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26.妊娠
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園子は裸の早苗にスーツを投げ与えた。
「出てって。早く!」
「美佐夫。何とか言ってよ」
バスタオルで体を拭きながら美佐夫は言った。
「あとで連絡する。とりあえず帰れ」
園子ははらわたが煮えくり返っていた。こんなに頭に来た事は人生の中で初めてだった。
「何よ。フン」
早苗は出て行った。
園子は換気扇を回し窓を開け放った。
美佐夫は半裸でキッチンのテーブルに座り缶ビールを飲んでいた。
園子はリビングの長椅子に。頭を抱えて。
雨は激しさを増していた。
園子は泣いていた。ずっと涙が止まらないのだ。
「おいメソメソすんな」
「ここ…私の家なのよ。あんなパーチクリンよくも…」
「出て行くよ。だから荷造りしてたんだ」
「何処へ、あの女のとこへ?」
園子は顔を上げた。
「何処だって良いだろ。お前には関係ない」
美佐夫は長いゲップをした。
園子は深いため息を吐いた。
「妊娠してるの」
「それで?」
「どうしようもないね…」
「何だって?」
「盛りのついた犬みたいに…」
「フン」
「あちこちで立ちションするみたいに…」
「もうやめとけ」
美佐夫は服を着始めた。
「もう終わりだ」
「この子…」
「俺の子とは限らん」
美佐夫は部屋の鍵を園子の足元に投げた。
「それじゃあな」
目の前を通り過ぎる美佐夫の腕を園子はつかんだ。
「やり直そうよ?ね?」
「馬鹿野郎。触るな!」
「出てって。早く!」
「美佐夫。何とか言ってよ」
バスタオルで体を拭きながら美佐夫は言った。
「あとで連絡する。とりあえず帰れ」
園子ははらわたが煮えくり返っていた。こんなに頭に来た事は人生の中で初めてだった。
「何よ。フン」
早苗は出て行った。
園子は換気扇を回し窓を開け放った。
美佐夫は半裸でキッチンのテーブルに座り缶ビールを飲んでいた。
園子はリビングの長椅子に。頭を抱えて。
雨は激しさを増していた。
園子は泣いていた。ずっと涙が止まらないのだ。
「おいメソメソすんな」
「ここ…私の家なのよ。あんなパーチクリンよくも…」
「出て行くよ。だから荷造りしてたんだ」
「何処へ、あの女のとこへ?」
園子は顔を上げた。
「何処だって良いだろ。お前には関係ない」
美佐夫は長いゲップをした。
園子は深いため息を吐いた。
「妊娠してるの」
「それで?」
「どうしようもないね…」
「何だって?」
「盛りのついた犬みたいに…」
「フン」
「あちこちで立ちションするみたいに…」
「もうやめとけ」
美佐夫は服を着始めた。
「もう終わりだ」
「この子…」
「俺の子とは限らん」
美佐夫は部屋の鍵を園子の足元に投げた。
「それじゃあな」
目の前を通り過ぎる美佐夫の腕を園子はつかんだ。
「やり直そうよ?ね?」
「馬鹿野郎。触るな!」
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