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第四話 魔法剣と騎士の称号
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「さてっ、と。そうなると、結界を維持したままというのも、醜聞を広げる可能性があるかな」
ラルクやエリダ。
馬鹿な婚約者とその浮気相手に関するとりあえずのことは、レイに任せておけば良さそうだった。
仕事とも呼べない事務を終えてみれば、冷静になれそうな自分がそこにいる。
昨日は世間では週末というか、金曜日の夜だった。
はるか東の大国からやってきた近代的な週休二日制の習慣は、この国ではあまり重要視されていない。
土曜日でも普通に商家や農家は働くし、職人たちだって軒先を開いている。
ただ、わたしのような公的な職務を持つ者たちにとってはそれは例外な訳で……。
「土日の休みはありがたいけど、あいにくとこの管理の仕事は人が休みな時に忙しいのよね……」
ボルダスの街は、そばを流れる大河の支流から地下に水路を整備して発展してきた。
大河はその名をシェスという。
はるかな東の果てで、この西の大陸と東の大陸を両断するように本流があるらしい。
もっとも、本やそこに描かれた絵を見聞きしただけで実際に見たことはないから、それが真実かどうかはわからない。
ただ明らかなことが一つだけあって、ここに流れて来る支流は、その合間に山脈だの草原だのを経由している。
そのせいで、河の色は濁りに濁った土色に近い、茶色。
つまり、何かをしなければ飲めないというわけだ。
「……そこでわたしのような魔導師と魔道具を利用して、水の清浄を行う訳だけど。管理がねー」
めんどくさいのだ。
ここはどちらかと言えば、南に近い。
しかし、南国というわけでもなく、ただ生態系は活発だ。それなりに。
――あの魔法剣、護身用に持っておけば良かった。
そう思い惜しいことをしたとぼやいたのは、それから二時間ほどした後のことだった。
「ねえ、レイ。どういうこと?」
「受け取って頂けませんでしたねえ。不思議なことに」
「だって、彼にとっては命の次に大事な騎士の証じゃない」
二時間後。
侍女が戻って来た。
行きは徒歩で、戻りは豪華な馬車に揺られての帰宅だった。
二階の自室に上がり、ベッドをどう処理してくれようかと唸っていたわたしは、門扉の向こう側にやってきた四頭立ての馬車を見て一瞬、背筋を凍らせた。
ラルクやエリダ。
馬鹿な婚約者とその浮気相手に関するとりあえずのことは、レイに任せておけば良さそうだった。
仕事とも呼べない事務を終えてみれば、冷静になれそうな自分がそこにいる。
昨日は世間では週末というか、金曜日の夜だった。
はるか東の大国からやってきた近代的な週休二日制の習慣は、この国ではあまり重要視されていない。
土曜日でも普通に商家や農家は働くし、職人たちだって軒先を開いている。
ただ、わたしのような公的な職務を持つ者たちにとってはそれは例外な訳で……。
「土日の休みはありがたいけど、あいにくとこの管理の仕事は人が休みな時に忙しいのよね……」
ボルダスの街は、そばを流れる大河の支流から地下に水路を整備して発展してきた。
大河はその名をシェスという。
はるかな東の果てで、この西の大陸と東の大陸を両断するように本流があるらしい。
もっとも、本やそこに描かれた絵を見聞きしただけで実際に見たことはないから、それが真実かどうかはわからない。
ただ明らかなことが一つだけあって、ここに流れて来る支流は、その合間に山脈だの草原だのを経由している。
そのせいで、河の色は濁りに濁った土色に近い、茶色。
つまり、何かをしなければ飲めないというわけだ。
「……そこでわたしのような魔導師と魔道具を利用して、水の清浄を行う訳だけど。管理がねー」
めんどくさいのだ。
ここはどちらかと言えば、南に近い。
しかし、南国というわけでもなく、ただ生態系は活発だ。それなりに。
――あの魔法剣、護身用に持っておけば良かった。
そう思い惜しいことをしたとぼやいたのは、それから二時間ほどした後のことだった。
「ねえ、レイ。どういうこと?」
「受け取って頂けませんでしたねえ。不思議なことに」
「だって、彼にとっては命の次に大事な騎士の証じゃない」
二時間後。
侍女が戻って来た。
行きは徒歩で、戻りは豪華な馬車に揺られての帰宅だった。
二階の自室に上がり、ベッドをどう処理してくれようかと唸っていたわたしは、門扉の向こう側にやってきた四頭立ての馬車を見て一瞬、背筋を凍らせた。
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