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22 二十四時間調教 その一
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三日間のテストの中日。その日は朝から雨が降っていた。
前日は学校から図書館に行き、夕方まで二日目の科目の見直しをして帰った。その日もそうするつもりだったが、あまり根を詰めたせいか、軽い頭痛に悩まされ、家に直帰した。学校に行ってるはずのヨウジの自転車があった。
その朝、レナは洗濯をしなかった。雨が降っていたからだ。姉の第六感が働き、そっと脱衣所の洗濯物籠をチェックした。テスト初日に、気合を入れようと穿いた、Tバックのマリンブルーのショーツを探した。
・・・ない。
あいつ・・・。やってやがる。
二階に上がり、自分の部屋に行きおもちゃのバットを取った。
憤怒を押し隠し、ヨウジの部屋のドアをそっと、押した。前に施した細工のお陰で、ドアは音もなく、開いた。
「・・・っふ、・・・ん」
いつもヨウジをシバくのはニ三発。でも、これは特別なケースだから、五六発ぐらいは・・・。当初はそう思っていた。
でも、目の前で、姉の襲来にも気づかないほど、自慰に没頭する、自分のお気に入りのショーツを、洗濯前のものを鼻に当て、ゴツイ手で、さして大きくはないが十分立派な大人のペニスを昂奮してシゴく弟を見てしまうと、我を忘れてしまった。
「おまえーっ!」
バットを振りかざし、彼のイチモツめがけ、力一杯、振り下ろした。
「ぐあっ!」
ヨウジは股間を抑え、悶絶した。
「何してるっ!」
「ね、姉ちゃん!」
何発殴ったか、覚えていない。とにかく、顔を上げた弟の頭を滅多打ちにした。
「こんなことしてっ! ただで済むと思ってんのか!」
何発目だかで、バットがひしゃげ、折れた。折れた部分のするどい切れ端が、ヨウジのイガグリ頭に切り傷を作った。バットを放り投げ、ベッドの上に飛び乗って馬乗りになり、両手で、グーでさらに何発も殴った。
「ごめん! ごめんよ姉ちゃん。許して、許して・・・」
幼かったころの弟の泣き顔がそこにあった。
戦意を喪失した。ようやく、レナは殴るのをやめた。
そして、頭を抱えて蹲る弟を自然に抱きしめた。抱きしめているうちに、涙が抑えきれなくなった。
「ごめん、ヨウジ・・・。ごめんね。痛かったでしょ・・・」
トオルは大粒の涙をこぼして泣き出したレナを、優しく抱いてくれた。
「お前んちのことは、まだよくわからないけどさ。でも、これからは、何でも、オレに言ってくれ。相談してくれよ、な?」
「・・・ありがとう、トオル」
レナは、大きなトオルの胸に抱かれながら、堰を切ったように泣いた。
今まで、誰にも縋れずに、一人で抱え込んでいた。そして、いつの間にか、レナは弱虫に、泣き虫になっていた。
やっぱり、トオルと別れるのは、無理。それほどにレナにはもう、トオルは欠くべからざる存在になってしまっていた。
「あいつなら、やりかねんな・・・。あいつ、本当に姉ちゃんが、お前のことが好きなんだなあ・・・」
そのキングサイズのベッドはちょっと変わっていた。
ベッドの周囲から中央に行くにしたがって僅かに凹んでいる。シーツの代りにラバーシートが張られたその窪みにオイルの溜まりが出来ていて、その溜まりの中で、女の白い尻がのたうっていた。
「ああっ、・・・うう、あ、そこ・・・、ああん、・・・、だめ・・・」
ぬらぬら妖しく光る尻の間を男の頭が蠢き、その度に低い呻きが響く。時折、男の手が溜まったオイルを掬い、尻や背中にに塗り込む。ぬらぬらした指がヴァギナやアナルに入れられ、女の嬌声を呼ぶ。
「ああん。そこ、・・・感じる。お尻の穴、イヤ・・・ああん」
よく見ると、女の尻や背中はには赤い腫れがある。男のオイル塗れの手が、赤く腫れた尻を掴み、背中を這う。
夏休みの初日。レナは呼び出しを受けた。
「今から二十四時間。連続で調教する。いいな?」
「・・・はい」
と、レナは答えた。
プレイルームで、全裸に赤い首輪をして正座したレナは、サキさんを見上げた。
「お願いがあります」
とレナは言った。
「きょうは、シオリじゃなく、レナで、本当の名前で扱って欲しいのです。ご主人様ではなく、サキさんと、呼ばせて欲しいのです」
サキさんは黙したままレナを見つめ、その両手に革の手枷をした。
リモコンが操作され、手枷を釣った滑車が上昇する。両腕が真上に釣られたところでそれは止まった。黒いブリーフを脱いだサキさんは、その凶悪な悪魔の男根をレナの顔の前に突きつけた。
「舐めろ」
レナは躊躇なく、舌を出した。
亀頭をついばみ、舐め、よだれを塗した。顔を傾け、幹に舌を這わす。レナを釣った鎖が揺れ、きしむ。どうしても、その下、睾丸まで、舌が届かない。精いっぱい舌を伸ばしても、無理だった。
「タマも舐めろ」
舌を出し、絶望的な目をしてサキさんを見上げる。この悪魔が、レナの苦しむ顔見たさにこのような要求を出すことを、レナは知っていた。悪魔に無理難題を突き付けられ、苦痛に顔を歪ませる村の少女。レナは、その役割を演じることに、酔っていた。
悪魔はその黒々とした樹木の幹をレナの顔に何度も叩きつけた。
「まったく・・・。役に立たんスレイヴだな、お前は・・・」
「申し訳、ありません・・・」
どうしようもなく、背中が、尻が、股間が疼く。被虐の快感が、レナの股間から早くも愛液を滴らせ始めた。
「仕方がない。咥えろ」
「・・・はい」
レナは精いっぱい口を開け、その狂暴な樹木の傘を飲み込んでいった。途中までで閊えた。苦しい。それをさらに押し込もうとする悪魔。
「ぐごっ! ぐがごっ、がぐおぉっ!」
潰されたカエルかアヒルのような醜い声で悶えるレナ。苦しくてもがいても、悪魔の手が挙げられた腕ごと頭を抱え、逃れられない。
「・・・まだだ」
レナの顔が苦痛に歪む。涙が溢れ、流れる、脂汗が額や、頬や、首筋や、脇や、腕から背中から尻から、身体中のあらゆるところから吹き出し、じっとりと流れ始めた。
「ぐげっごっ、・・・ごっ・・・、おえあ、・・・ぷ、はあー、ゲホッ、ウゲホッ・・・」
窒息する寸前で、悪魔の手から解放されたレナは、口から胃液とよだれを垂れ流した。
(プレイ前の十時間は食事を摂らないように)
あの注意は、こういうことのためだったんだな・・・。レナは苦しみの中で、理解した。
その苦行が二度ほど繰り返されたのち、滑車がさらにレナの身体をゆっくりと吊り上げた。
ウィーン・・・。
尻が踵から離れ、浮き、膝立ち、レナは鎖を掴んで立ち上がり、身体がピンと伸び、踵が十数ミリ浮いたところで、モーターの音が止まった。背骨が伸びる。身体中の皮膚が張り詰め、予感が、乳首を立たす。
先が房になった鞭。サキさんは、レナの裸体に、その革の房を這わせた。
「最初だから、軽くしてやる。だが、同時にお前の限界も試したい」
房が裸の胸を這う。釣られて張り詰めた肌は、革の房の感触を平素の数倍に感じ取る。それが素肌を這うだけで、たまらない刺激が這い上る。
「は、い・・・。おねがいします。は、う・・・」
もう、勃起している乳首が擦られ、吐息を漏らす。
サキさんの手が脇を掴み、身体がまわされる。爪先で追いかける。房が背中から尻に、太腿に、これから打擲されるものの感触を覚えさせるかのように撫でられてゆく。
再び回され、腹から下腹部へと。房が這い、すでにその期待だけでおびただしく濡らしている股間へは、房でなく柄の先をこじ入れられる。
「もう、ぐちょぐちょじゃないか。こんなに濡らして。まだ、釣られただけだってのに。とんでもない、エロ女子高生だな、お前は。おい、変態。この鞭、高かったんだぞ。どうしてくれるんだ、レナ。ん?」
執拗な言葉責め。身体の芯が、萌える。
「も、申し訳、ありませ、ああっ!」
柄が、勃起しているクリトリスを弾く。感電して、甲高い声が上がる。
「これから僕が使うってのに・・・。舐めてキレイにしろ」
柄を口に入れられる。その黒い柄に舌を這わせる。サキさんはニヤリと笑って、一歩下がった。
いよいよか。レナは身構えた。
サキさんと、悪魔と、視線が真っ向から、ぶつかった。
シュッ!
バシーン!
「!・・・、っああ、・・・う」
初めて打たれた鞭の痛さが、レナに、平凡に生きることへの諦めを促した。
鞭の責めは続いた。
打擲の度に、頭の後ろ、脳髄の下に響いた。初めは、痛さよりもその音が恐怖を呼び、打擲と打擲の間の不安を掻き立てた。次第に肌が赤く染まるようになってくると、この鞭の本当の痛さが感じられるようになった。肌が擦過傷による軽い炎症を起こし、その傷の上をさらに打たれると痛みが増幅されてゆく。
「あああーっ!・・・ヒぃああーっ!・・・ああーっっっ!」
鞭打たれるたびに上がる悲鳴が、そのトーンを高めて行く。おとがいを仰け反らせ、髪を振り乱し、痛みに耐えるレナ。
と、次の鞭が来ないのを知り、乱れた息を整えながら悪魔の姿を探した。悪魔は、別の滑車を引いてくる。革の枷を一つ、手に持っていた。
レナにはサキさんが何をしようとしているのかが、わかった。
「それは、ダメです。お願いします。それだけは・・・」
「無駄だよ。諦めろ」
冷たく言い放つ、悪魔。その冷たい手が、レナの片足の膝の上に枷を嵌めた。
「いやっ! やめて。お願いです。サキさん! サキさん!」
もう彼はその哀願に答えなかった。むしろ、レナの必死の訴えが、彼の嗜虐性を高めてしまっている。
そのレナの懇願に、今から彼がしようとしていることが、それが与える苦痛が大きいことが、レナに、この哀れな奴隷に十分に認知されていることを知り、ほくそ笑んでいる。
レナは改めてこの残酷な悪魔に、恐怖した。
枷がフックに繋がれ、モーターがうなり出す。レナの片足は徐々に上がってゆき、その股間を曝け出した。赤い首輪を着けて括られ吊るされた哀れな生贄。その股間から、淫猥な臭気が立ち昇っている。
「鞭で打たれて感じるようになるには、最も性感の高い部分で痛みを受ける。それが一番早いんだ。これを知れば、鞭で感じて、愛液が流れるようになる」
レナは、諦めた。
そんなところに。一番敏感なクリトリスに鞭を受けたら、きっと、死んでしまう。その、痛さの恐怖に耐えることだけを考えた。
「僕は、お前の、痛みに歪む顔が見たいんだ。・・・どうしても、見たいんだよ、レナ」
そう言って、サキさんはレナの顎を上げ、口づけした。その甘い感触に、絶望の表情を浮かべ、サキさんを、悪魔を見上げた。
「行くよ」
シュッ。
ひときわ甲高い悲鳴が上がった。
「! ! ! ! ! ! !・・・」
苦痛の余韻が長く尾を引いていた。
もう片方の釣られていない方の脚を胸に畳み、白い顎を高くつき上げ、口の端をしばらくわななかせていたレナは、やがてがっくりと首を垂れた。
「・・・あああ、あああ、・・・うああああ・・・」
体中が震え、その痛みの余韻を耐えているレナの髪が掴まれ、強引に引き上げられた。サキさんの震える顔が、目の前にあった。
その眼は感動にきらきらと潤み、やがて、瞑目した。涙が一筋、端正な頬を流れ落ちた。
レナは手厚く滑車から降ろされ、戒めを解かれた。
まだ震える身体を優しくベッドに横たえられ、身体中の赤く腫れた肌に軟膏を塗りこまれた。打たれた股間を手で押さえて丸くなったレナの、赤く腫れた肌に、快い疼痛が走る。
「頑張ったな、レナ。百番以内に入ったのより、今のレナの方が、偉いぞ」
優しい言葉に、涙ぐむ。サキさんは、もう一度、甘くて優しいキスをくれた。それからベビーオイルを何本もカラにして身体中にかけられた。
「本来、赤ん坊のオムツカブレのためのもんだからな、コレ」
なんとなく、納得して、レナはベッドの窪みに溜まったオイルの中でゴロゴロと身体を転がした。
サキさんの舌が、身体中を這う。最初の調教の時以上に、それはレナを蕩かした。
まだ疼痛の引かない、その最も敏感な箇所にも、それは来た。
痛、気持ちいい・・・。
唾液を大量に塗されての巧みな優しいクンニリングスは、再びレナの愛液を盛大に分泌させた。
「ああん。・・・気持ちいい、どうしよう・・・気持ちいいですゥ、サキさあん・・・」
「レナは、可愛いなあ・・・」
そんなにまで愛でられ、求められ、甘い言葉をかけられるとさっきまでの苦痛と恐怖は何処かへ行き、ムクムクと欲望が湧いてくる。サキさんの肉棒を捉え、舐め回す。股間に迎え入れたくて、堪らなくなってくる。
「入れて。入れて下さい、サキさん」
「それは、まだ、だ~め」
悪戯っぽくニヤける彼の肉棒になおも刺激を与え、求めずにはいられなくしてやりたいと思ってしまう。
前日は学校から図書館に行き、夕方まで二日目の科目の見直しをして帰った。その日もそうするつもりだったが、あまり根を詰めたせいか、軽い頭痛に悩まされ、家に直帰した。学校に行ってるはずのヨウジの自転車があった。
その朝、レナは洗濯をしなかった。雨が降っていたからだ。姉の第六感が働き、そっと脱衣所の洗濯物籠をチェックした。テスト初日に、気合を入れようと穿いた、Tバックのマリンブルーのショーツを探した。
・・・ない。
あいつ・・・。やってやがる。
二階に上がり、自分の部屋に行きおもちゃのバットを取った。
憤怒を押し隠し、ヨウジの部屋のドアをそっと、押した。前に施した細工のお陰で、ドアは音もなく、開いた。
「・・・っふ、・・・ん」
いつもヨウジをシバくのはニ三発。でも、これは特別なケースだから、五六発ぐらいは・・・。当初はそう思っていた。
でも、目の前で、姉の襲来にも気づかないほど、自慰に没頭する、自分のお気に入りのショーツを、洗濯前のものを鼻に当て、ゴツイ手で、さして大きくはないが十分立派な大人のペニスを昂奮してシゴく弟を見てしまうと、我を忘れてしまった。
「おまえーっ!」
バットを振りかざし、彼のイチモツめがけ、力一杯、振り下ろした。
「ぐあっ!」
ヨウジは股間を抑え、悶絶した。
「何してるっ!」
「ね、姉ちゃん!」
何発殴ったか、覚えていない。とにかく、顔を上げた弟の頭を滅多打ちにした。
「こんなことしてっ! ただで済むと思ってんのか!」
何発目だかで、バットがひしゃげ、折れた。折れた部分のするどい切れ端が、ヨウジのイガグリ頭に切り傷を作った。バットを放り投げ、ベッドの上に飛び乗って馬乗りになり、両手で、グーでさらに何発も殴った。
「ごめん! ごめんよ姉ちゃん。許して、許して・・・」
幼かったころの弟の泣き顔がそこにあった。
戦意を喪失した。ようやく、レナは殴るのをやめた。
そして、頭を抱えて蹲る弟を自然に抱きしめた。抱きしめているうちに、涙が抑えきれなくなった。
「ごめん、ヨウジ・・・。ごめんね。痛かったでしょ・・・」
トオルは大粒の涙をこぼして泣き出したレナを、優しく抱いてくれた。
「お前んちのことは、まだよくわからないけどさ。でも、これからは、何でも、オレに言ってくれ。相談してくれよ、な?」
「・・・ありがとう、トオル」
レナは、大きなトオルの胸に抱かれながら、堰を切ったように泣いた。
今まで、誰にも縋れずに、一人で抱え込んでいた。そして、いつの間にか、レナは弱虫に、泣き虫になっていた。
やっぱり、トオルと別れるのは、無理。それほどにレナにはもう、トオルは欠くべからざる存在になってしまっていた。
「あいつなら、やりかねんな・・・。あいつ、本当に姉ちゃんが、お前のことが好きなんだなあ・・・」
そのキングサイズのベッドはちょっと変わっていた。
ベッドの周囲から中央に行くにしたがって僅かに凹んでいる。シーツの代りにラバーシートが張られたその窪みにオイルの溜まりが出来ていて、その溜まりの中で、女の白い尻がのたうっていた。
「ああっ、・・・うう、あ、そこ・・・、ああん、・・・、だめ・・・」
ぬらぬら妖しく光る尻の間を男の頭が蠢き、その度に低い呻きが響く。時折、男の手が溜まったオイルを掬い、尻や背中にに塗り込む。ぬらぬらした指がヴァギナやアナルに入れられ、女の嬌声を呼ぶ。
「ああん。そこ、・・・感じる。お尻の穴、イヤ・・・ああん」
よく見ると、女の尻や背中はには赤い腫れがある。男のオイル塗れの手が、赤く腫れた尻を掴み、背中を這う。
夏休みの初日。レナは呼び出しを受けた。
「今から二十四時間。連続で調教する。いいな?」
「・・・はい」
と、レナは答えた。
プレイルームで、全裸に赤い首輪をして正座したレナは、サキさんを見上げた。
「お願いがあります」
とレナは言った。
「きょうは、シオリじゃなく、レナで、本当の名前で扱って欲しいのです。ご主人様ではなく、サキさんと、呼ばせて欲しいのです」
サキさんは黙したままレナを見つめ、その両手に革の手枷をした。
リモコンが操作され、手枷を釣った滑車が上昇する。両腕が真上に釣られたところでそれは止まった。黒いブリーフを脱いだサキさんは、その凶悪な悪魔の男根をレナの顔の前に突きつけた。
「舐めろ」
レナは躊躇なく、舌を出した。
亀頭をついばみ、舐め、よだれを塗した。顔を傾け、幹に舌を這わす。レナを釣った鎖が揺れ、きしむ。どうしても、その下、睾丸まで、舌が届かない。精いっぱい舌を伸ばしても、無理だった。
「タマも舐めろ」
舌を出し、絶望的な目をしてサキさんを見上げる。この悪魔が、レナの苦しむ顔見たさにこのような要求を出すことを、レナは知っていた。悪魔に無理難題を突き付けられ、苦痛に顔を歪ませる村の少女。レナは、その役割を演じることに、酔っていた。
悪魔はその黒々とした樹木の幹をレナの顔に何度も叩きつけた。
「まったく・・・。役に立たんスレイヴだな、お前は・・・」
「申し訳、ありません・・・」
どうしようもなく、背中が、尻が、股間が疼く。被虐の快感が、レナの股間から早くも愛液を滴らせ始めた。
「仕方がない。咥えろ」
「・・・はい」
レナは精いっぱい口を開け、その狂暴な樹木の傘を飲み込んでいった。途中までで閊えた。苦しい。それをさらに押し込もうとする悪魔。
「ぐごっ! ぐがごっ、がぐおぉっ!」
潰されたカエルかアヒルのような醜い声で悶えるレナ。苦しくてもがいても、悪魔の手が挙げられた腕ごと頭を抱え、逃れられない。
「・・・まだだ」
レナの顔が苦痛に歪む。涙が溢れ、流れる、脂汗が額や、頬や、首筋や、脇や、腕から背中から尻から、身体中のあらゆるところから吹き出し、じっとりと流れ始めた。
「ぐげっごっ、・・・ごっ・・・、おえあ、・・・ぷ、はあー、ゲホッ、ウゲホッ・・・」
窒息する寸前で、悪魔の手から解放されたレナは、口から胃液とよだれを垂れ流した。
(プレイ前の十時間は食事を摂らないように)
あの注意は、こういうことのためだったんだな・・・。レナは苦しみの中で、理解した。
その苦行が二度ほど繰り返されたのち、滑車がさらにレナの身体をゆっくりと吊り上げた。
ウィーン・・・。
尻が踵から離れ、浮き、膝立ち、レナは鎖を掴んで立ち上がり、身体がピンと伸び、踵が十数ミリ浮いたところで、モーターの音が止まった。背骨が伸びる。身体中の皮膚が張り詰め、予感が、乳首を立たす。
先が房になった鞭。サキさんは、レナの裸体に、その革の房を這わせた。
「最初だから、軽くしてやる。だが、同時にお前の限界も試したい」
房が裸の胸を這う。釣られて張り詰めた肌は、革の房の感触を平素の数倍に感じ取る。それが素肌を這うだけで、たまらない刺激が這い上る。
「は、い・・・。おねがいします。は、う・・・」
もう、勃起している乳首が擦られ、吐息を漏らす。
サキさんの手が脇を掴み、身体がまわされる。爪先で追いかける。房が背中から尻に、太腿に、これから打擲されるものの感触を覚えさせるかのように撫でられてゆく。
再び回され、腹から下腹部へと。房が這い、すでにその期待だけでおびただしく濡らしている股間へは、房でなく柄の先をこじ入れられる。
「もう、ぐちょぐちょじゃないか。こんなに濡らして。まだ、釣られただけだってのに。とんでもない、エロ女子高生だな、お前は。おい、変態。この鞭、高かったんだぞ。どうしてくれるんだ、レナ。ん?」
執拗な言葉責め。身体の芯が、萌える。
「も、申し訳、ありませ、ああっ!」
柄が、勃起しているクリトリスを弾く。感電して、甲高い声が上がる。
「これから僕が使うってのに・・・。舐めてキレイにしろ」
柄を口に入れられる。その黒い柄に舌を這わせる。サキさんはニヤリと笑って、一歩下がった。
いよいよか。レナは身構えた。
サキさんと、悪魔と、視線が真っ向から、ぶつかった。
シュッ!
バシーン!
「!・・・、っああ、・・・う」
初めて打たれた鞭の痛さが、レナに、平凡に生きることへの諦めを促した。
鞭の責めは続いた。
打擲の度に、頭の後ろ、脳髄の下に響いた。初めは、痛さよりもその音が恐怖を呼び、打擲と打擲の間の不安を掻き立てた。次第に肌が赤く染まるようになってくると、この鞭の本当の痛さが感じられるようになった。肌が擦過傷による軽い炎症を起こし、その傷の上をさらに打たれると痛みが増幅されてゆく。
「あああーっ!・・・ヒぃああーっ!・・・ああーっっっ!」
鞭打たれるたびに上がる悲鳴が、そのトーンを高めて行く。おとがいを仰け反らせ、髪を振り乱し、痛みに耐えるレナ。
と、次の鞭が来ないのを知り、乱れた息を整えながら悪魔の姿を探した。悪魔は、別の滑車を引いてくる。革の枷を一つ、手に持っていた。
レナにはサキさんが何をしようとしているのかが、わかった。
「それは、ダメです。お願いします。それだけは・・・」
「無駄だよ。諦めろ」
冷たく言い放つ、悪魔。その冷たい手が、レナの片足の膝の上に枷を嵌めた。
「いやっ! やめて。お願いです。サキさん! サキさん!」
もう彼はその哀願に答えなかった。むしろ、レナの必死の訴えが、彼の嗜虐性を高めてしまっている。
そのレナの懇願に、今から彼がしようとしていることが、それが与える苦痛が大きいことが、レナに、この哀れな奴隷に十分に認知されていることを知り、ほくそ笑んでいる。
レナは改めてこの残酷な悪魔に、恐怖した。
枷がフックに繋がれ、モーターがうなり出す。レナの片足は徐々に上がってゆき、その股間を曝け出した。赤い首輪を着けて括られ吊るされた哀れな生贄。その股間から、淫猥な臭気が立ち昇っている。
「鞭で打たれて感じるようになるには、最も性感の高い部分で痛みを受ける。それが一番早いんだ。これを知れば、鞭で感じて、愛液が流れるようになる」
レナは、諦めた。
そんなところに。一番敏感なクリトリスに鞭を受けたら、きっと、死んでしまう。その、痛さの恐怖に耐えることだけを考えた。
「僕は、お前の、痛みに歪む顔が見たいんだ。・・・どうしても、見たいんだよ、レナ」
そう言って、サキさんはレナの顎を上げ、口づけした。その甘い感触に、絶望の表情を浮かべ、サキさんを、悪魔を見上げた。
「行くよ」
シュッ。
ひときわ甲高い悲鳴が上がった。
「! ! ! ! ! ! !・・・」
苦痛の余韻が長く尾を引いていた。
もう片方の釣られていない方の脚を胸に畳み、白い顎を高くつき上げ、口の端をしばらくわななかせていたレナは、やがてがっくりと首を垂れた。
「・・・あああ、あああ、・・・うああああ・・・」
体中が震え、その痛みの余韻を耐えているレナの髪が掴まれ、強引に引き上げられた。サキさんの震える顔が、目の前にあった。
その眼は感動にきらきらと潤み、やがて、瞑目した。涙が一筋、端正な頬を流れ落ちた。
レナは手厚く滑車から降ろされ、戒めを解かれた。
まだ震える身体を優しくベッドに横たえられ、身体中の赤く腫れた肌に軟膏を塗りこまれた。打たれた股間を手で押さえて丸くなったレナの、赤く腫れた肌に、快い疼痛が走る。
「頑張ったな、レナ。百番以内に入ったのより、今のレナの方が、偉いぞ」
優しい言葉に、涙ぐむ。サキさんは、もう一度、甘くて優しいキスをくれた。それからベビーオイルを何本もカラにして身体中にかけられた。
「本来、赤ん坊のオムツカブレのためのもんだからな、コレ」
なんとなく、納得して、レナはベッドの窪みに溜まったオイルの中でゴロゴロと身体を転がした。
サキさんの舌が、身体中を這う。最初の調教の時以上に、それはレナを蕩かした。
まだ疼痛の引かない、その最も敏感な箇所にも、それは来た。
痛、気持ちいい・・・。
唾液を大量に塗されての巧みな優しいクンニリングスは、再びレナの愛液を盛大に分泌させた。
「ああん。・・・気持ちいい、どうしよう・・・気持ちいいですゥ、サキさあん・・・」
「レナは、可愛いなあ・・・」
そんなにまで愛でられ、求められ、甘い言葉をかけられるとさっきまでの苦痛と恐怖は何処かへ行き、ムクムクと欲望が湧いてくる。サキさんの肉棒を捉え、舐め回す。股間に迎え入れたくて、堪らなくなってくる。
「入れて。入れて下さい、サキさん」
「それは、まだ、だ~め」
悪戯っぽくニヤける彼の肉棒になおも刺激を与え、求めずにはいられなくしてやりたいと思ってしまう。
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