上 下
38 / 63

38、ものすごく臭くて、ありえないほどデカい

しおりを挟む
Tシャツにピンクの花柄パンティ一枚。それが僕の起きたての姿。
朝はとても元気が良くてピーンとテントを張ってる。
窓辺にいきカーテンを開けると明るい陽光が目に突き刺さった。
長かった梅雨が終わりを告げ、本格的な夏がやって来たのだ。
トイレに入り勢いよくオシッコを飛ばす。
と言っても我が家では昔から座りションなんだけどね。
ギュッと下に向けてしてると段々と柔らかくなってくる。ちょっと残念な気もする。

宝塚フリークの母に女の子として育てられた僕は、諸事情から寝る時はパンティーを履き、起きている時はノーパンで過ごすという変則的な下着習慣を身につける事になった。
苦労しなかったかって?そりゃもちろんしたさ。特に思春期はね。人目が気になったり、人と比べたりして色々大変だった。
でも誰だって人と違う事の一つや二つあるのだ。
そう考えるようになって楽になった。
大切なのは自分の気持ちに嘘はつけないという事だ。幸せになるも不幸になるも自分次第。

ノーパンでレギンスを履き、上から襟先の尖ったリネンのショートスリーブシャツを羽織る。
OFFの日ならこれで完成形だが、仕事なのでハイウェストのショーパンも履いた。
なにせノーパンだから若干ガードは固めておく。
アイボリーのスクーターに跨がり颯爽と職場へGO!
と思ったら、久しぶりの日勤で早く着き過ぎてしまった。
駐輪場から一番近い自販機コーナーまでブラブラ歩いていると現場リーダーの玉木さん達が尻タッチで有名な秋月さんを抱えて喫煙所に入るところに出くわした。
玉木さん達は夜勤明けのはずだ。
何だろうと思い僕もそちらへ向かった。

喫煙所のドアを入ると空気清浄機付きのテーブルの上に秋月さんが仰向けに寝かされていた。
「よお、橘花タチバナ!どした?」
「あ、玉木さん、おはようございます。秋月さん具合でも悪いんですか?」
「具合?ハハハハ!そうだな、そう見えるか」
仲間の一人が僕をジロっと見て言った。
「アッキーの野郎、仕事中酒飲んでやがったのさ」
そして持っていたコンビニ袋をガシャガシャと振った。中にはひしゃげた缶ビールの空き缶が幾つも。
「マジで?」
「マジだ。飲み過ぎて女子トイレで寝てたのを連れて来たんだ」
「スポットの女の子に見つかったのさ」
「まったく仕様がないジジイだよ」
「とんでもねぇ社員だ」
「女子には黙っておいてくれるよう頼んだ。会社にバレたらクビだからな」
イケメン韓流スターのような玉木さんに頼まれてイヤと言う女はいないだろう。
「感謝して欲しいもんだ」
「さあ、早いとこやっちまいましょうよ」
「何するんですか?」僕は訊いた。
「お仕置きだよ。フフフ。橘花も参加な、お前もアッキーによく尻触られてんだろ?仕返ししてやんなよ、まだ時間大丈夫だろ」
「え、はい、まあ…」
「それじゃあ、ズボンを脱がすぞ」
「え!?」

「しかし、よく寝てやがんなー」
「爆睡っすね」
玉木さんは秋月さんのベルトをゆるめズボンを下げた。真っ赤なボクサーパンツが現れた。
「前閉じかよ」
「なんかシミ付いてない?ヤバ」
「やっぱゲイすかね?」
「さあな、おい、お前らは外で見張ってろ。ここは俺と橘花でいい」
「ほい、了解!」
「え、僕は…」
「イイから」
「でも…」
玉木さんはパンツに手をかけた。
何だかイヤな予感がする。

「うわ!クッセ!」
パンツがずり下がったのと同時に目が痛くなるほどの悪臭が鼻をついた。
「ク、臭いっすね…」
「鼻が曲がりそーだ、風呂に入ってんのか?」
「夜勤明けだからでしょ」
「それにしたって…」
玉木さんは皮を摘んで持ち上げた。
「さ、触るんですか!」
「クセェし、それに… めっちゃデカイな!」
「本当ですね!デカい。ものすごく臭くて、ありえないほどデカい…」
「アハハハ!ホントそうだ!」

玉木さんは作業用のウエストポーチからハサミを取り出した。
「切るの手伝え」
「えーっ!無理無理ムリ!残酷過ぎます!」
「なに焦ってんだよ、毛を刈るんだよ」
「毛、ですか?」
「そうだ。寝てる間に丸坊主にしてやるのさ。起きたらたまげるぞ。ワハハ!」

労力を惜しまず人の面倒見が良い玉木さん。
物腰が柔らかく指示も的確だから誰からも人望が厚い玉木さん。
そんな玉木さんは僕の中でちょっと憧れでもあった。
今こうして二人でいるのは嬉しいけれど、僕の知らない玉木さんがどんどん出て来るようで僕は落ち着かなかった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...