メモリーズ 〜遠い遠い昔、広島の遥か彼方で〜

MIKAN🍊

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第5話 Mステーション/右京早苗

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僕と西郷どんが
斉藤広美の家を訪ねて
幾日か過ぎた

彼女の姿は
朝のプラットフォームから消えた


暗闇の中でやっと見つけた僕の恋心も
これにて終了かと思われた


初めて彼女と
会った時の印象は
かなり図太いものだったはずなんだけど

やはり彼女も
普通のか弱き女の子だったのだろう


もし何万人というファンがいたとしても
“普通の女の子に戻りたい”という女子を
引き止めることは誰にもできない


考えてみれば
口をきいたこともない男子生徒が
ある日突然バイクで押しかけたのだから
嫌われても当然だ

それも1人はごつい大男
1人はオカマなのだから避けない方がおかしい


僕は
自分のせいでもないのになんとなく反省し
後味の悪い思いがした


彼女に一言謝りたい

せめて最後くらい
男らしいところを見せたい

そんな風に思った

だって僕は告白さえ
自分の口からしていないのだから


将来結婚して
子供に
「父さんの初恋はどんなだったの?」
と聞かれた時

なんて答えればいい?

オカマのあたりまでは
笑ってくれるだろうが

それ以来嫌われて
トンズラされたきりじゃあ立つ瀬がない


さりとて
良い知恵もなかった

彼女の姿は消えたが
本当に行方不明になったわけじゃない

学校には来ていた

つまり
登校時間を変えたのだ
これはこれで寂しい

教室まで出向くという
強行手段もあるが
失礼には当たらないか?
(何を今さら)

第一、別のクラスの
女子の所へ行くなんて
目立ちすぎる

僕はちっとも
恥ずかしくはない
彼女に遠慮してのことだ
(だから何を今さら)

なんとかアポが取れたら
良いのだが
(取れたら苦労しない)


自然と僕たちは
斉藤広美のことを口にしなくなった

僕たちは努めて明るく
音楽やレコードの話しをした

「なあ、西郷」と僕
「なんじゃ」

「サイケゆうのは、どういう意味なんじゃ」
「自分で調べりゃええじゃろ」

「それが辞書には載っとらんのじゃが」

「お前どんな辞書使うとるんじゃ」
「1年の時買うたやつじゃ」

「載っとらんか」と園部

「サイコロジーならある」

「サイケなんて試験には出んぞ」

「マークシートじゃけん、サイコロ転がせゆう意味じゃ」

「なるほど」

「サイケんの言葉かの?」

「最近ではない」


はあ~
虚しい‥

こんな具合だった



ホームを歩く僕たちの横を
貨物列車が
ごうごうと通り過ぎた

チハ
キヌ…
ハヤ…

なんの意味だろう‥

貨車が巻き上げる
鉄粉と砂塵


油圧ブレーキがきしむ音

ディーゼルエンジンから
吐き出される
燃え尽きた燃料の匂い

積み荷が発する
雑介のような
すえた乾いた匂い


さまざまな匂い

ざらりとした

重油や石油

の匂い

他には

(匂い…)


様々なオイルの匂い

材木や

ゴム

(匂い…)


ひりひりするような

焼けた


樹脂や

(の匂い…)


鋼鉄や

化学肥料


砂利

ざらざらした


それに

鉄だ


鉄の匂いがする


僕はレバーが苦手だから
鉄分を補給するにはちょうど良いさ‥


どこか自暴自棄で
生ぬるい風が吹く


プラットホームの
まばらな人波に呑まれて
僕たちは
力無く階段を上ってゆく


細かい鉄の粒子が
キラキラ光りながら
朝日を浴びて舞う


「だりいのお」と園部

西郷は押し黙っている


僕は…

僕は鉄粉混じりの空気を
大きく吸い込んだ


少しだけ
丈夫になったような
気がした


気がしただけだ



この頃
山陽本線M駅では
古い在来線の駅舎に新幹線の駅が加わり
駅全体の増改築が急ピッチで進んでいた


旧M城跡を横切るように造られたM駅は
西口が主に市の陸の正面玄関としての役割を果たしていた

西口はバスターミナルや商店街で賑わい
学校帰りの僕たちも
よくこの商店街の書店やレコード店を利用した

H駅にも
レコード店や書店くらいあったが
いづれも小さな店構えで
こちらの方はもっぱら取り寄せ用の店として僕たちは使い分けた


西口正面のアーケードを5、600メートル行くとやがて桟橋が見えて来る

港はその先だ

巨大な工場群に両側を挟まれて
四国、今治や因島への連絡船やフェリーの乗り場があった


僕たちの通う高校は駅の東側にあった

東口は
城跡の石垣が残っていて
出口を降りると
その高い石垣のすぐ脇に出ることができた

東口側には
めぼしい商店や派手な施設はなく
東口周辺の古い住宅街を抜ければ
小さな幾つかの河川と田畑が広がっているだけだった


どこに行っても
田んぼと畑だけなのだ

僕たちが通う学校も
そんな風景の中にあった



M駅では
改装工事が進行中だったので
構内にはいつも
白いシートが施された区画が何箇所かあり
中では昼夜を問わず工事が行われていた

わざわざ
覗いたわけではない‥


そして駅の東側には
完成して間もない山陽新幹線乗り場があった

新しいコンコースは
やけにモダンで明るく
清潔感に溢れていた


それに引き替え
在来線のホームや陸橋、西口改札あたりは
昼なお暗く
赤茶けた鉄骨や大きなボルトが剥き出しになっていて

昔ながらの駅のみすぼらしさを残していた

けれどそれはそれでどことなく懐かしく
暖かい雰囲気を醸し出してもいた


山陽本線のプラットホームは5つ
それぞれが1、2、3、4、5番線

西口改札を入ってすぐの所に
0番線というのがあり呉線の列車が発着していた

たしかそうだった‥

0番線とは
ちょっとお洒落だ

M駅は呉とM市を結ぶ呉線の起点でもあった


列車を降り
ホームの階段を昇り
古びた陸橋を渡りきった先に
新幹線のコンコースが
ゴージャスに広がっていた

どのくらいゴージャスかというと

スリーディグリーズが
出て来そうなくらい
ゴージャスだった


ああ
憧れの新幹線よ 



新幹線のコンコースは
正面の改札口を中心に
左手前にはみどりの窓口や切符券売機が並んでいた

右手には階段がいくつか
ひとつは城跡のふもとに降りて行く
僕たちが普段利用するコース

ひとつは城跡の公園に出る細い昇り階段だ


改札口の上には
パネル式の黒い掲示板がぶら下がっていて
パタパタと音を立てながら忙しそうに時を刻んでいた


コンコースとの境界にある改札で定期券を見せ
駅係員の鋭い眼差しを通り抜ける


係員の鷹のような動体視力は
たった1日の期限切れも見逃さない

僕は前に一度
係員に厳しく呼び止められたことがあった

係員の見間違えだと思い
ムッとして凄んでしまったが
1日勘違いしていたのは僕の方で
えらい恥をかいた


駅員さんを舐めてはいけない
旧国鉄の職員さん達は優秀だったのだ


だから
どうか信じてください
あの時のあれは
わざとじゃないんです‥


場所が駅だけに
どうも話しが脱線してしまう‥


この日
僕を待ち受けていたのは怒涛の新展開だった

人生は何が起こるかわからない

特に高校3年の春ならなおさらのことだ


改札を過ぎ
いつものコースに向かおうとしていた僕たちの前に現れたのは
くりくりパーマの1人の不良少女だった

少女とは言え
どぎつい化粧は夜の蝶並み

よくよく見ると
右京ではないか

いや、右京さんじゃないですか‥

お、お早うございます!


右京早苗は同じ高校の
なんというか‥アレである

彼女は赤く染め上げた
くりくりパーマをさらにオールバックにしていた

同じ高校なのになぜ捕まらないのか
不思議だ


眉毛は極細の一本の筋だった
切れ長の
豹のような目の上には
青々とした剃りあとがあった

小さく尖った鼻の下には
真っ赤な唇がきりりと結ばれている

プレイバックPart2の百恵ちゃんを
思い出してくれると話しが早い


ぺっちゃんこの黒い鞄を
いい加減にかかえ
何故か右の足だけ真横を向いている

威嚇の構えだ

ひだスカートの丈は
くるぶしをすっかり隠してしまうくらい長かった


校則もへったくれもない


足元は
なんと便所ゲタだった

どうしてゲタの
カラコロという音がしなかったのだろうか‥

どうしてゲタ履きで学校に行けるのだろうか‥


そんな僕の
沸き起こる不安と疑問をあざ笑うかのように
右京早苗の真っ赤な唇が開かれた


「自分、ちょっと顔貸してくれん?」


ハイファイだがドスの利いた声

か、顔は貸すものじゃありません
洗うものです‥

自分て誰?


「なあ、ちょっとでええんじゃ」


あ、はいはい
聞こえてますよ‥

後ろから突然
西郷と園部が押してきたので
僕はずいと右京に
にじり寄る形になった


ひいーッ!


通り道で立ち止まっていたから
他校の生徒に小突かれたのだ

リーゼントスタイルのロックンロール野郎が
「チッ」と
舌打ちをして遠ざかって行く


あわわわ‥

ど、どうにかしろ西郷!
君はこういう時のためにいたんじゃなかったのか!


僕の心の叫びが届いたのか

西郷が悠然と
僕と右京の間に割って入った

ど、どうだ右京!
謝るなら
今のうちだぞ‥


「ほいじゃあのおー、高杉!わしら先行くけんな」

は?


右京がニヤリと笑って
舌なめずりした


なんて面白いジョークなんだ!

アカデミーブラックユーモア賞をあげたいくらいだ!


しかし西郷は
笑わなかったし
何が何だかわからない顔をしたままの園部を引き寄せると

「ほいじゃのお」と
さっさと行ってしまった

僕の背中をバシンと叩いて

おいおい
冗談は顔だけにしろよ‥


でもそれはジョークでも何でもなかった


朝の通学ラッシュが
そろそろ始まろうかというコンコースで
僕は右京早苗に拉致されたのだ


こ、こうなったらやったろうじゃないか!

恐れなければならないのは恐れそのものである

誰の言葉だっけ‥
ジェダイの騎士?


「こっちじゃ」

右京がきびすを返して歩き始めた

ぺっちゃんこの鞄は本当にぺっちゃんこで
どうやってここまでぺっちゃんこにしたのだろうかというくらい
ぺっちゃんこだった

鞄の裏には
「命」がどうとか
「キャロル」がどうとかいうステッカーが
ごちゃごちゃ貼ってあった


僕の鞄はと言えば
「淳子」とか
「キャンディーズ」のステッカーが折り目正しく張られていて

ステッカーの時点で
すでに相手に呑まれている感じがした


ちきしょー!
ヘルプミー!


おまけに僕の鞄にゃ
ウッドペッカーのシールまで張ってある

もっと
怖いのにしときゃ良かった‥


僕はとぼとぼと
右京のあとをついて行った

コンコースには
他校の生徒があちこちにたむろしていた

現在よく見かける床に直接座り込む光景は
この頃はまだない


この時間帯は
遠方から通学してくる学生が空いた時間を潰している

やむなく駅には早めに到着しているが
急いで登校する理由のない連中だ

ひとつのグループは
2、3人もいればいい方で
たいていは独りで
マンガや参考書を開き
わびしげに突っ立っている

駅東側には東にある3つの高校の生徒が集まる
下校時もそうだ

尾道や福山の学校に通う連中や
M市の他の学校の生徒らが利用するのは西口がメインだ


僕は右京のあとを
くっついて行きながら何度か振り返り
西郷と園部の姿を探したが無駄だった


仕方ない‥
諦めよう

ここから先、何が起きても一人で対処するしかない

怖いなあ‥


右京がふいに立ち止まったので
僕は彼女の足を
蹴ってしまった

カララーン!


げ、ゲタが脱げた!

右京がガッと振り向く… 



ひゃああー!

「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」


どうやら僕は
心臓をどこかに忘れてきたらしい‥



右京は
すっ飛んだ便所ゲタをつまみあげて
それを履き直した

「ええんよ、別に」

ニカッ!
口裂けなんとか‥


僕はぞっとした

そしてちょっと可愛いな
とも思った

ひょっとして
ドッキリカメラじゃなかろうか‥


それから誰かに
合図するかのように
軽く手を振った

「連れて来たけんな」と右京


「連れて来た」とは?

見るとそこには
斉藤広美と分倍河原芳子がいた

やっぱりドッキリカメラだ!

2人は
「新幹線のりばこちら」
と書かれた柱の陰に
隠れていていたのだった


自動掲示板のパネルが
パタパタと回転して
6、7番線の発車時刻が変わった


斉藤広美が一歩
僕の前に歩み出た

上目使いで
僕を不思議そうに見る

やがて人差し指を突き出し
そのまま自分のあごを
とんとんと触り始めた


「話しがあるんじゃ、付きおうてくれる?」


ハイ、もちろんデス‥


ただし
そちらの2人の用心棒は
どけてくれませんかね?


ぬっ!

分倍河原が突然
僕の前に立ちはだかったので
僕は危うく腰が抜けそうになった


分倍河原は
僕と同じくらいの身長で
頭髪こそ染めていないが
ベイシティ・ローラーズみたいな
変わったパーマをかけていた


顔は、そうだな
石野真子を凶暴にした感じ‥

「変な真似したらただじゃ済まんからの」

狼のような石野真子が
ガンを飛ばす

変な真似とはどんな真似じゃ!
変な真似しとるのはそっちじゃろ‥

と、言いたかったが
ぐっと我慢した

腕組みをした分倍河原の
長いリーチがいつほどけて
パンチとなって飛んで来るかわかったもんじゃない

この暴力団め‥


「すまんの芳子、右京も、もうええけん」

「ほいじゃあ行くけんね」と用心棒たち


行け行け、行ってしまえ‥

僕はいきなり強気になり
ズボンのポッケに両手を突っ込んだ


「高杉くん、じゃったよね?」

じゃったよね?
とは悲しい‥


2人を見送っていた
斉藤広美がふいに振り向いて
不思議そうな顔を僕に近付けた

あわてて僕はポケットから手を出した

「はい、高杉くんだけど」


「ふざけとるん?」

いいえ、滅相もないことでございます‥


「性格なんじゃ」と僕

「ふうん」


僕たちは歩きはじめた


彼女もやはり
ぺっちゃんこの鞄を
大事そうに胸元でかかえていた

スカートは長かったが
校則通りの
白いソックスを穿いてる

コンバースのバッシューもきちんと紐で締めて
僕みたいに
かかとを踏んだりは
していなかった


頭の後ろには寝癖が少し


なんて可愛いんだろう‥


「話しって?」
ちょっとカッコつけて僕


「あのね」
「うん」

何か言いにくいことなんだろうか‥

僕にまだ
そんな余地が残されているんだろうか‥


「おとついじゃけど、西郷君がまた家に来たんじゃ」

「西郷が?何しに?」

またあいつか‥


「最初はこの前のこと謝りに来たんじゃゆうて、悪かったのおゆうて」

他に何を言ったのだ‥


「わかったゆうたら、高杉君のことも許してくれゆうんよ」

僕がいつ何をした?


「高杉君はお前のこと ほんまに好きなんじゃけん、真剣なんじゃけん、1回でええけん 付きおうてくれゆうて」


西郷、西郷、西郷‥

お前はいったい何を
考えているのだ‥

そんなこと
いつ頼んだ?


そーか!

それでさっき‥

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