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17.勝つか負けるか
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会社の駐車場で待っていると事務所から出てきた美佐夫がアイスクリームを咥えながら手を挙げるのが見えた。
「あざっーす!」
「あざっす」
翔太は助手席から後部座席へ移動した。
「積んであるか、例のブツ?」
「はい。腐った木ですよね」
「そういう事を言うんじゃないよ」
「こないだ一応、床下に潜って写真撮ったんですけど」
園子がエンジンをかけ車をスタートさせた。
「あんなんじゃダメだ。もう一回撮る。俺が潜るから」
「はい」
「築どのくらいだ?」
「20年らしいです」
「ちょうど良いな。な?翔太」
「そうっすね」
「二十歳過ぎたら家も女もオバハンだからな」
「そうっすね」
「やっぱり女は若い方が良いだろう」
「そうでもないっす」
「そうか。お前は色男だからな。オバハンはお前みたいなのが好きなんだ。用心しろよ」
「あざっす!」
「ああ良い天気だ」
美佐夫は運転する園子の肩に手を回した。
「そこだ。そっちが近道だ」
ラジオが今日の花粉の飛散量を伝える。
「どうだ。翔太。女係長は大したもんだろう?」
「はい!勉強になるっす」
「こいつは天才的だよ。なあ園子」
「そうですか」
「そうとも」美佐夫は肩に回していた手を園子の太ももに置き直してさすり始めた。
翔太は見えない振りをした。
「任しておけ。心配すんな」
「わかってます」
太ももを撫でていた美佐夫の手が園子の胸に伸びた。
「あ、ちょっと…」
「なあ翔太。お前は才能がある。それを活かせ」
「あざっす!」
「女はほどほどにな」
美佐夫は手を園子の上着の中へ差し入れた。
「どういう意味っすか?」
「男は仕事が一番だ」
しばらく考えて翔太は答えた。
「そうっすね」
「んー?」
「最近思うんす。何が正解なのかわかんない時があって。まだ修行が足りないんすね。あはは」
「馬鹿野郎!この野郎。人生に正解なんてねえんだ!勝つか負けるかなんだよ。仕事も出来ねえ男に女を幸せに出来るか?」
「勝つか負けるか、すね」
「当たり前だろう。おい、ちょっとそこで停めろ。そこだ」
園子はゆっくり車を路肩に寄せた。
「翔太」
美佐夫は財布から一万円札を一枚取り出した。
「あそこのコンビニ行って菓子折り買ってこい」
「菓子折りすか?」
「そうだ。五千円くらいのやつだ」
「わかりました」
翔太がコンビニでレジに並んでいると、美佐夫と園子を乗せた車が駐車場を発進してゆくのが見えた。
「あざっーす!」
「あざっす」
翔太は助手席から後部座席へ移動した。
「積んであるか、例のブツ?」
「はい。腐った木ですよね」
「そういう事を言うんじゃないよ」
「こないだ一応、床下に潜って写真撮ったんですけど」
園子がエンジンをかけ車をスタートさせた。
「あんなんじゃダメだ。もう一回撮る。俺が潜るから」
「はい」
「築どのくらいだ?」
「20年らしいです」
「ちょうど良いな。な?翔太」
「そうっすね」
「二十歳過ぎたら家も女もオバハンだからな」
「そうっすね」
「やっぱり女は若い方が良いだろう」
「そうでもないっす」
「そうか。お前は色男だからな。オバハンはお前みたいなのが好きなんだ。用心しろよ」
「あざっす!」
「ああ良い天気だ」
美佐夫は運転する園子の肩に手を回した。
「そこだ。そっちが近道だ」
ラジオが今日の花粉の飛散量を伝える。
「どうだ。翔太。女係長は大したもんだろう?」
「はい!勉強になるっす」
「こいつは天才的だよ。なあ園子」
「そうですか」
「そうとも」美佐夫は肩に回していた手を園子の太ももに置き直してさすり始めた。
翔太は見えない振りをした。
「任しておけ。心配すんな」
「わかってます」
太ももを撫でていた美佐夫の手が園子の胸に伸びた。
「あ、ちょっと…」
「なあ翔太。お前は才能がある。それを活かせ」
「あざっす!」
「女はほどほどにな」
美佐夫は手を園子の上着の中へ差し入れた。
「どういう意味っすか?」
「男は仕事が一番だ」
しばらく考えて翔太は答えた。
「そうっすね」
「んー?」
「最近思うんす。何が正解なのかわかんない時があって。まだ修行が足りないんすね。あはは」
「馬鹿野郎!この野郎。人生に正解なんてねえんだ!勝つか負けるかなんだよ。仕事も出来ねえ男に女を幸せに出来るか?」
「勝つか負けるか、すね」
「当たり前だろう。おい、ちょっとそこで停めろ。そこだ」
園子はゆっくり車を路肩に寄せた。
「翔太」
美佐夫は財布から一万円札を一枚取り出した。
「あそこのコンビニ行って菓子折り買ってこい」
「菓子折りすか?」
「そうだ。五千円くらいのやつだ」
「わかりました」
翔太がコンビニでレジに並んでいると、美佐夫と園子を乗せた車が駐車場を発進してゆくのが見えた。
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