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第三章 姉妹の確執
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食堂は本館の建物の一階にあった。
教室二つ分くらいの広さがあり、手動で開閉するドアのそばに置いてある券売機で食券を購入し、調理をするおばちゃん達のいるカウンターのところにそれを差し出すと、トレイの上に料理が載って提供される仕組みだ。
生徒たちは個別にIDカードを与えられていて、財布の中に閉まったそれを券売機にかざすと、自動的に精算をしてくれる。
翌月末に一括して請求される仕組みだ。
もちろんそれ以外にも現金での清算も受けつけている。
多くの生徒はやっぱりIDカードでの自動精算を利用している。
牧那もその内の一人のようで、彼女は三台設置されてある券売機の一つで、食券を購入していた。
彼女が選んだのは意外にも、カツ丼。それもご飯大盛り。カツ一枚追加の、特注。
「どうかしましたか?」
「あ、いや。よく食べるなーって」
後ろでそれを見ていた抱介が、唖然としているのを見て、牧那は首を傾げた。
よく食べると言われて、恥じらいを感じたのか頬を赤く染める。
こんな所では恥じらいを感じるんだ? と、図書室での騒動を思い返し、改めて唖然とする。
「先輩は、何にされるんですかー」
「あ、俺? うーん」
と、少しばかり悩んで、無難なかけうどんの小。一玉分とサラダを注文する。
その時、財布から抱介が小銭を出したのを見て、牧那はえいっと自分の財布を、IDの読み取り機の前に押し付けた。
「おいっなにやってんだよ」
「えへへー。さっきのお返しです」
と、なぜか嬉しそうににっこりと微笑んで、彼女は抱介の分の食券まで手に持って移動を始める。
何のお礼だ?
今度はこちらが首を捻る番だった。
牧那はてけてけと小走りにカウンターに向かって駆けていく。
その様は、やはり小学生の低学年か。
下手したら幼稚園児のようにも見えなくはない。
高校生の制服を着た、幼い少女が目の前を通り抜けていく。
それから、カウンター越しに調理には時間がかかると言われたのだろう。
あちら側にいるおばちゃんの一人から番号札を受け取っていた。そこまでされるとこちらは水の入ったコップを二つ用意して、彼女のことを待つしかできない。
番号札は彼女が持っていて、別々の席になるのもなんだか、具合が悪い。
かといってこの食堂は彼女の姉であり、前カノでもある季美も頻繁に利用しているのだ。
いまの彼氏とその取り巻きとともに、同じ卓を囲んでいるのを目にしてから、抱介はこの場所に足を運ぶのをやめた。
まあ、牧那はそんなことは知らないだろう。
だって、通学してまだ二日目なのだから。
もし、季美のやつとここでばったり遭遇したとしても、無視することにしよう。
姉妹で揉めることがないように祈りつつ抱介は、
「先輩―こっち、こっち!」
と、先に窓際の席を占領した彼女が手を振って呼ぶ方向に、その足を向けた。
教室二つ分くらいの広さがあり、手動で開閉するドアのそばに置いてある券売機で食券を購入し、調理をするおばちゃん達のいるカウンターのところにそれを差し出すと、トレイの上に料理が載って提供される仕組みだ。
生徒たちは個別にIDカードを与えられていて、財布の中に閉まったそれを券売機にかざすと、自動的に精算をしてくれる。
翌月末に一括して請求される仕組みだ。
もちろんそれ以外にも現金での清算も受けつけている。
多くの生徒はやっぱりIDカードでの自動精算を利用している。
牧那もその内の一人のようで、彼女は三台設置されてある券売機の一つで、食券を購入していた。
彼女が選んだのは意外にも、カツ丼。それもご飯大盛り。カツ一枚追加の、特注。
「どうかしましたか?」
「あ、いや。よく食べるなーって」
後ろでそれを見ていた抱介が、唖然としているのを見て、牧那は首を傾げた。
よく食べると言われて、恥じらいを感じたのか頬を赤く染める。
こんな所では恥じらいを感じるんだ? と、図書室での騒動を思い返し、改めて唖然とする。
「先輩は、何にされるんですかー」
「あ、俺? うーん」
と、少しばかり悩んで、無難なかけうどんの小。一玉分とサラダを注文する。
その時、財布から抱介が小銭を出したのを見て、牧那はえいっと自分の財布を、IDの読み取り機の前に押し付けた。
「おいっなにやってんだよ」
「えへへー。さっきのお返しです」
と、なぜか嬉しそうににっこりと微笑んで、彼女は抱介の分の食券まで手に持って移動を始める。
何のお礼だ?
今度はこちらが首を捻る番だった。
牧那はてけてけと小走りにカウンターに向かって駆けていく。
その様は、やはり小学生の低学年か。
下手したら幼稚園児のようにも見えなくはない。
高校生の制服を着た、幼い少女が目の前を通り抜けていく。
それから、カウンター越しに調理には時間がかかると言われたのだろう。
あちら側にいるおばちゃんの一人から番号札を受け取っていた。そこまでされるとこちらは水の入ったコップを二つ用意して、彼女のことを待つしかできない。
番号札は彼女が持っていて、別々の席になるのもなんだか、具合が悪い。
かといってこの食堂は彼女の姉であり、前カノでもある季美も頻繁に利用しているのだ。
いまの彼氏とその取り巻きとともに、同じ卓を囲んでいるのを目にしてから、抱介はこの場所に足を運ぶのをやめた。
まあ、牧那はそんなことは知らないだろう。
だって、通学してまだ二日目なのだから。
もし、季美のやつとここでばったり遭遇したとしても、無視することにしよう。
姉妹で揉めることがないように祈りつつ抱介は、
「先輩―こっち、こっち!」
と、先に窓際の席を占領した彼女が手を振って呼ぶ方向に、その足を向けた。
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