ハウスDr.園子

MIKAN🍊

文字の大きさ
上 下
20 / 41

20.立ちション

しおりを挟む
驚いた事に大貫家の狭いリビングには江戸前寿司が並んでいた。
「出前をとりました。お昼はまだでしょう?さあどうぞ、召し上がって下さいね」
「あ、スゲエ。ちょうど腹減ってきたとこっす!」
「馬鹿野郎この野郎てめえ!」


一仕事終え、美佐夫は身体中に付いた蜘蛛の巣を払った。
「何のつもりだ?」
脚立やバールや、腐った木やらを翔太と共に車に積み込みながら美佐夫は園子に問うた。
「さあ?」
「ありゃあドン丸だぜ」
丸い客とは騙しやすい客のこと。ドン丸とはその最上級という意味だ。

「おい翔太。何でもイケそうだぜ。床下換気扇でも、システムキッチンでも、大理石の浴槽でもよ。ソーラーパネルもあれば良かったなあ」
「所長の力っす。あざっす」
「これを見ろ翔太。シロアリ発見!」
美佐夫が大貫邸の床下に潜り、自分が撮影したデジカメ画面を誇らしげに指し示した。
「まじすか?」
「馬鹿野郎。作り物だ。本物みてえだろう」
「キモイっす」
「あの夫婦、蒼くなってたぜ。天井に入るのはまた今度にしよう。骨の髄までしゃぶってやろうぜ」

「お疲れ様でした。あざっす」
園子が改めてペコリと頭を下げた。
「昼メシは食ったし。汚れたからよ、俺はスーパー銭湯寄って帰る。途中で降ろしてくれ」
「わかりました」
「何時だ?」
「3時っす」翔太が答える。
「よし。俺を降ろしたら、お前ら先に戻って良いぞ。今日は定時で上がっていいからよ」
「あざっす!」
「有難うございました」
「おう。園子。礼はいらねえ。シロアリなんかよりハメ撮りしてえよ。今度頼むぜ?」
「あざっす」と翔太。
「馬鹿野郎この野郎。お前が返事してどうすんだ!」
「さーせん!」

「ああもう春だね~」
美佐夫はチャックを下ろし空き地の道端に放尿し始めた。
「お前もしろ」
「あざっす!」
翔太も並んで立ちションをした。
園子は二人の背中をボンヤリ見ていた。
何もかも上手くいった。怖いくらいに…
「おい園子!お前もしろ!」
「ムリでーす!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

パート先の店長に

Rollman
恋愛
パート先の店長に。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

処理中です...