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18.煎餅や
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早苗はビールを口に運んで腹をさすった。
「あ、動いた」
「本当か」
「触ってみる?」早苗は宗介の手をとってルームウェアの内側へいざなった。
「バカ。そこじゃないわよ」
「お、本当だ」宗介は驚いて手を引っ込めた。
「お父さんよ。うふふ…」
「馬鹿野郎。それは俺の子じゃねえ」
「そうなのよね。あんたさ、この子の父親になる気ない?」
早苗の突拍子もない提案。
「俺は離婚調停中だ」
「そうだったね。うまくいきそう?」
宗介はウォーターベッドに仰向けになった。
「子どもがいねえからな。親権を争ってるわけじゃない。第一慰謝料が高すぎる」
「なんでケンカしたの?」
「ケンカかあ。まあそうだな。性格の不一致だ」
「お金持ちなんでしょう?」
「そんなでもねえさ。お前んとこにゃ負ける」
「お店だっけ?」
「埼玉の草加って知ってるか。そこの煎餅屋だ。あの辺は煎餅屋がゴロゴロあってな」
何かを思い出しているようだった。
「その煎餅屋の箱入り娘に惚れたつーわけだ。俺は高校出たばっかりでまだヤンチャで…」
「うんうん。それで?」
「すぐに一緒になりたいと思った。向こうの親に会いに行ったよ。冬さ。すげー雪が積もった時だ。うるさい親だと聞かされてたんだがそれ以上だった。ガッチガッチの草加煎餅みてえによ」
「あはは!」早苗は笑った。
「それでも俺は諦めなかった。一緒になれなきゃ駆け落ちでも何でもしてやると息巻いた。するとあいつの親父が言ったんだ。婿養子になれって。そして煎餅屋を継げとよ。俺は何も考えず二つ返事で応えたよ」
「婿養子だったんだ。知らなかった。そんな風に見えないけどね。あーだからダメだったのかあ」
「悔しいがその通りだ」
「あ、じゃあ紀伊国屋ってのは奥さんの方の?」
「そうだ。煎餅屋だ。苗字がそのまま屋号だ」
「本当のあんたの名前は何ていうの?」
「竹内だ。竹内宗介。つまらん名前だろ」
「ホントつまんないわね。キャハハ!」
「マジではっ倒すぞ?」
「あ、動いた」
「本当か」
「触ってみる?」早苗は宗介の手をとってルームウェアの内側へいざなった。
「バカ。そこじゃないわよ」
「お、本当だ」宗介は驚いて手を引っ込めた。
「お父さんよ。うふふ…」
「馬鹿野郎。それは俺の子じゃねえ」
「そうなのよね。あんたさ、この子の父親になる気ない?」
早苗の突拍子もない提案。
「俺は離婚調停中だ」
「そうだったね。うまくいきそう?」
宗介はウォーターベッドに仰向けになった。
「子どもがいねえからな。親権を争ってるわけじゃない。第一慰謝料が高すぎる」
「なんでケンカしたの?」
「ケンカかあ。まあそうだな。性格の不一致だ」
「お金持ちなんでしょう?」
「そんなでもねえさ。お前んとこにゃ負ける」
「お店だっけ?」
「埼玉の草加って知ってるか。そこの煎餅屋だ。あの辺は煎餅屋がゴロゴロあってな」
何かを思い出しているようだった。
「その煎餅屋の箱入り娘に惚れたつーわけだ。俺は高校出たばっかりでまだヤンチャで…」
「うんうん。それで?」
「すぐに一緒になりたいと思った。向こうの親に会いに行ったよ。冬さ。すげー雪が積もった時だ。うるさい親だと聞かされてたんだがそれ以上だった。ガッチガッチの草加煎餅みてえによ」
「あはは!」早苗は笑った。
「それでも俺は諦めなかった。一緒になれなきゃ駆け落ちでも何でもしてやると息巻いた。するとあいつの親父が言ったんだ。婿養子になれって。そして煎餅屋を継げとよ。俺は何も考えず二つ返事で応えたよ」
「婿養子だったんだ。知らなかった。そんな風に見えないけどね。あーだからダメだったのかあ」
「悔しいがその通りだ」
「あ、じゃあ紀伊国屋ってのは奥さんの方の?」
「そうだ。煎餅屋だ。苗字がそのまま屋号だ」
「本当のあんたの名前は何ていうの?」
「竹内だ。竹内宗介。つまらん名前だろ」
「ホントつまんないわね。キャハハ!」
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