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第三章 帝国編(空路編)
秘密の旅路
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「あの大空に浮かぶそれにどうやって移動するのかしら」
サラは大空に係留されている飛行船を見やって、そう呟いた。
「分かりませんよ、あんな高い所……」
「そうね。それよりも怪我は問題ないの? 医者へ行くべきじゃない?」
「大丈夫です。あいつら、魔法とやらをかけていったから」
「そう」
兵士たちの傷や青あざを瞬時に癒していた奇跡の技のことだろうかとサラは検討をつけるが、その割には侍女の外見は綺麗には、なっていなかった。
アイラはこの建物にやって来た時よりほこりとすり傷と、乙女にしては見せてはいけない顔の青いアザ、そして乱れたそれをエイルに直してもらいどうにか体裁だけは取り繕って、サラの後に続いていた。
魔法をかけたって、せいぜい痛み止め程度じゃないかしら?
あれだって治療薬の役割を果たすとすれば、凄まじい治療効果を発揮することになる。
そんな高価なものを気前よく分けてくれるとは思えないサラだった。
「後から痛みでのたうち回ることになっても知らないわよ。まあ……よくやりました。あのロプスはいけ好かないけど、帝国兵をさんざん打ち据えていたアイラの勇姿はなかなかのものだったわ」
「あ、え? サラが誉めた……」
「私が誉めてはいけないの!?」
「いえ、そんなことは――ないですけどね、お嬢様。ここはお叱りと罰則を与えるのが……世の常ではないかと」
世の常、ねえ。
アイラの発言とは思えない、とても常識的な物言いだった。
すると、姉のエイルが馬鹿なことを、と一笑に伏した。
「ルールなんてまともな発言が出てくるなら乱闘なんてしないでしょう」
「申し訳ございません……」
姉のちくりと刺すような嫌味に、赤毛の少女は顔をうつむかせ、恥じるようにして主人と姉に謝罪を陳べる。
しかし、サラもエイルもそれ以上、何かを叱りつけることはなかった。
「ま、いいと思うわ。勝ったんだし、アイラの強さも知れたんだし。あんなに暴れるとは思わなかったけどね」
「だって、お尻を触られたから……サラをいくらで夜のお供にするんだって侮辱されたら我慢できなくて」
あの乱闘の裏にはそういった出来事があったわけね。主人を悪しざまに言われたら怒らない従者だとこれから先の不安にもなる。
「そう。次からは私にきちんと報告してね。三人しかいないんだから。いい?」
「……」
頷く侍女を見て、サラはではこの件はこれで終わり、と告げた。
軽く手を叩き、上をもう一度仰ぎ見た。
そこにあるのは透明な天井で、しかし日光の暑さは感じない何か。ガラスとかそういったものではない何か。
多分、冬場でも寒さを通過させない何か。
でも、いつの間にか振り出した小雨の雨粒は弾いている何か。
「あれを見てしまったら、細かいことはどうでもよくならない?」
「そうですね、お嬢様。アイラも取りあえずは無事な訳ですし。でも三人とは限らないのでは……?」
と、エイルが口を挟む。
自分たちの荷物は女三人で運べる量ではないし、あの船――アルナルド【殿下】と船長が特別に、と付けた護衛の数は三十を下らないと、サラはその数までは把握していなかったがエイルは執事の代わりをするように雑務をこなすうえで知っていた。
ハルベリー姉妹の姉が所属する空師たちは殿下だけでなく【陛下】……もしかしたらだが……すらも守るために乗り込んでいたのではないか。サラはどことなくそう考えていた。最も、皇族を守るのは軍隊ではなく、近衛騎士団の役割なのではあるが……。
「護衛すべき対象をどこかにさておいて、自分たちだけが移動するそんな人たちに命を任せて大丈夫なのかしら」
「その不安はごもっともですね、お嬢様。彼らがいれば少なくとも、アイラの揉め事は起きなかったでしょうし」
サラはいっとき思案するが、出た結論はいないものは待っても仕方ない。そんなものだった。
「出会ったら無能な部下たちね、って言ってやればいいわよ。殿下にそっくりですわね、って」
「あ、はい。そうですね、お嬢様」
アルナルドへの静かな怒りはまだまだサラの心の底に埋まっているらしい。エイルとアイラは頬を引きつらせてそう返事をした。
しかし、遠いわと三人は先頭を案内する男に視線を向ける。
あの場で解放されてから数分。
サラの視線を受け、エイルは一行を案内するという名目でロプスが付けた、まともな衛兵らしき人物に声をかける。
「そこな人。まだ歩くのですか? 殿下をこれほど歩かせるなら馬車でも用意してはいかがです? 荷物の件もありますが」
は? と中肉中背の文官らしき小男は真面目そうな人物だった。
彼は案内だけをロプスに命じられたのだろう。よくわからなさそうな顔をし、何かを考えてから笑顔を向けて来た。
「ああ、荷物ですか。それでしたら既に、騎士の方々ですかねえ、大勢のクロノアイズ帝国の方たちが運び込まれておりましたよ」
「大勢? その者たちはどこに?」
エイルの質問に、小男はですからと天を指さした。
「あちらのアーハンルド行きの便に乗り込まれておりますよ」
「先に乗船したというのですか? 呆れた……」
エイルのぼやくようなそれに、小男の文官はいやそれが、と言葉を続ける。
「いえいえ、何でも帝国の――クロノアイズ帝国からのご指示でそれとわからないように乗船するよう命令があったとか」
「……は?」
「サラ殿下御一行の御乗船はあくまで静かに行うようにと、こちらもロプス様より上から申し付かっておりまして、はい」
彼は自分の発言に自分で頷くようにして、ではこちらの方から別の通路になりますので、と何やら壁にあったボタンを押したのだった。
サラは大空に係留されている飛行船を見やって、そう呟いた。
「分かりませんよ、あんな高い所……」
「そうね。それよりも怪我は問題ないの? 医者へ行くべきじゃない?」
「大丈夫です。あいつら、魔法とやらをかけていったから」
「そう」
兵士たちの傷や青あざを瞬時に癒していた奇跡の技のことだろうかとサラは検討をつけるが、その割には侍女の外見は綺麗には、なっていなかった。
アイラはこの建物にやって来た時よりほこりとすり傷と、乙女にしては見せてはいけない顔の青いアザ、そして乱れたそれをエイルに直してもらいどうにか体裁だけは取り繕って、サラの後に続いていた。
魔法をかけたって、せいぜい痛み止め程度じゃないかしら?
あれだって治療薬の役割を果たすとすれば、凄まじい治療効果を発揮することになる。
そんな高価なものを気前よく分けてくれるとは思えないサラだった。
「後から痛みでのたうち回ることになっても知らないわよ。まあ……よくやりました。あのロプスはいけ好かないけど、帝国兵をさんざん打ち据えていたアイラの勇姿はなかなかのものだったわ」
「あ、え? サラが誉めた……」
「私が誉めてはいけないの!?」
「いえ、そんなことは――ないですけどね、お嬢様。ここはお叱りと罰則を与えるのが……世の常ではないかと」
世の常、ねえ。
アイラの発言とは思えない、とても常識的な物言いだった。
すると、姉のエイルが馬鹿なことを、と一笑に伏した。
「ルールなんてまともな発言が出てくるなら乱闘なんてしないでしょう」
「申し訳ございません……」
姉のちくりと刺すような嫌味に、赤毛の少女は顔をうつむかせ、恥じるようにして主人と姉に謝罪を陳べる。
しかし、サラもエイルもそれ以上、何かを叱りつけることはなかった。
「ま、いいと思うわ。勝ったんだし、アイラの強さも知れたんだし。あんなに暴れるとは思わなかったけどね」
「だって、お尻を触られたから……サラをいくらで夜のお供にするんだって侮辱されたら我慢できなくて」
あの乱闘の裏にはそういった出来事があったわけね。主人を悪しざまに言われたら怒らない従者だとこれから先の不安にもなる。
「そう。次からは私にきちんと報告してね。三人しかいないんだから。いい?」
「……」
頷く侍女を見て、サラはではこの件はこれで終わり、と告げた。
軽く手を叩き、上をもう一度仰ぎ見た。
そこにあるのは透明な天井で、しかし日光の暑さは感じない何か。ガラスとかそういったものではない何か。
多分、冬場でも寒さを通過させない何か。
でも、いつの間にか振り出した小雨の雨粒は弾いている何か。
「あれを見てしまったら、細かいことはどうでもよくならない?」
「そうですね、お嬢様。アイラも取りあえずは無事な訳ですし。でも三人とは限らないのでは……?」
と、エイルが口を挟む。
自分たちの荷物は女三人で運べる量ではないし、あの船――アルナルド【殿下】と船長が特別に、と付けた護衛の数は三十を下らないと、サラはその数までは把握していなかったがエイルは執事の代わりをするように雑務をこなすうえで知っていた。
ハルベリー姉妹の姉が所属する空師たちは殿下だけでなく【陛下】……もしかしたらだが……すらも守るために乗り込んでいたのではないか。サラはどことなくそう考えていた。最も、皇族を守るのは軍隊ではなく、近衛騎士団の役割なのではあるが……。
「護衛すべき対象をどこかにさておいて、自分たちだけが移動するそんな人たちに命を任せて大丈夫なのかしら」
「その不安はごもっともですね、お嬢様。彼らがいれば少なくとも、アイラの揉め事は起きなかったでしょうし」
サラはいっとき思案するが、出た結論はいないものは待っても仕方ない。そんなものだった。
「出会ったら無能な部下たちね、って言ってやればいいわよ。殿下にそっくりですわね、って」
「あ、はい。そうですね、お嬢様」
アルナルドへの静かな怒りはまだまだサラの心の底に埋まっているらしい。エイルとアイラは頬を引きつらせてそう返事をした。
しかし、遠いわと三人は先頭を案内する男に視線を向ける。
あの場で解放されてから数分。
サラの視線を受け、エイルは一行を案内するという名目でロプスが付けた、まともな衛兵らしき人物に声をかける。
「そこな人。まだ歩くのですか? 殿下をこれほど歩かせるなら馬車でも用意してはいかがです? 荷物の件もありますが」
は? と中肉中背の文官らしき小男は真面目そうな人物だった。
彼は案内だけをロプスに命じられたのだろう。よくわからなさそうな顔をし、何かを考えてから笑顔を向けて来た。
「ああ、荷物ですか。それでしたら既に、騎士の方々ですかねえ、大勢のクロノアイズ帝国の方たちが運び込まれておりましたよ」
「大勢? その者たちはどこに?」
エイルの質問に、小男はですからと天を指さした。
「あちらのアーハンルド行きの便に乗り込まれておりますよ」
「先に乗船したというのですか? 呆れた……」
エイルのぼやくようなそれに、小男の文官はいやそれが、と言葉を続ける。
「いえいえ、何でも帝国の――クロノアイズ帝国からのご指示でそれとわからないように乗船するよう命令があったとか」
「……は?」
「サラ殿下御一行の御乗船はあくまで静かに行うようにと、こちらもロプス様より上から申し付かっておりまして、はい」
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