愛されるよりも、恐れられた方が安全です。

 下級貴族の最下位、騎士の娘だったロゼッタに人生の転機が訪れたのは八歳の時だ。
 はるかに縁遠い伯爵家の養女になり、ロゼッタの人生は一変した。
 華やかな社交界、有力貴族の子弟子女の集まる学院に入れたのも、伯爵家の威光があったからだった。
 持って生まれた緋色の瞳を美しいと褒め称えられ、気に入られた相手は王族に連なる公爵令息アンソニー。
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 そして、王太子になった彼の口からでた言葉は、婚約破棄のそれだった。

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