3 / 20
3
しおりを挟む
「ラプス様、あーん」
「あーん」
一口サイズのハンバーグを刺しているフォークを差し出す手がドキドキで震えている。
そんな震えを気にもとめず、ラプス様は僕が差し出したハンバーグを口に含む。
嗚呼、ラプス様、今日もかっこいい。素敵。思わずうっとりと見惚れてしまう。
ラプス様と両想いになってから数ヶ月、婚約者兼恋人として少しずつ距離を縮めてきた。愛称で呼び合えるなんて嬉しくて堪らない。
ラ、ラプス様の方から僕ともっといちゃいちゃしたいと言ってくださって、僕がドキドキし過ぎて気絶してしまわないように、少しずつ関係を進めている。今日は初めての食事の食べさせ合いっこだ。
お昼には食堂の個室を僕達の専用ルームにされることをラプス様が宣言されて、お食事の時間はラプス様との貴重ないちゃいちゃタイムとなった。いちゃいちゃタイムって響きがまさに恋人っぽくて照れてしまう。
個室を独占するなんて横暴かなって心配したんだけど、元々利用の権利を持つ人は限られてたし、その人達が生暖かい目で了承してくれたから、皆さんのご厚意と思って遠慮なく使わせてもらうことにした。
それに、あの物語ではこの個室で主人公の令嬢はラプス様や令息達と親密になっていってたから、物語通りにことが進まないという点でもラプス様の宣言は嬉しかった。
「うまい」
「よ、よかったです」
「シェフの腕がいいのはもちろんだが、アルグが食べさせてくれるからいっそううまい」
「そっ、そんな・・・えっと、光栄です」
嬉しい。たとえ社交辞令だとしても、ラプス様にそんな風に言ってもらえるなんて嬉しくて堪らない。
はっ!ダメだよ、僕!ラプス様のお言葉を社交辞令なんて言って、そのお心を信じないなんて婚約者としてしちゃダメ!
そ、それに僕達もう恋人だし、ラプス様も本当にそう思ってくださっても何もおかしくないし。
「毎日、こうやって食事をしたいくらいだ」
「はうっ」
「次はアルグだ。ほら、あーん」
「あ、あーん」
ラプス様に差し出されたスプーンで掬われたホワイトシチューを口に咥える。
すごく熱い。作り立てのシチューが熱いのか、ドキドキし過ぎてる僕の身体が熱いのか、どっちかは分かんないけどすごく熱い。
ドキドキのし過ぎで、涙も滲んできちゃったし。
「うまいか?」
「っ、はい!・・・あの、本当はドキドキし過ぎて味が分からないです」
嘘はよくないと思って正直なことを言い直しちゃったけど、大丈夫だったかな?ドキドキで味が分からないなんて、やっぱり王子の婚約者として情けなかったかな。
不安を感じながらラプス様のお顔を見ると、驚いたように僕のことを見つめられていた。ちょっと頬が紅いような気もする。
「どうしてアルグはそんなに可愛いんだ」
「へ?」
「今すぐキスをしたくて堪らなくなるじゃないか」
「ふぇっ!?」
ラプス様が熱っぽい瞳で僕のことを見つめながら、そんなことを言う。
ドキドキで卒倒しそう!!
嬉しい!僕もラプス様とキスしたい!すごくしたいけど、今の僕じゃ絶対気絶しちゃう!そんなんじゃキスの余韻とか全然味わえない!
「大丈夫だ、アルグ。今はまだ我慢する。今キスしたら、きっと君はまた気絶してしまうだろ?俺達の初めてのキスはアルグにもしっかり覚えていてもらわなければな」
「ラプス様・・・お気遣いありがとうございます。僕も早くラプス様とキ、キス出来るようになれるよう頑張ります」
夫婦になるんだもん。いずれはキスだけじゃなくてそれ以上もする関係に僕達はなるんだ。はぁ、ドキドキする。
先ずは手を繋いでデート出来るようになることを目指そう。
「嗚呼、楽しみにしてる。さぁ、食事の続きだ」
「はい。どうぞ、ラプス様」
「・・・」
「?ラプス様?」
僕が差し出したハンバーグを見つめて、ラプス様が固まる。あれ?僕何か変なことしたかな?
「アルグ、『あーん』と言ってくれ」
「え?あ、はいっ。あーん」
「あーん」
お願いに応えたら、ラプス様は満足そうにハンバーグを口に咥えた。
その後もラプス様は『あーん』と言うのとセットじゃないと、食事を進めなかった。
恥ずかしかったけど、いつもかっこいいラプス様が恋人として甘えてくださっているように感じて嬉しかった。
「あーん」
一口サイズのハンバーグを刺しているフォークを差し出す手がドキドキで震えている。
そんな震えを気にもとめず、ラプス様は僕が差し出したハンバーグを口に含む。
嗚呼、ラプス様、今日もかっこいい。素敵。思わずうっとりと見惚れてしまう。
ラプス様と両想いになってから数ヶ月、婚約者兼恋人として少しずつ距離を縮めてきた。愛称で呼び合えるなんて嬉しくて堪らない。
ラ、ラプス様の方から僕ともっといちゃいちゃしたいと言ってくださって、僕がドキドキし過ぎて気絶してしまわないように、少しずつ関係を進めている。今日は初めての食事の食べさせ合いっこだ。
お昼には食堂の個室を僕達の専用ルームにされることをラプス様が宣言されて、お食事の時間はラプス様との貴重ないちゃいちゃタイムとなった。いちゃいちゃタイムって響きがまさに恋人っぽくて照れてしまう。
個室を独占するなんて横暴かなって心配したんだけど、元々利用の権利を持つ人は限られてたし、その人達が生暖かい目で了承してくれたから、皆さんのご厚意と思って遠慮なく使わせてもらうことにした。
それに、あの物語ではこの個室で主人公の令嬢はラプス様や令息達と親密になっていってたから、物語通りにことが進まないという点でもラプス様の宣言は嬉しかった。
「うまい」
「よ、よかったです」
「シェフの腕がいいのはもちろんだが、アルグが食べさせてくれるからいっそううまい」
「そっ、そんな・・・えっと、光栄です」
嬉しい。たとえ社交辞令だとしても、ラプス様にそんな風に言ってもらえるなんて嬉しくて堪らない。
はっ!ダメだよ、僕!ラプス様のお言葉を社交辞令なんて言って、そのお心を信じないなんて婚約者としてしちゃダメ!
そ、それに僕達もう恋人だし、ラプス様も本当にそう思ってくださっても何もおかしくないし。
「毎日、こうやって食事をしたいくらいだ」
「はうっ」
「次はアルグだ。ほら、あーん」
「あ、あーん」
ラプス様に差し出されたスプーンで掬われたホワイトシチューを口に咥える。
すごく熱い。作り立てのシチューが熱いのか、ドキドキし過ぎてる僕の身体が熱いのか、どっちかは分かんないけどすごく熱い。
ドキドキのし過ぎで、涙も滲んできちゃったし。
「うまいか?」
「っ、はい!・・・あの、本当はドキドキし過ぎて味が分からないです」
嘘はよくないと思って正直なことを言い直しちゃったけど、大丈夫だったかな?ドキドキで味が分からないなんて、やっぱり王子の婚約者として情けなかったかな。
不安を感じながらラプス様のお顔を見ると、驚いたように僕のことを見つめられていた。ちょっと頬が紅いような気もする。
「どうしてアルグはそんなに可愛いんだ」
「へ?」
「今すぐキスをしたくて堪らなくなるじゃないか」
「ふぇっ!?」
ラプス様が熱っぽい瞳で僕のことを見つめながら、そんなことを言う。
ドキドキで卒倒しそう!!
嬉しい!僕もラプス様とキスしたい!すごくしたいけど、今の僕じゃ絶対気絶しちゃう!そんなんじゃキスの余韻とか全然味わえない!
「大丈夫だ、アルグ。今はまだ我慢する。今キスしたら、きっと君はまた気絶してしまうだろ?俺達の初めてのキスはアルグにもしっかり覚えていてもらわなければな」
「ラプス様・・・お気遣いありがとうございます。僕も早くラプス様とキ、キス出来るようになれるよう頑張ります」
夫婦になるんだもん。いずれはキスだけじゃなくてそれ以上もする関係に僕達はなるんだ。はぁ、ドキドキする。
先ずは手を繋いでデート出来るようになることを目指そう。
「嗚呼、楽しみにしてる。さぁ、食事の続きだ」
「はい。どうぞ、ラプス様」
「・・・」
「?ラプス様?」
僕が差し出したハンバーグを見つめて、ラプス様が固まる。あれ?僕何か変なことしたかな?
「アルグ、『あーん』と言ってくれ」
「え?あ、はいっ。あーん」
「あーん」
お願いに応えたら、ラプス様は満足そうにハンバーグを口に咥えた。
その後もラプス様は『あーん』と言うのとセットじゃないと、食事を進めなかった。
恥ずかしかったけど、いつもかっこいいラプス様が恋人として甘えてくださっているように感じて嬉しかった。
146
お気に入りに追加
274
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
Ωだったけどイケメンに愛されて幸せです
空兎
BL
男女以外にα、β、Ωの3つの性がある世界で俺はオメガだった。え、マジで?まあなってしまったものは仕方ないし全力でこの性を楽しむぞ!という感じのポジティブビッチのお話。異世界トリップもします。
※オメガバースの設定をお借りしてます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
どこにでもある話と思ったら、まさか?
きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる