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23.タコ公園
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タコ公園にはタコを模した滑り台があった。それでタコ公園。
深夜。赤と緑に彩られた8本足のオブジェはさながら伝説の海獣のように、仄暗い外灯の明かりに照らし出されていた。
上着のジッパーを首元まで上げて、翔太はベンチに寝転がっていた。
何度も過去のメール履歴を行ったり来たりしつつ、冷え込んでくる夜気と凌ぎを削るかのように。
翔太は鼻水をすすった。
闇の奥に人影が揺らめく。
「翔太」
「あざっす。紀伊国屋さん」
「一人か。ご苦労さん」
「皆んなも一緒すか」
「俺達は仲間だからな。どっかのチンピラとは違うんだよ」
カラン…
鉄パイプに角材。
「逃げないのか」
「面倒くさいっす」
「ほお。お前はやっぱり馬鹿だな」
翔太は取り囲まれた。
紀伊国屋宗介が凄んだ。
「わりーな、翔太。こんなハイエナ稼業だけどな。生きるためにやってんだよ。皆んな必死でな。お前みたいなナヨナヨした野郎が俺は一番嫌いなんだよ」
「演説すか?」
「なんだと?」
「イイ年こいてダサいすね」
「まあ言ってろ。教育してやっから」
「やるなら早くや…」
いきなり背中を打たれた。
それから腹とあごに一発ずつ。
あっという間に翔太はボロ切れのようになった。
悔しさというのは不思議と無かった。
むしろ清々しいほどコテンパンにのされた。
口の中に飴玉があるのは変だなと思ったら自分の歯だった。
夜空を見上げたまま二回吐いた。
気絶寸前の翔太を発見したのは塾帰りの中学生だった。
駆け付けた若い警官は殺人事件かと思い、手に持ったトランシーバーが震えるのを止められなかった。
ああ、綺麗なお月様だな。
翔太は眠った。
深夜。赤と緑に彩られた8本足のオブジェはさながら伝説の海獣のように、仄暗い外灯の明かりに照らし出されていた。
上着のジッパーを首元まで上げて、翔太はベンチに寝転がっていた。
何度も過去のメール履歴を行ったり来たりしつつ、冷え込んでくる夜気と凌ぎを削るかのように。
翔太は鼻水をすすった。
闇の奥に人影が揺らめく。
「翔太」
「あざっす。紀伊国屋さん」
「一人か。ご苦労さん」
「皆んなも一緒すか」
「俺達は仲間だからな。どっかのチンピラとは違うんだよ」
カラン…
鉄パイプに角材。
「逃げないのか」
「面倒くさいっす」
「ほお。お前はやっぱり馬鹿だな」
翔太は取り囲まれた。
紀伊国屋宗介が凄んだ。
「わりーな、翔太。こんなハイエナ稼業だけどな。生きるためにやってんだよ。皆んな必死でな。お前みたいなナヨナヨした野郎が俺は一番嫌いなんだよ」
「演説すか?」
「なんだと?」
「イイ年こいてダサいすね」
「まあ言ってろ。教育してやっから」
「やるなら早くや…」
いきなり背中を打たれた。
それから腹とあごに一発ずつ。
あっという間に翔太はボロ切れのようになった。
悔しさというのは不思議と無かった。
むしろ清々しいほどコテンパンにのされた。
口の中に飴玉があるのは変だなと思ったら自分の歯だった。
夜空を見上げたまま二回吐いた。
気絶寸前の翔太を発見したのは塾帰りの中学生だった。
駆け付けた若い警官は殺人事件かと思い、手に持ったトランシーバーが震えるのを止められなかった。
ああ、綺麗なお月様だな。
翔太は眠った。
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