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第十四夜 あなたにもっと犯されたい。門倉医師の治療 三回目

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 ベッドの上で、紗和の唇を左の耳に感じ、耳の穴の中に、彼女は語り始めた。お馴染みになったベビーオイルで屹立はヌルヌルと扱かれ、時折乳首を痛いほど、吸われた。紗和は譲治の左手を導き、自分の股間をあの黒いタマゴのオモチャでイジらせた。中指と薬指をずっぷりと中に挿入させ、蠢かせた。譲治はときおり掌でタマゴをクリトリスに押し当て、転がした。そしてその黒いオモチャをヴァギナの中に出し入れして虐めて、と。

 股間への刺激と自ら語る内容への昂奮とが、紗和を熱くしていた。時折ピク、ピクと身体を震わせ、その度に感極まったように唇から暑い吐息を吐き、譲治の耳や鼻にかけた。妻の異常な昂奮を感じ、たまらずに唇を吸う。紗和はそれに応え、熱く濡れた舌を捻じ込んできて譲治の舌と絡ませた。はあ、はあ・・・。ぴちゃ、くちゅ、ねちょ・・・。紗和の淫らな呼吸と唾液が跳ねる音がさらに昂奮を高めた。

「あっ!・・・、クリ、ニックに着く前に、先生、から、LINEが入りました。クリニック、の前に駐めてあ、る車に乗って、とん・・・。んっ・・・。銀、色の高級車の運ん、転席に、和服みたいなのを着た、先生が、いました・・・」


 

 先生は浅黄色の作務衣を着て雪駄を履いていた。

「今日の施術は、場所を変えることにしました」

 と、彼は言った。

 伝染病のせいか、恒例の渋滞もなく、ろくに言葉も交わす間もなく、車は平素なら若者で賑わう街についた。若者も巣ごもりなのだろうか、あまり人は見掛けなかったが。

「車を降りれば私はあなたの主人になり、あなたは私の奴隷になります。言葉も、相応に。いいですね?」

 と、先生は言った。

 そこは古びたコンクリート造りの四階建てのアパートだった。壁には一面アイビーが這い、そこここの窓にはカラフルな装飾やサインやオレンジと白や緑や黒の日除けがかかっていた。欧州に旅行したときにロンドンの郊外とかイタリア北部の街を歩いていてこういう街並みを見たような記憶があった。ペイヴメントには伝染病が蔓延する以前の人並みはなかったが、若者の街らしく、紗和よりもはるかに若い女の子たちが黄色い声を上げながらそこここを気ままに歩いていた。

「ここはその昔『文化住宅』といって、建てられた当初は当時の流行に敏感な方々にもてはやされたそうです。築五十年は経ってますかねえ・・・。もちろん、当時は住宅だったのですが、今はもう住居として入居しているひとは少ない。ほとんどが店舗になっています。

 さ、入りなさい」

 穏やかではあったが、先生の口調は確かに命令形に変わっていた。

 すれ違うのも困難なほど狭い階段を何度か折り返した。その間にいくつかの店舗の入り口を通り過ぎた。ネイルアートの店。アジアン雑貨の店。希少版専門のレコード店、それにタロット占いの館・・・。それぞれの入り口からは店舗の中が垣間見えた。感染予防のビニールが垂れさがり、そのわずかなたわみの向こうに若い女性たち、中には高校生や中学生らしき少女の歪んだ像が見えた。その人々の中では作務衣を着た中年男性と身体にフィットしたエロティックな黒いミニドレスのペアは異質に映ることだろう。

 三階の鉄のドアの前に立った。先生がカギを開けた。

「入りなさい」

 暗闇の向こうから締め切りのムッとするような熱気が紗和を出迎えた。

 先生に肩を押されて靴のままドアからの光だけが差し込むその部屋の中ほどに立たされた。と、カーテンがシャッと引かれた。オレンジ色の陽が目を射た。

 板の間の向こうが、畳敷き。畳の間には小さな四角い木製のちゃぶ台が載っているだけの、シンプル過ぎる部屋だった。ひとが生息し生活するためではなく、なにかを鬻ぐためのものでもない、なにか別の目的を持った部屋のように思われた。非現実感が紗和を包み、その雰囲気にかすかな畏れを抱いた。

 旧式の大きな音を立てるエアコンが動き出した。生暖かい風が頬を撫でた。

「暑いでしょう。ジャケットを脱ぎなさい」

 先生は紗和の上着を受け取り、畳んで畳の隅に置いた。そして彼女の背後に立った。セミロングの黒髪をさばいてうなじに触れた。

「きめの細かい、美しい肌だ。指に吸い付いて来る」

 編み上げたV字の背中に沿って指を素肌に這わせてゆく。それだけで、ゾクゾクと背筋を微弱な電気が走る。

「あ・・・、はぅ・・・」

 先生の指が前に回り、服の上から胸に触れる。飛び出している両の乳首が布地越しにつままれた。

「はあっ!・・・あ・・・、ああん・・・」

「それに感度もいい」

 彼の口髭がうなじに触れ、唇がキスをしながら肩に降りてくる。

「いいカラダだ」

 先生の両手はなおも服の上から紗和の身体を這いまわった。それが太腿に伸び、素肌に触れ、スカートの中に這入り込むと、肌が緊張した。指がショーツの上からそこをなぞった。

「あんっ・・・、うんっ・・・、はあ・・・あ、あ・・・」

「濡らしてるな。それに、熱い・・・」

「・・・は、はい・・・」

「欲しいかね」

 紗和の手が取られ、前回の施療で触れた先生の剛直に導かれた。それは恐ろしく硬く、巨きいものだった。手が勝手にそれを揉み擦ってしまう。

「ああ・・・」

「欲しいなら、言いなさい」

「・・・ああ」

「欲しくないなら、ここで終わりだ。・・・それでも、いいのかね」

 これを、この巨きなモノを受け入れてしまえば、狂ってしまうのではないだろうか。診察室で握らされたそれは、そんな怖れを抱かされるに十分なポテンシャルと魅力を持っていたのを憶い出す。

「・・・欲しい、です・・・」

 紗和は言ってしまった。

「そこに跪きなさい」

 先生は言った。

 紗和は木の床の上に膝をついた。目の前に先生の下半身がある。

「それを脱がせなさい」

「・・・はい」

 作務衣の下衣は和装のズボンだ。ベルトに当たるものが布の紐になっていてベルトのバックルのように腹で結ばれている。それを、解いた。下衣は先生の足元にハラリと落ちた。

 先生は白い褌を着けていた。

 その股間はすでに大きく膨らんでいた。紗和はゴクリと唾を飲んだ。

「端から手を入れて、触ってみなさい」

「・・・はい」

 褌の前の布の横、鼠径部から手を入れ、それに触れた。熱い。触れるだけでなく、握った。熱くて、それに、太い。布越しに紗和の手がごそもそ、それを弄るのが淫靡でたまらなかった。しかも自分の手がそれをしていることに、昂奮していた。

「大きいかね」

「・・・大きいです」

「取り出してごらん」

 褌の締め付けは緩かった。半ばほどの勃起だったが、その質量の巨大さに震えた。布を引っ張りそれを横から取り出した。先日握らされその目で見た、亀頭の巨きなそれを目の前にして再び唾を飲んだ。その逸物からは夫のモノよりも強烈な男の匂いがした。紗和は早くもそれに酔ってしまいそうな感覚を覚えた。

「もう一度訊く。欲しいかね」

「・・・欲しいです」

 亀頭は大きく傘が張っていたが、それにはまだ十分な硬さがなかった。紗和の手の中でやや項垂れて下を向いていた。

「じゃあ、やることは、わかるな?」

「・・・どうしたら、いいですか」

「散々仕込まれているくせに、言わせるのかね。・・・仕方がない。男と女が出会えば、まず最初にするのはキスだろう?」

「・・・はい」

 紗和は口をすぼめた。その亀頭の先にチュッと口づけした。

「そのまま。キスの後は、愛撫だろう。口をつけたまま、舌先で先をつつく。それを徐々に円を描くようにしてゆっくり舐めながら亀頭全体を舐めまわしてゆく。簡単だろう・・・」

 紗和は言われた通りに舌を使った。徐々に口を開き、舌の動きを解放してゆく。口を開くほどに、舌を使うほどに、ああ、という声が自然に出てしまう。いらっしゃいませ、こんにちは・・・。周りの店舗の声。通りからの女の子達の甲高い黄色い声。そうした市井の音の中で、自分を意識する。非現実の世界で、非常識な行為をしている自分。自分はさぞイヤらしい顔をしているのだろう。そう思うと、感じてしまい、当然に、濡れて来てしまう。

「口を開けてすっぽり飲み込む。飲み込んでも舌は動かし続ける。愛撫したり、ギュッと抱きしめたり。それと同じだろう・・・」

 それはあまりに巨きすぎ、紗和の口に余った。えずきが出そうになるのを堪える。涙が自然に滲んでくる。思わず引こうとした頭をむんずと掴まれ、それが喉に押し込んでくる。

「もっと抱きしめてくれなくちゃ、昂奮しないじゃないか。それでもいいのかね」

 それは半ばまで押し込まれ、紗和の口腔を満たした。そしてゆっくりと出入りが始まる。

「おあ、・・・ごあは、・・・あがあ」

 手が自然に先生のモノから離れ、脚を押しその逸物から逃れようと突き放そうとするのだが、敵わない。よだれが口の端から溢れ、糸を引いて落ちて行く。先生の剛直を咥えさせられいいように口を使われる。そんな被虐の施術、プレイにさらにゾクゾクするような快感を覚え、濡らす。涙が、こぼれた。

 げほ、ごほ、うげあ・・・。

 やっと口が解放された。

 と、せき込む紗和を尻目に、先生は壁のクローゼットの衝立のドアをパタパタ開いて、無数にある棚の中から麻縄を取り出した。

「縛るぞ。嬉しいか」

 先生は紗和の結婚前の調教内容を知っている。それを見た途端背筋をゾクゾクさせて震えている彼女を見てほくそ笑んだ。

「そうか。嬉しいか。・・・なら、どんなふうに縛って欲しいか」

 紗和は無言で両手を後ろに回した。先生は紗和の背中に回り、その手首を上下に重ねた手に縛り始めた。縛った手首を小高手にし、胸の上を一周二周回して後ろで括った。V字に開いた背中に縄が擦れ、白い肌にザラザラした縄目の痕が付いた。

「さあ、紗和。もう一度、ご奉仕だ」
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