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20.立ちション
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驚いた事に大貫家の狭いリビングには江戸前寿司が並んでいた。
「出前をとりました。お昼はまだでしょう?さあどうぞ、召し上がって下さいね」
「あ、スゲエ。ちょうど腹減ってきたとこっす!」
「馬鹿野郎この野郎てめえ!」
一仕事終え、美佐夫は身体中に付いた蜘蛛の巣を払った。
「何のつもりだ?」
脚立やバールや、腐った木やらを翔太と共に車に積み込みながら美佐夫は園子に問うた。
「さあ?」
「ありゃあドン丸だぜ」
丸い客とは騙しやすい客のこと。ドン丸とはその最上級という意味だ。
「おい翔太。何でもイケそうだぜ。床下換気扇でも、システムキッチンでも、大理石の浴槽でもよ。ソーラーパネルもあれば良かったなあ」
「所長の力っす。あざっす」
「これを見ろ翔太。シロアリ発見!」
美佐夫が大貫邸の床下に潜り、自分が撮影したデジカメ画面を誇らしげに指し示した。
「まじすか?」
「馬鹿野郎。作り物だ。本物みてえだろう」
「キモイっす」
「あの夫婦、蒼くなってたぜ。天井に入るのはまた今度にしよう。骨の髄までしゃぶってやろうぜ」
「お疲れ様でした。あざっす」
園子が改めてペコリと頭を下げた。
「昼メシは食ったし。汚れたからよ、俺はスーパー銭湯寄って帰る。途中で降ろしてくれ」
「わかりました」
「何時だ?」
「3時っす」翔太が答える。
「よし。俺を降ろしたら、お前ら先に戻って良いぞ。今日は定時で上がっていいからよ」
「あざっす!」
「有難うございました」
「おう。園子。礼はいらねえ。シロアリなんかよりハメ撮りしてえよ。今度頼むぜ?」
「あざっす」と翔太。
「馬鹿野郎この野郎。お前が返事してどうすんだ!」
「さーせん!」
「ああもう春だね~」
美佐夫はチャックを下ろし空き地の道端に放尿し始めた。
「お前もしろ」
「あざっす!」
翔太も並んで立ちションをした。
園子は二人の背中をボンヤリ見ていた。
何もかも上手くいった。怖いくらいに…
「おい園子!お前もしろ!」
「ムリでーす!」
「出前をとりました。お昼はまだでしょう?さあどうぞ、召し上がって下さいね」
「あ、スゲエ。ちょうど腹減ってきたとこっす!」
「馬鹿野郎この野郎てめえ!」
一仕事終え、美佐夫は身体中に付いた蜘蛛の巣を払った。
「何のつもりだ?」
脚立やバールや、腐った木やらを翔太と共に車に積み込みながら美佐夫は園子に問うた。
「さあ?」
「ありゃあドン丸だぜ」
丸い客とは騙しやすい客のこと。ドン丸とはその最上級という意味だ。
「おい翔太。何でもイケそうだぜ。床下換気扇でも、システムキッチンでも、大理石の浴槽でもよ。ソーラーパネルもあれば良かったなあ」
「所長の力っす。あざっす」
「これを見ろ翔太。シロアリ発見!」
美佐夫が大貫邸の床下に潜り、自分が撮影したデジカメ画面を誇らしげに指し示した。
「まじすか?」
「馬鹿野郎。作り物だ。本物みてえだろう」
「キモイっす」
「あの夫婦、蒼くなってたぜ。天井に入るのはまた今度にしよう。骨の髄までしゃぶってやろうぜ」
「お疲れ様でした。あざっす」
園子が改めてペコリと頭を下げた。
「昼メシは食ったし。汚れたからよ、俺はスーパー銭湯寄って帰る。途中で降ろしてくれ」
「わかりました」
「何時だ?」
「3時っす」翔太が答える。
「よし。俺を降ろしたら、お前ら先に戻って良いぞ。今日は定時で上がっていいからよ」
「あざっす!」
「有難うございました」
「おう。園子。礼はいらねえ。シロアリなんかよりハメ撮りしてえよ。今度頼むぜ?」
「あざっす」と翔太。
「馬鹿野郎この野郎。お前が返事してどうすんだ!」
「さーせん!」
「ああもう春だね~」
美佐夫はチャックを下ろし空き地の道端に放尿し始めた。
「お前もしろ」
「あざっす!」
翔太も並んで立ちションをした。
園子は二人の背中をボンヤリ見ていた。
何もかも上手くいった。怖いくらいに…
「おい園子!お前もしろ!」
「ムリでーす!」
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