NTRするなら、お姉ちゃんより私の方がいいですよ、先輩?

和泉鷹央

文字の大きさ
上 下
15 / 66
第一章 出会い

11

しおりを挟む
「好きだよ、抱介君」

 彼女のベッドの上に、二人で全裸になり相手を腹の上に載せながら‥‥‥月並みな告白を受けた。
 月並みな表現でいうなら、抱介の一部は彼女の体の中に吸い込まれていて、ぬるま湯の中にあるような感覚と共に、いつまでもそこに吸い付かれているような。 
 放してもらえないんじゃないだろうか、と。
 そんな恐怖心もどこかに芽生えていた。

「俺も好きだよ‥‥‥」
「なにそれ、心が籠ってない。身体は元気なのに」
「うるさい‥‥‥」

 少しだけ身体を動かしたら、季美が切なそうな吐息を漏らした。
 学校では絶対に耳にすることがかなわない。
 そんな甘い声だった。

「動かないで。まだ‥‥‥そのままがいい。抱介を感じたい」
「ばか‥‥‥」

 抱介はゆっくりと動き始めた。
 彼女が望むように、目の前に揺れる二つの白いはりのあるそれの動きに合わせて、彼女を堪能するように。
 楽器を演奏するように、それに合わせて季美が鳴く。
 その声を聞くと、逃げられない罠に落ちてしまったと、心のどこかで誰かがぼやいた。

「だめっ……」

 と、季美が小さく叫ぶと身体を収縮させ、それからありとあらゆる力から解放されたような、得も言われぬ顔をして、抱介の胸に顔を寄せてきた。

「大丈夫?」
「うん。ちょっと、ね」

 へへっとかわいらしく彼女は応えて瞳を閉じた。
 抱介の目に、今までに見たこともない、まるで見知らぬ他人のような顔が飛び込んでくる。
 思わず、ため息を漏らした。

 純真な天使のような寝顔がそこにはあった。
 寝てはいないが、そう形容してもいいように見えた。

「今夜、どうする?」
「どうって。戻らなきゃ、だめだろ」
「うちはさー」

 親、帰らないよ。
 と、季美が抱介の耳元にささやいた。
 爆弾をそこに落とされたような衝撃だった。

「そう。だから?」

 興奮して、いきり立ち、そのまま彼女を押し倒すのが、世にいう正しい行動なのかもしれない。
 かもしれないけれど、認めてしまうのはなんか違う気がした。
 だから、素っ気ない返事をしてやる。
 思った通り、季美は「何よ‥‥‥」と水を差されたような顔をした。

「泊っていかないの?」
「いかない‥‥‥親が心配する。高校一年なったばかりだぞ」

 言えるわけないだろ。
 しかも、すでにその部屋に既に入り込んでいて、彼女のベッドの中で抱き合っているなんて。
 絶対に言うことはできない。
 できるはずがない。
 おまけに――。

「何よお? その不満そうな顔。面白くない」
「不満はないけど」
「けど?」
「お前、言わなかったじゃん」

 遠回しに体育館のあれ、と言ってみる。
 あー……と、季美は遠い目をして視線を逸らした。

「不満?」
 と、こちらに戻って来たその顔には悪戯っぽく小悪魔的な笑みが浮かんでいる。
「そりゃそうだろ」
「でも、いま――どこで何してる?」
「悪魔かよ」
「ミニデビ?」
「言ってろ」

 うやむやにされそうだった。
 いや、こちらからうやむやにするような行動を引き受けていた。
 季美からの誘いを受けたときに、「ふざけんな!」と言い、無視して帰宅すればよかったのだ。
 本当に怒っていて、彼女との不仲を生んでも問題がなければ。
 でも抱介にはそれができなかった。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

処理中です...