眩い色町に来ていた。それだけは確実だ。だが今のところそれだけが、ここに来た収穫だ。
だが、この先どうしたらいいのか。
うまい考えが浮かばないまま、昨日訪れたあのソープ街に来ていた。華やかな店先の連なる通りを一望できるコーヒーショップで、なにをどうするあてもなく、漠然と窓の外を眺めた。
やがて嬢たちの出勤時刻が来て、地下鉄やタクシーからそれらしき人影が色町へ向かってゆく。彼女たちの服はごくありふれたものだ。普通のOLと変わらない。違うのは出勤時刻の差だけだ。
夕刻になるとキャバクラやバーやナイトクラブに勤める女たちが華々しい衣装とヘアで出勤してくる。それから小一時間すると、ソープ嬢たちの、それも比較的年嵩の女たちの退勤時刻になる。
ダメ元でもう一度彼女たちに目を凝らした。
面長。タマゴ型。富士額。色白。目元は切れ長で、落ち着いた和風の美人顔。
そんな顔を探した。
あの、一見人のいい店長が言う通り、少なくともこの界隈にはいないのかもしれない。でも、いまの美玖にはどうしたらいいのか、わからなかった。
このままこの街に滞在していても埒が明かないなら、一度、帰ろうか。そろそろ、スポットにしても仕事をしなければならない。美玖が生きる街は、ここではないのだから。
そう思って、冷えたエスプレッソの残りを啜り、席を立とうとした時、
「おい! ミクじゃねえか」
あまりにも古い、そしてイヤな記憶が一瞬でよみがえった。
彼は、十年以上も前の、いかがわしく、下卑た笑顔のまま、そこにいた。
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