王家は真実の愛を推奨しています

みあき

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 エリオット王子殿下と婚約してから、一年が経った。
 私は宣言通り、王宮に通って王妃教育を受け続けている。王宮の使用人や教師達は喜んで、とても私によくしてくれる。
 王妃の発言については、使用人達から必死に謝罪された。そして、王家を見捨てないでほしいと懇願もされた。
 私にはその意味がよく分からなかったけれど、父上に報告したら思い当たることがあるようだった。もしかしたら、私個人に言ったのではなく、リザリオン侯爵家に向けて言ったことなのかもしれない。
『ローゼリア様には立派な王妃になっていただきたいのです』
 教師達から切実に言われる言葉は、まるで立派でない王妃がいると言っているかのようだった。今となっては、きっとそういうことなのだと思う。
 あれから、王妃と私の2人のお茶会も続いている。王妃はお茶会で、我が子である2人の王子と3人の王女のそれぞれに対して自身が思い描いている理想の恋物語を私に語った。
 第一王子だけは私という婚約者がいるからか、王妃が語る物語に変化はなかったけれど、他の王子王女の物語については、色々な可能性があるからと物語の内容がコロコロと変わっていた。ただ身分差の恋というところはだけは一貫していたけれど。
 エリオット殿下には、婚約した日以降会っていない。
 父上も母上も、信用出来るか分からない相手に、私が態々会いに行く必要はないと言った。
 王妃も私と王子殿下が交流することを望んでいないようだったからか、この一年は王子殿下と顔を合わせる機会自体が私になかった。
 私自身も王妃教育で忙しかったし、王子殿下に会えないことはあまり気にしないことにしていた。
 ただ、使用人や教師達が「ローゼリア様はエリオット殿下にお会いしたいと思いませんか?」と時々尋ねてきていた。けれど、私があまり肯定的な答えを返さなかったから、それで何かが起こるということはなかった。
 それがここ2週間ほど前から、様子が変わった。
「ローゼリア様、どうかエリオット殿下にお会いしていただけませんか?」
 使用人や教師達の質問が懇願に変わった。
 最初はせっかく婚約関係であるのだからという心遣いから言葉を変えたのかと思ったけれど、皆が一斉に私に頼み続けるものだから、違う事情があるのかもしれないと考え出した。
 以前質問していた時も、本当は私に、王子殿下に会いたいと答えてほしかったのかもしれない。
「急に皆そう言うようになったけど、何かあったのかしら?」
 私が問いかけると、何故か皆口を閉じる。これにもまた困っている。あの王妃がいると思えば、下手に話せないことがあるというのも想像出来なくはないけど、私としては何も分からないまま動くことは出来ない。
「父上や母上、それに王妃殿下も私が王子殿下とお会いすることを望んでないの。申し訳ないけど、理由がなければ私も動けないわ」
 請われるだけでは困ると私が話しても、皆しばらく気まずそうに黙っていた。けれど、一人のメイドが意を決したように口を開いた。
「このままではエリオット殿下が壊れてしまいます。私達の言葉では届かないのです。ですが、ローゼリア様のお言葉ならばと期待しております。ローゼリア様、どうかエリオット殿下にお会いしていただけませんか?」
 メイドが話し終えると、皆がバラバラに「よろしくお願いします」と頭を下げた。
 王子殿下が壊れてしまうというのは、どういうことかしら。何があったらそんな心配が出てくるのか、あまり想像がつかないわ。
 いい加減、下の者がこれだけ願い出ているのに、上の者が応えないというのもよくない気がする。
「分かったわ。私に出来ることがあるのかは分からないけれど、あなた達の願いを聞くわ。スケジュールの調整はやってくれるわよね?」
「もちろんです!!ありがとうございます!!」
「エリオット殿下をよろしくお願いいたします!!」
 願いを聞き入れると答えたら、涙目で喜ばれた。期待が大きすぎる気がして、少し心配になる。
 なるようになる!と、思うしかないわね。
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