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22、純で、ウブで、無知で、お前らしい
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夜勤明け。
軽く一杯やってご飯を食べたらニューエイジで志風音との続きをやろうと思ってた。
この所、僕はずっとバーチャルにハマってる。
連続降雨日数は毎日更新されてるのに、ブログは一切手付かず。
元々ファン限定記事が多かったけど、アクセス履歴(足跡)も随分減っちゃった。
シャワーを浴びて缶ビール片手に裸でウロウロ。
身に付けてるのはBluetooth対応のイヤホンだけ。
シンディー・ローパーの「グーニーズはグッド・イナフ」を聴きながら冷蔵庫を覗いてると、ダイニングテーブルの上のスマートフォンがブルブル震える。
着信の相手は派遣会社の担当。悪い予感。
「はい。橘花です」
「橘花さん、すいません。夜勤明けで申し訳ないんですけど…」
急な増員で12時から18時まで出てくれないかってゆー。
まあいーか。今夜は休みだったし。
「13時までに行ってくれたら良いですから」
何だ、その上からの言い草は。
「もう飲んじゃいましたけど」
僕は意地悪く答えた。
「全然大丈夫ですぅ!宜しくお願いします!」
持ちつ持たれつてのもこの業界必要だから。
僕はOKした。バイクで捕まったらお前も巻き込んでやるからな!
もう一本飲んで行こう。
お薦めプレイリストはデュラン・デュランの「The reflex」に変わった。
仕事場の駐輪場にヴィーノを駐めると、フルカスタムの真っ白なビッグ・スクーターが入ってきた。
ラグジュアリーなハンドル回り。ピッカピカのホリゾンタル・ミラー。
デビルス顔のマジェスティーから降り立つのは、矢嶋風夏さん。
豊かな胸。丸みのあるお尻。
ヘルメットを脱ぐとセミロングのフワフワカールが揺れる。
やったぜ!今日はついてる!
「お疲れ様です!」
「あー、お疲れさまー!あれ?朝、帰ったでしょう?君も呼ばれたの?」
「はい。ご飯だけは食べましたけど!」
「橘花君だっけ?まったく参っちゃうわね。この雨降りに。もうちょっと早く連絡くれないかなー。洗濯やりっ放しだわ」
そうボヤきつつ、風夏さんはスルスルとカッパを脱いでいく。
僕はボンヤリとその光景を眺めていた。
ボトムスはワンウォッシュのクラッシュデニムスキニーパンツ。オトナ可愛いパッチワーク加工付き。カラーはさっぱりしたライトインディゴ。
トップスはノースリーブ。グレーの無地リブニットでおっぱいボヨヨン系。
シューズはベネトンのカラフルスニーカー。
髪型を整えてベージュのキャップをシュッと被る。
カッケーな!鬱陶しい雨もどっかに逃げてっちゃいそうだ。
「この時期、仕事があるだけましかも知れませんね!」と僕。
「そうね。ホント。いつも仕分けにいるわね?」
「はい。僕もよく見ますよ。リーチフォーク乗ってるとこ」
「そう?」
「フォークの資格て難しいですか?」
「そーでもないよ。簡単よ。やるの?」
「あーでも僕、メカ音痴だから」
「関係ないよ」
「そんなデッカいバイク乗れないし」
「大変なのよ。維持費が」
「めちゃくちゃカッコイイですね」
「色々弄ってるからね。フツーの店じゃ車検通らないのよ。そっちのバイクはどお?調子イイ?」
「良いですよ。こないだはインキーしちゃってびっくりしましたけど。あの時は助かりました。ありがとうございます」
「あーあの時ね。いーのよ。困った時は」
「お互い様ですよね!合鍵、帰って探したら家にありました」
「そう。良かったわね。ねー、君。下の名前なんだっけ?」
「橘花、レイナです。鈴の菜っ葉って書いて」
「レイナ?女の子みたいな名前ね。あ、ごめんね!ヘン意味じゃないから」
「いいんです別に!気に入ってますから」
「もうこんな時間!行かないと!」
「そうですね!」
「あー、レイナ君」
「何ですか?」
「何か明るくなったわね?」
「天気スか?」
僕は空を見上げる。
「違うわよ。雰囲気よ」
「僕が?」
「うん。前はもっと物静かな感じじゃなかった?気のせいかな!」
「今も物静かですよ。あは」
ニューエイジの中では彼女の名前は、凌艶子だ。
バーチャルでは何度も喋ってる。慣れからつい調子に乗って話し込んでしまった。
ニューエイジは、僕の現実(リア)とリンクしてる。
天馬さんがそう設計したのだ。
僕はもっと宇宙飛行士とかタイムトラベラーとか、せめてCIA工作員とかが良いってリクエストしたんだけど。
「それじゃあリアルさに欠ける。だいたい設定をCIA工作員にした所でだよ?お前にCIA工作員の仕事が務まるのか?務まらないだろ?すぐロシアの諜報部員に殺されておしまいだぞ?これから勉強するか?秘密工作員の仕事を?100年経っても無理と思うぞ。お前は諜報部員て柄じゃない。良いんだよ、派遣会社の非正規社員で。お前らしくてイイよ。純で。ウブで。無知で」
何だよ、その言い方!って思ったけど、一理あるなと。
僕は勤め先の情報を天馬さんに事細かく説明した。
「データは全てニューエイジに反映される。正直に話せ。でないと身の為にならんぞ?」
脅しかよ!
でも今ではニューエイジに満足してる。
いや、きっとそれ以上だ。
風夏さんの後ろ姿には、バングルスの「Walk like an Egyptian」がよく似合っていた。
軽く一杯やってご飯を食べたらニューエイジで志風音との続きをやろうと思ってた。
この所、僕はずっとバーチャルにハマってる。
連続降雨日数は毎日更新されてるのに、ブログは一切手付かず。
元々ファン限定記事が多かったけど、アクセス履歴(足跡)も随分減っちゃった。
シャワーを浴びて缶ビール片手に裸でウロウロ。
身に付けてるのはBluetooth対応のイヤホンだけ。
シンディー・ローパーの「グーニーズはグッド・イナフ」を聴きながら冷蔵庫を覗いてると、ダイニングテーブルの上のスマートフォンがブルブル震える。
着信の相手は派遣会社の担当。悪い予感。
「はい。橘花です」
「橘花さん、すいません。夜勤明けで申し訳ないんですけど…」
急な増員で12時から18時まで出てくれないかってゆー。
まあいーか。今夜は休みだったし。
「13時までに行ってくれたら良いですから」
何だ、その上からの言い草は。
「もう飲んじゃいましたけど」
僕は意地悪く答えた。
「全然大丈夫ですぅ!宜しくお願いします!」
持ちつ持たれつてのもこの業界必要だから。
僕はOKした。バイクで捕まったらお前も巻き込んでやるからな!
もう一本飲んで行こう。
お薦めプレイリストはデュラン・デュランの「The reflex」に変わった。
仕事場の駐輪場にヴィーノを駐めると、フルカスタムの真っ白なビッグ・スクーターが入ってきた。
ラグジュアリーなハンドル回り。ピッカピカのホリゾンタル・ミラー。
デビルス顔のマジェスティーから降り立つのは、矢嶋風夏さん。
豊かな胸。丸みのあるお尻。
ヘルメットを脱ぐとセミロングのフワフワカールが揺れる。
やったぜ!今日はついてる!
「お疲れ様です!」
「あー、お疲れさまー!あれ?朝、帰ったでしょう?君も呼ばれたの?」
「はい。ご飯だけは食べましたけど!」
「橘花君だっけ?まったく参っちゃうわね。この雨降りに。もうちょっと早く連絡くれないかなー。洗濯やりっ放しだわ」
そうボヤきつつ、風夏さんはスルスルとカッパを脱いでいく。
僕はボンヤリとその光景を眺めていた。
ボトムスはワンウォッシュのクラッシュデニムスキニーパンツ。オトナ可愛いパッチワーク加工付き。カラーはさっぱりしたライトインディゴ。
トップスはノースリーブ。グレーの無地リブニットでおっぱいボヨヨン系。
シューズはベネトンのカラフルスニーカー。
髪型を整えてベージュのキャップをシュッと被る。
カッケーな!鬱陶しい雨もどっかに逃げてっちゃいそうだ。
「この時期、仕事があるだけましかも知れませんね!」と僕。
「そうね。ホント。いつも仕分けにいるわね?」
「はい。僕もよく見ますよ。リーチフォーク乗ってるとこ」
「そう?」
「フォークの資格て難しいですか?」
「そーでもないよ。簡単よ。やるの?」
「あーでも僕、メカ音痴だから」
「関係ないよ」
「そんなデッカいバイク乗れないし」
「大変なのよ。維持費が」
「めちゃくちゃカッコイイですね」
「色々弄ってるからね。フツーの店じゃ車検通らないのよ。そっちのバイクはどお?調子イイ?」
「良いですよ。こないだはインキーしちゃってびっくりしましたけど。あの時は助かりました。ありがとうございます」
「あーあの時ね。いーのよ。困った時は」
「お互い様ですよね!合鍵、帰って探したら家にありました」
「そう。良かったわね。ねー、君。下の名前なんだっけ?」
「橘花、レイナです。鈴の菜っ葉って書いて」
「レイナ?女の子みたいな名前ね。あ、ごめんね!ヘン意味じゃないから」
「いいんです別に!気に入ってますから」
「もうこんな時間!行かないと!」
「そうですね!」
「あー、レイナ君」
「何ですか?」
「何か明るくなったわね?」
「天気スか?」
僕は空を見上げる。
「違うわよ。雰囲気よ」
「僕が?」
「うん。前はもっと物静かな感じじゃなかった?気のせいかな!」
「今も物静かですよ。あは」
ニューエイジの中では彼女の名前は、凌艶子だ。
バーチャルでは何度も喋ってる。慣れからつい調子に乗って話し込んでしまった。
ニューエイジは、僕の現実(リア)とリンクしてる。
天馬さんがそう設計したのだ。
僕はもっと宇宙飛行士とかタイムトラベラーとか、せめてCIA工作員とかが良いってリクエストしたんだけど。
「それじゃあリアルさに欠ける。だいたい設定をCIA工作員にした所でだよ?お前にCIA工作員の仕事が務まるのか?務まらないだろ?すぐロシアの諜報部員に殺されておしまいだぞ?これから勉強するか?秘密工作員の仕事を?100年経っても無理と思うぞ。お前は諜報部員て柄じゃない。良いんだよ、派遣会社の非正規社員で。お前らしくてイイよ。純で。ウブで。無知で」
何だよ、その言い方!って思ったけど、一理あるなと。
僕は勤め先の情報を天馬さんに事細かく説明した。
「データは全てニューエイジに反映される。正直に話せ。でないと身の為にならんぞ?」
脅しかよ!
でも今ではニューエイジに満足してる。
いや、きっとそれ以上だ。
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