真樹子

MIKAN🍊

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絵美子

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__3年後。

花が咲き風が吹きようやく春が訪れた。そんな感じだった。
街路樹のハナミズキが白や薄紅色の花を青い空一杯に咲かせている。
昨日までの雨が嘘のように晴れ渡り、歩道の所々に水溜まりが煌めいていた。

ぴっちりしたデニムカラーのスキニーパンツ。トップスはレイヤード風の白のカットソー。
足元は白地にピンクラインのナイキ。
水溜まりを除けながら絵美子は待ち合わせの公園に急いだ。

塚田絵美子。35才。趣味ジョギング。ガーデニング。
長年の夢が叶ってマイホーム購入。先月引っ越して来たばかりだ。
新興住宅地の隅っこ。けれど道路は整備され広い歩道も確保してあった。
子どもがまだ小さいから見通しの良い街並みは好都合だった。
南欧風の色合いが強い家々が建ち並び、空から見るとスペイン屋根が美しいモザイク画のようだった。
塚田家のある一角は後発の建売で南欧風とは趣きの異なるツートンカラーのモダンなデザインが特徴だ。20棟ほどが隣り合っていて、それぞれに中二階や屋根裏部屋があり採光のための小窓が幾つもあった。

「おはようございます!」
「あ、おはようございます。塚田さん」
比較的広い児童公園。周囲には芝生。ブランコやウンテイがある。それから球技は禁止の立て札。反対側には小さな藤棚とタコの形を模した滑り台があった。
歩道から入ったすぐのベンチの近くに島津光彦は立っていた。グレーのポロシャツにブルージーンズというラフな格好。
引っ越して二、三日して電話をもらいその日の夕方家を訪ねて来たから面識はあった。
背の高い優しげな佇まいの男である。

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