NTRするなら、お姉ちゃんより私の方がいいですよ、先輩?

和泉鷹央

文字の大きさ
上 下
27 / 66
第二章 そして一年が過ぎ‥‥‥

23

しおりを挟む
 いきなりの猛攻。
 相手に隙を与えないというのはこういう状況を示すのか、と頭のどこかで新しい知見を得た気分になる。

 いやいやいや、それどころじゃない!
 抱介は牧那の顔が迫ってくるのを目にして、慌ててのけぞった。
 上半身をまるまる後ろに反らしたが、捕まってしまう。
 牧那はにへっと大きく口を開けて、まるで獲物をひとのみにするかのような感じで、抱介の唇を奪った。

 それは運動神経が鈍っているとか、あまりにも唐突で反応が遅れたとかそういうわけではない。
 一瞬だけ。
 妹のその仕草に、忘れきれてない彼女の面影が重なって見えたからだった。

「んっ‥‥‥」
「ムッ――!」

 小さく悲鳴をあげても、年下のハンターは獲物を流そうとしない。
 がっしりと頭の後ろに腕を回し、まるで自分にもたれかかるかのように、全身の体重を預けてくる。

 そのまま後退したら、二人とも床に倒れこんでしまう。
 心のどこかで自分が支えなければならない。
 そんな気がして、抱介は牧那の腰を両手で持つはめになってしまう。

 アンバランスなシーソーゲーム。
 支点は牧那が踏み台にしている脚立で、今は相手のか半身が見えないから状況がわからない。
 でも、押し返したら小柄な彼女のことだ。
 多分、盛大に仰け反ってそのまま床に倒れ込むだろう。
 怪我をさせて、後から文句を言われる方が余程目覚めが悪い。

 あー、めんどうくせっ!
 唇を奪われたまま、抱介は自分の下半身を彼女の腰辺りに当てることでどうにか固定する。

「かひゃい」
「ふぐっ?」

 かひゃい? どういう意味だ?
 不思議な日本語にまた思考が揺れる。
 そのぶんだけ抵抗が緩み、牧那の舌はやすやすと、抱介の奥歯まで達していた。

 丁寧に舐るように、上下の歯を舐め上げられ、それから熱い彼女の唇が、自分の唇を吸い上げる。
 まるで甘い砂糖菓子か何かのように、大切にそれでいて性急に、牧那の舌と唇は抱介のそれを犯していく。
 まずい、このままでは下半身に熱がいってしまう。

 そんなところまで知られたら、この先、永遠に自分はこの小さな狩人の標的だ。
 言いなりにならざるを得ない状況が絶対に訪れる。
 受け入れたくない未来を想像してしまい、抱介の背筋にキスの快感とはまた別の悪寒が走った。
 慌てて牧那の体を、腰と片手でどうにかを固定する。

 もう片方の手で、少女の長くて豊かな亜麻色の髪を申し訳ないと思いながら、掴むようにして頭を引きはがしにかかる。
 ところが、相手も優るもので、少年の指が髪に触れた途端。

「だめー」

 と、まともな声で最後通告がなにかのようなセリフを吐いて、牧那の舌は抱介の喉奥へとまた侵入する。
 その先に迎えている、彼の舌先を刺激し、長い舌先で絡め取るようにして、抱介の舌を彼の口の外へと導き出していた。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

処理中です...