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第七夜 あなたに話したい。門倉医師の治療 一回目

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「わたしにあなたを紹介してくれた、峰岸。わたしは、彼と付き合っていたの。初めてを捧げたのも、彼。初めて女の悦びを教えてくれたのも、彼。

 わたしは、彼の、人形だった。

 わたしは、彼の、淫らな奴隷だったの」


 

 やはり、そうか・・・。

 譲治は思わず愛する妻の柔らかな身体を思いきり抱きしめ、その巨大な衝撃の中で、彼女の手の中で盛大に射精した。

 すかさず紗和は彼の股間に口を寄せ、その男根を口に含み、まだ噴出している彼の精を口の中に受け、飲んだ。もちろん、そんなことをされたのも初めてのことだった。

 すべて飲み込み、飲み下すと、唇を亀頭の先につけ、尿道口をちゅーっと吸った。それから舌で男根の周りを愛おしそうに舐めとり、それが済むと再び彼に添った。もちろん、セックスの後にそんな「後始末」をされたのも初めてだった。今初めて紗和が行った全ては彼女を譲治に紹介した峰岸との間で恒常的に行われていて、それを今まで隠していた「性技」だったというわけだ。

「やっと、やっと・・・。わたしでイッてくれた。嬉しい・・・。あなた、わたし、嬉しいの!」

 譲治は射精後の弛緩と茫然自失との境のあいまいな場所で言葉を失っていた。

「でも、キライになったよね? ずっとあなたに隠していたのだから。ねえ、わたしをキライになったでしょ?」

 譲治は悲し気に切なげに身を捩る妻を見つめ、夢中で首を振った。

「そんな、ことは、ない。絶対にない」

「じゃあ、コーフンしたのね。わたしの過去に、コーフンしてくれたのね?」

「・・・うん」

 紗和の唇が再び譲治の口を塞いだ。自分の精液の匂いがするその唇が猛烈に彼の唇を吸い上げ、強引に差し込まれた舌が彼の口の中で蠢き、唾液が送り込まれ・・・。

 譲治はその全てに応えた。清楚で控えめな美しい妻だった、そう思い込んでいた紗和の、その清純な無垢なイメージとはあまりにもかけ離れた、妖艶で淫靡で衝撃的な本性に眩暈を起こしそうになりながら。

 でも、その一方で、いままでずっと、もしかしたらと思い続けた真実が、紗和の本当の姿が、これほどまでに彼を魅了してやまないことに心を揺すぶられてもいた。もっと知りたい。もっと彼女の中を見たいという欲望が首を擡げて来たのだった。

「好き! あなたが好き! 大好き! 」

 彼の頭が滅茶苦茶になるほどに激しく掻き抱きながら、顔じゅうにキスの雨を降らせ、柔らかで魅惑的なその身体を押し付け摺り寄せて来るその媚態に、今、精を放出したばかりの彼の男根が再びムクムクといきり立った。

「お願いだ。教えてくれ! 全部、話してくれ! どうして、どうしてきみは・・・。

 先生とのこと、峰岸とのこと。今までのこと。それから、今日あったことを、全部、全部、話してくれ・・・」


 

 譲治は、お互いを悦ばせながら、彼女の話を訊いていた。

 これも初めてだった。紗和の唇が次第に下に降りてゆき、彼の剛直を捉え、さらに脚を上げて彼に跨って来たのだ。

 お願い、舐めて、と。

 ほのかな灯りに浮かび上がる紗和の白い尻を逆さに抱え、彼女の叢の奥の、とめどなく愛液を流し続ける控えめで小ぶりな愛らしい淫裂とその核とに舌を這わせ唇で吸い指で愛撫を加えた。愛する妻のその香(かぐわ)しい女の匂いを胸いっぱいに吸い込みながら。

「・・・先生は、あん、・・・倒したシートの、わたしの頭のほうにいて、わたしの頭を、は、ん、両側からそっと包みこむみたいにして、撫でながら、優しく話して、くれました・・・ん、ん」

 妻は、言葉の節を終えるごとに、その慎ましやかな唇を一杯に開き、譲治の屹立を含み舌で亀頭を舐め回し、幹に舌を這わせ、食んだ。まるで何かに憑りつかれたように、うわごとのように、舐め、しゃぶりながら、言葉を紡いでゆく。

「もう何も、ん、怖がることはないんだ、と。抱えてるものを全部、・・・ん、吐き出しなさい、・・・と、ん。すーっと、楽になってゆく、どんどん、どんどん楽に、気持ちよくなってゆく・・・。そう言ってずっと頭を撫でていてくれました」

 紗和の柔らかくて豊かな尻を撫で、擦り、時折グッと掴み、揉み込んだ。

「ああ・・・。すると、本当に気持ちがよくなって、今まで誰にも言えないで胸の中に抱え込んでいたことを一つ一つん、・・・口にしていたんです・・・。あ、そこ、ああ、気持ち、ああん、もっと、もっと!・・・んんんんんっ!・・・」

 紗和の身体が小さく小刻みに震え、女の匂いが強くなった。その痙攣が治まると、再び彼の屹立は妻の唇の中に飲み込まれた。それは驚くほど深い呑み込みだった。あのキョーコが先生の逸物を根元まで呑み込んでいた光景がフラッシュした。

「・・・わたしは、話しました。・・・ん、峰岸とのことを。そこからんん、話すのが、そこから、話さ、なきゃ、ってん、んんん、・・・思ったから・・・」


 

 紗和の過去は驚愕すべきものだった。

 峰岸とは譲治がその法人に就職してからの古い付き合いだった。相手の役所の窓口。それが彼だったのだ。紗和の話は、それから数年ほど経ったころからのものだった。

 紗和と峰岸との出会いは彼女がまだ学生だった頃から始まっていた。

 大学のゼミの関係で同じゼミ生数人とその役所を訪れた。その時の担当官と後日二人だけで会う機会があった。大人の雰囲気に魅了された紗和は、その日のうちにその担当官、峰岸と寝た。まだ処女だった。高校大学に至るまで全くそうした男女の関係の免疫を持たなかったから、紗和はあっけないほど簡単に陥ち、たちまち彼に溺れて行った。

 彼に会うたび、紗和の身体は開発されていった。奥さんも、子供もいる。明かに不倫の関係。でも、やめられなかった。彼がくれる快楽の甘い罠に、抜き差しならない関係にズブズブとはまり込んでいった。愛は全くなかった。ただ、身体だけだった。

 大学を卒業しても関係は続いた。続いただけでなく、より淫らに、倒錯的な関係に進化していった。あまり痛いのと身体を傷つけるのはダメで、それ以外はたいてい受け入れた。身体のことを配慮したのは将来結婚することを考えてのことだった。その時点で未来の夫である譲治を裏切っていることになるのだが、その時は自覚がなかった。

 彼と会う日。

 ホテルに入るとすぐに紗和は全裸になる。邪魔にならぬように髪を結い上げ、持参した首輪を峰岸に着けてもらい、彼の服を脱がしてきれいにハンガーにかけバスに湯を張る。そこまでやって、彼の前にひれ伏し、挨拶する。

 と言っても言葉ではなくて、彼の男根を舐め、しゃぶるのだ。

「手は使うなよ。口と舌だけだ。先っぽ咥えるだけじゃないぞ。裏筋舐めたり舌をチロチロさせて愉しませろ。タマも舐めてしゃぶって刺激しろ。カリの周りは特に入念に舌を回しながら舐めるんだ。ジュッポジュッポしゃぶってる時も舌を使え!」

 峰岸は紗和を性欲の処理相手としか思っておらず、紗和も同じだった。爛れたセックスを繰り返しているうちに、次第に二人ともがそうした趣味に傾倒していった。

 紗和は峰岸に徹底的に仕込まれた。男に使われ、虐げられる被虐の快感を一度植え付けられてしまうと病みつきになった。単純に気持ちいいのだ。普通のセックスの何倍もの快感をそこでは得ることができた。舐めてしゃぶっているだけで濡れるようになっていくのにも、たいした時間はかからなかった。

 あるAV女優はこう言った。

「SMの『S』はサービスの『S』、『M』は満足の『M』だ」と。

 紗和もそう思った。男の調教を受け躾を受け入れれば、サービスしてくれるのだ。心ゆくまで何度もイカせられ、快感を、絶頂を、満足を、与えてくれるのだ。

 挨拶の後は本格的なプレイになる。

 両手を後ろに回し手枷で拘束を受ける。胸にも上下に縄を回される。縄をうたれるとその麻縄のざわざわした感触に、酔う。それだけでボーっとしてきて、ともするとよだれを垂らしそうになる。それほどに縄で縛られると快感を呼んだ。

 その縄に手首を縛られる時もあるが、そうでないときの方が多かった。

 腰に縄を回される。一本の縄を二つ折りにして折った輪の中に切れ端のほうの二本を通し輪にする。その輪が腰を締める。通した切れ端が股間に回わされ、ちょうどクリトリスが当たる部分に瘤を作られ、それがちゃんと当たるかどうか押し付けられる。ここでだいぶ感じる。

「脚を開け」

 開いた脚の間に縄が通され後ろで絞られる。股縄というもので、瘤がさらにクリトリスを刺激し、縄がラヴィアを割って食い込む。

「むうんっ!・・・んん」

 快感に嗚咽が漏れる。

 絞られた縄は胸の縄を素通りして首輪のリングに通され、再び下に降り、後ろ手に拘束している手枷に結ばれる。その前にもう一度絞られる。こうすると、手首を常に高く、小高手状態に維持しなければ縄が股間にキツく食い込むのだ。最初はいいが、徐々に腕が疲れてくるとそれだけ縄が絞られる。自分で自分の股間を責めるわけだ。

 峰岸は紗和との関係の中でこうした性技とその性質を次々に会得していった。

 そのようにしておいて、男の全身を舐めさせられる。もちろん男根も、尻の穴も。身を屈めたり動いたりするたびに股間に縄が食い込み、クリトリスを瘤が擦る。長時間の刺激で肥大しきっている核を擦られるのは快感を通り越して苦痛の色さえ加わる。小陰唇は赤く爛れ、流れ出した愛液が腿を伝う。しかも、尻の穴に舌を突っ込んでいる無様。身体の痛いほどの快感と被虐感に気が遠くなりそうになる。

 それが終わると鞭で打たれる。バラだから、傷になるほどではない。だが男は最も敏感な乳首や股間を集中的に打ってくる。それを繰り返されると次第に身体が順応して痛みに麻痺してゆき、快感だけが得られるようになってゆく。この段階で絶頂してしまうことも何度もあった。

 紗和はそこまで躾けられた。

 そして、もう一度フェラチオ。男が勃起するとようやく男根を挿入れてもらえる。

 アナルにスティックや指を入れられることもあった。床に伏せにされ、股縄を解かれ、尻を掲げさせられ、ワセリンを塗り込まれる。最初は指が、次にスティックが、最終的には男根まで呑み込めるように調教された。アナルの中に出されたこともある。一度に二人の男を相手にして前と後ろに同時に挿入れられたこともある。

「今日はどっちに欲しい? オ●ンコか、アナルか」

「オ●ンコに、早く下さい。紗和のスケベなオ●ンコにオ●ンチン挿入れて下さいっ!」

 散々弄られて性感を高められてしとどに濡れそぼったヴァギナに男根がメリメリと挿入れられる。

「んがああっ、・・・這入ってくる、這入ってくるゥ・・・おっきいん、ああ、奥、奥ぅーんんんんっ、・・・ああ、ああっ! あい、いい、いいのォ、あ、イキ、・・・んんんんんんんんんんんんっ・・・・・・・・・・」

 挿入れられただけで気を遣ってしまったことも、何度もある。そう言う場合は尻を打たれる。許しも得ないで、と。勝手にイッて、と。イクときは必ず言え、と。

「あ、あ、もう、も、イク、また、・・・イキますっ、んんん、紗和は、イキますっ!・・・」

 そうやって激しく身体を震わせ、おとがいを仰け反らせ、背中を大きく反らせて、大きく絶頂する。何度も、何度も、何度も・・・。


 

 彼女はその長い独白の間、譲治の愛撫、クンニリングスで何度も絶頂した。譲治の男根を猛烈にしゃぶり、それを扱きながら。何度も、何度も、何度も・・・。

「ごめんなさい、あなた・・・。でも・・・」

 紗和は再び譲治の耳元で囁いた。

 しかし、妻の手で優しく扱かれていた譲治のモノは再び滾るほどにいきり立っていた。紗和の話を聞いて昂っていた。昂りすぎていた。紗和とのセックスで久しく勃起していなかったそれが、しかも、寸刻前に精を放ったばかりのそれが、もう痛いほど昂っている。

「ごめん・・・。謝らなくていい。謝らないでくれ。それよりもっと聞きたい。それで、どうして僕と付き合おうと思ったのか。思えるようになったのか。あの時僕はきみを諦めようかと思っていた。きみが気乗りしていないのがわかったから。それが急に・・・。むしろきみからグイグイ押してくるようになって・・・。

 あの時は訊けなかった。せっかくその気になってくれたきみがまた翻意するかも知れない。それが怖かったから。

 でも、今は知りたい。

 なぜ、だったんだ。それを教えてくれ。頼む。どうしても、それを知りたいんだ!」

 紗和は再び譲治の耳の中に囁き始めた。
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