ハウスDr.園子

26.パンプス

「イキそうだ」絶頂が近づいてきた。
「ダメよ。中には出さないで」
「後ろでいいか」
「はぁ… いいょ。何処でも」

「あぁ…！クッ…」
「イイわ… 美佐夫」
「はあぁぁ… 早苗っ！」
早苗もクライマックスを迎えた。
早苗の唇が妖しく開く。
「あぅ… ング… ンググ…」

写真立てがラックから落ちた。
園子の顔の部分がひび割れる。


マンションの前に社のライトバンが止まっていた。
美佐夫かしら？
水溜まりを避けながら園子は二階の部屋へ急いだ。鍵を差し込み玄関に入る。
目にしたのはパイソン柄のエナメルパンプスだった。

部屋の中には荷造りしたダンボールの箱。
散らかった床。倒れた写真立て。丸めて放り投げてあるティッシュの山。
バスルームで笑い声がする。園子はそちらへ。
散乱した女物のスーツと下着を蹴飛ばしバスルームの前に立つ。
園子はドアを引いた。思いきり。
笑い声が止まり、シャワーの音だけになる。
蒸気が外に逃げ出す。
裸の男女がこちらを向く。女は乳房と下腹部に。男は股間にに石鹸の泡をたっぷり付けて。

「何だ。帰ってきたのか」
美佐夫が排水口に唾を吐いた。
「何このオバサン」
早苗が泡だらけの胸を美佐夫にあずけた。
園子は手を伸ばした。
早苗の髪をつかんでバスルームの外へ引きずり出した。
「きゃあー！何すんのよ！」
「それはこっちのセリフだわ！」