騎士団長と聖女の白い結婚

 聖女アデルが女神ラーダの神殿からアルハンドル王国に派遣されて十年。
 十六歳の若さでこの北国へやってきた時は美しさが満開だった彼女も、そろそろいい歳になっていた。

 五年で任期が終わるはずだったが、雪国は不人気。
 交代する人員はいてもみんな辞退してしまい、いつの間にかアデルが続投することに。
 三回目の今年こそは春の都ラーダムに戻ろうと決めた矢先、彼女を引きとどめたい国王は騎士団長アッサムをアデルに紹介する。

 故郷か雪国か。
 アデルが二つの選択肢で迷っているうちに国王様は勝手に話を進めていた。
 帰郷を理由に求婚を断ろうとしたアデルは騎士団長の訪問を受け、彼には意中の人がいると知る。
 しかし、国王は王命として二人の結婚を命じてしまう。

 断れば彼が断罪されると知ったアデルは白い結婚を画策し、自分が側室になり、恋人は正室になる結婚を薦めることにした。

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