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プロット的なもの
しおりを挟むファンタジー世界。
戦うイケメンコンビもの。魔装人形イオリと冒険者アレックス
これは互いを必要とする男たちの物語。
「魔装人形に性別なんてないんだよ、でも私は私」
星の嵐と呼ばれた魔装人形=ムーン・ロデム。(機神)級遺物イオリ(狂戦士に変身すると、億激の閃光を使う)「ヒルイード(もう遅い)」が口癖
「もう少しで定年退職なのに、どうしてこうなったあ!?」
二丁拳銃使いの総合ギルド内務調査局の捜査官 蒼い獣人アレックス(聖戦で禁止された大量殺戮魔法、天鏡雷灼を使う)
1 オープニング・イメージ (1)
「主人公が今どんな境遇なのかを示す場所」
塔の町と呼ばれるカルサイトの街。
大学があり、学生なども多く住むこの街の塔の上で若い魔女メイルが死ぬ。
彼女は肉体から魔力を奪われて死んでいた。死体にはこの地方には珍しいセアオサソリが群がり発見された時には白骨死体となっていた。
2 テーマの提示(2500)
「この作品が何について語るのかを明らかにする」
「自殺」がこの物語のテーマ。
狼の獣人、アレックスは明後日、定年退職を迎える四十歳。家族はおらず、養子の人間のエマ夫婦と孫たちとともに暮らしている。アレックスの仕事は総合ギルドの内務調査課に勤務する捜査官。
3 セットアップ(2500―5000)
「Aストーリーの登場人物全てをだす。存在を示す」
イオリは猫のフィービーと暮らしている。イオリは酷く取り乱し、死んだ妻の写真を握りしめている。
アレックスは、尾の毛づくろいを済ませ出かける用意をしていると、「孫がおじいちゃん、明日は定年祝いだね!」とケーキを作って待っている告げとにこやかに彼を送り出す。アレックスの元に、旧友から連絡が来る。聖戦当時の友人。ドン・バナーシー。「また会って話をしたいんだ。今週は夜勤だから当直をしている」「分かった、また連絡をするよ」。アレックスは電話を置いた。
4 きっかけ(6000)
「主人公が旅立つ何かが起こる」
自殺の現場で、アレックスは飛び降りた女が魔女であり、魔王軍所属の情報部高官だと知る。その名は、メイル・バナーシー。友人ドン・バナーシーの娘であり、娘婿のイデアの友人だと知る。
5 悩みの時(6000-12500)
「主人公が自分のするべきことを疑う」
飛行艇からイオリが降りて来る。そこはこれまでいた先進的な場から、いきなり発展途上の中世のような世界だ。蒸気機関車が走り、車はレトロカーで、電気はガス灯になり、エアコンもない。辟易しながらホテルにつきタクシーから降りると、荷物を放り出されていく始末。それを持ち逃げするコソ泥たち。事故現場の近くで聞き込みに当たっていたアレックスは、イオリの盗難現場に遭遇する。
イオリはいくつかあったバッグを取り戻しながら、剣を抜き、犯人たちを峰打ちにして気絶させていく。アレックスは彼も犯人だと思い、投降を呼びかける。
唸る剣先と二挺拳銃。イオリは剣先を向けて抵抗する姿勢を見せ、アレックスは威嚇と牽制をこめて、イオリの間近に発砲する。イオリはそれを剣先をはじき、弾を両断してみせる。
互いに武器を突きつけ合って牽制する仲、犯人の一人が逃げようとする。
イオリはそれを魔法で仕留め、アレックスは彼に銃を突きつけるが、逆に組み敷かれてしまう。
駆け付ける応援、ギルド捜査官の一人が言う。「アレックス、新しいパートナーですよ」
6 第一ターニングポイント(12500)
「主人公は新たな選択をする」
イオリはいきなり屋台でサソリの蒸し焼きを買い、食し始まる。
そのフランクさに唖然とするアレックス。
イオリは魔王軍犯罪捜査局(Devil army Criminal Investigative Service)の捜査官。自国から留学していた魔女が死んだ。その死に方がおかしいからと派遣された。
人のように見てそうでない魔装人形。黒髪黒目の彼をアレックスは馬鹿にする。
「被害者がサソリに食われたのに、それを食すなんて狂気もいいところだ。この狂乱人形め」「おいおい、それは差別発言だ」
7 Bストーリー(15000)
「ヒロインとのラブストーリーなど」
フェイテスは黒豹の獣人。カルサイトの街にナイトクラブを出し、そこで「霊薬」を販売している。国外からフェイテスの取引相手として様子を見に来ていたラグオン導師は満足そうだ。「ファミリアを形成しろ。国内の他の街にも支店をだせ、そうすれば三年以内に、南部のビーチで豪華な生活を送れるようになる」とハッパをかける。「使える女を置いていく」危険な香りのする傭兵、ミッチェルが登場する。彼女は青い髪の柔金属生命体。最初はただの丸い浮かぶ球体だった彼女は、その場にいた赤髪の女を取り込んでその姿に変身する。「どこにでも入れる。便利だ」導師は満足そうに頷く。取り込まれた女は、霊薬の製造工場を目撃した、図書館の司書だった。
8 お楽しみ(15000-27000)
「物語の中で最大の盛り上がる場所」
ギルドの建物内。お約束を果たす場所。
専任チームの報告が続く。メイル・バナーシーの死因は霊薬の過剰摂取が原因の一つだと報告があがる。
霊薬は、精神的な高揚をもたらせるとともに、その絶頂期の魔力は膨大なものに膨れ上がる。そして、接種者は死ぬ。ここ最近、カルサイトの街ではそんな死亡事件が多発していた。
イオリはそこいらで捕まえた背中の蒼いサソリを生で食している。
セアオサソリは毒性が強く、生で食すと死に至る場合もある。チーム全員がおえっと気持ち悪さを覚える。
「最近、異様に増えたんだ」誰かが言うが、アレックスは「狂ってる、まともな料理を食べさせてやる」と夜につき合えという。チームの遺体検査官が、「彼女は死ぬ直前に射殺されている」と報告する。
薬に酔い、魔力が暴発する寸前で、誰かが彼女を後ろから撃ち殺した。
その犯人は誰だ?
二人は容疑者の――メイルに最後に会った人物、父親ドンの家に行き、銃撃戦に巻き込まれる。イオリは剣技で応戦し、アレックスの二挺拳銃と組み合わせたマーシャルアーツが映える。アレックスは犯人に投降を呼びかけるが、ここでイオリは犯人を斬り殺す。「誰でも殺すのか?」「正当防衛だ」またセアオサソリが、犯人の死体付近にまとわりつく。イオリはそれを剣先で刺し殺し、口元に運ぶ。
ドンは見当たらない。夜になり、イオリはアレックスの家に招待された。
サソリではない、地元の河で取れる上等なエビの料理にイオリは舌鼓を打つ。
イオリはその夜、家族の温もりに包まれて眠る。死の恐怖を一旦忘れて。
翌朝、ドン・バナーシーの話をすると娘婿のフランが、「その人は僕の同僚だよ」と叫ぶ。フランは市立図書館の司書だが、ドンは定年退職して、市立図書館の管理人をしているという。ドンには二人の娘がいて、一人は魔王軍に、もう一人は市立図書館の司書となり、姉は先日死に、妹は数日前から行方不明だという。二人は市立図書館へと足を運ぶことにした。
9 ミッドポイント(27000)
「物語の後半戦の始まり。本来の話に戻る」
二人は図書館の事務室へと向かう。
アレックスはドンから、今週は夜勤のシフトで当直をしていると聞いていた。
到着したとき、ドンは何者かに襲われ、瀕死の重傷だった。
そばには数本の違法、霊薬が手つかずで転がっている。
イオリは回復魔法をかけるが間に合わないことを悟り、ドンにそのうちの一つを少量飲ませて、息を繋ぐ。「殺す気か!」「まだ命を繋ぐ灯にはなる!」
どうにか傷口が塞がり、回復したドンを連れて危険な建物から逃げようとしたとき、三人は爆撃魔法で遠隔攻撃を受ける。
危険度があがり、イオリはドンをアレックスに任せてその方角へと転移魔法で犯人を追う。そこには魔装人形のような姿をした赤毛の女、ミッチェルがいた。イオリは攻撃を仕掛けようとするが、魔法も、光弾も、剣撃すらも通過させるその肉体は、すべての攻撃から逃れる。遠隔攻撃がアレックスたちを襲い、ドンは死亡する。ミッチェルはそれを遠見の魔法で確認し、「さようなら、旧型さん」と語り、ある呪文を唱えてイオリの機動をしばらく停止させる。イオリが緊急回路を作動させて転移魔法で逃げたのを見て、その場を去った。
この事件にはイオリの過去も関わっていた。
10 迫りくる悪い奴ら(27000-38000)
「味方からも敵からも圧力のかかる」
ドンは真相を話す。
彼の娘たちは、ドンがある物を見てしまったから彼の口をふさぐために殺されたのだ。
導師は聖戦時代の部下や仲間を操り、死霊薬を違法に製造していた。
製造工場はとある遺跡の地下にあり、そこには千年ほど昔に栄えた魔導大国アーガイルの遺跡があったのだ。
遺跡に封印されていたあるものを蘇らせ、眠らせたまま、その肉体を利用して死霊薬は量産されているという。
しかし、それが何か、を伝える前にドンは息を殺されてしまう。
イオリと戦っている間に、遠隔攻撃魔法でアレックスたちを狙ったからだ。
避難してきたイオリを見て、アレックスは悲鳴を上げる。彼は透明な青い繭に包まれ、近寄ろうとするものすべてを拒絶する。
それは高度な自衛の防御魔法であり、アレックスも聖戦時代に幾度か利用したことのあるものだった。
そんな二人を男たちが襲撃する。十数人の男たち相手に、ドンの遺骸をその場に残し、アレックスはイオリを巨大な柱の後ろに隠すと、二挺拳銃を両手にしてガンカタで男たちを打ち倒す。
どうにか全員を狙撃したあとに、イオリが回復し動けるようになる。
ドンが遺したというメッセージ「アーガイル」。
その名前にイオリの顔が暗く曇る。
やはり現場にはセアオサソリがいて、イオリはそれを刺し殺し、食する。
フェイテスのクラブに戻ったミッチェルは地下へと移動する。そこには巨大なサソリが横たわっていた。「この施設の情報が、あのギルド職員に漏れた可能性があります」。ミッチェルは導師に、捜査官が全てを知った可能性を示唆する。
11 すべてを失って(38000)
「見せかけの敗北と死の香りを感じる場所ここで何かが死ぬ」
関係者の家族に警戒警報が発令される。
アレックスの家族もまた、ギルドメンバーの保護を受ける。しかし、娘婿のフランは職場にいた。彼を迎えに行ったのは、姿を変えたミッチェルだった。
二人は夜の街へと繰り出す。アレックスのクラシックカー(最新型5年ローン)に乗り、フェイテスのクラブへと向かう。最後にメイルが目撃されたのがそこだった。アレックスはメイルの骨から尋常ではない量の魔力を吸い取られた痕跡があると道すがら、イオリに話す。クラブでフェイテスを訪ねたとき、イオリはミッチェルの姿を客の中に発見する。追いかけたら、彼女は車で逃げよう見せかけて、柔金属の肉体を数千の刃先に変えて、イオリの全身を貫いて内部から爆破させる。
イオリは死んだわけではないが、死んだように見せかけることができると気づいた。
アレックスは自分の車を取りに戻ろうとして銃撃を受け、大事な愛車を失う。
また、関係者とみなされたフランを誘拐したことをミッチェルが遺した魔道具のメッセージにより知らされる。連絡を待て、そこにはメッセージが浮かんでいた。
敵にイオリが死んだと思わせるのはどうやら成功したようだ。
12 心の暗闇(38000-43000)
「ヒーローは全ての希望をなくしどん底に突き落とされる」
血まみれになりながら、肉体を再生しつつ地べたに這うイオリを発見したアレックス。娘婿を人質に取られたと語る彼に、イオリは血まみれになって、彼の家族を取り返そう、と言う。
回復したイオリは成人男性から見眼麗しい少女へと姿を変えていた。死に瀕すると、より魔力を失わない姿に肉体が自動的に変化するのだという。
急に相棒が男から女へとなる。
死の危険性がより、増していく。
やはり彼の口元には、セアオサソリの残骸があった。
13 第二ターニングポイント(43000)
「ヒーローが戦うことを選ぶ話を書く」
これまではアレックスのやり方だった。今度はイオリの方法で行く。
イオリはこれまでの現場で、この地方には棲息数が少ないはずのセアオサソリを複数発見してきた。肉体を失い骨だけになった最初の被害者メイルの遺骸を食したセアオサソリには、必ず、独特の魔力反応があるはずなのだ。自殺現場、捜査本部、図書館、ナイトクラブ。そのどこでもイオリはサソリを分析して痕跡を辿って来た。
「アーガイルはあそこにある」
それはフェイテスのナイトクラブだった。連絡がきて、二人は行動を開始する。
14 フィナーレ(43000-55000)
「過去から学んできたことをもとにヒーローは第三の道を歩き出す」
ギルドに報告を上げないこと、アレックスの命を差し出すこと。
その二つが敵の条件だった。アレックスはコンクリートジャングルの端にある闘技場へと向かう。そこでフランを回収し、死んだものと思われているイオリが遠隔でサポートをする予定だった。
だが、それは失敗し、イオリはあの呪文によりミッチェルに囚われてしまう。
またフランはそこにはおらず、アレックスもまた、複数の銃口の前に拘束される。
ナイトクラブに戻り、服を剥がれたまま無抵抗なイオリが、フェイテスの残酷な拷問によって今回、やってきた目的を吐くように促される。
加虐嗜好のフェイテスは拷問が大好きなサディストだった。
敵は魔王軍がどこまで自分たちのことを知っているか、確認したくなりその情報を吐き出させようとしたのだ。
フェイテスは愚かにも「触れるな」とイオリに警告された、彼が身につけたいた青いとんがり帽子を侮辱するように踏みつける。思い出を汚されたイオリは、封印されていた狂戦士モードになり、拘束から脱出する。
一方、フランともども、封印されていた魔獣のエサにされそうになっているアレックス。導師は「アーガイルの惨劇をふたたび」と語る。
千年前、魔導大国アーガイルは首都レズナの国民数十万を生贄にすることにより、魔王の一人、真紅の魔女ミレイアを復活させようとしていた。このカルサイトには一万もいないが、それでも魔獣の復活には最適だ、と彼は言う。
ミッチェルはアーガイルが遺した魔導兵器の模造品だった。
そこにイオリが現れ、導師と自分を苦しめた相手ミッチェルを撃退する。億激の閃光で数千のミッチェルの刃をことごとく焼き尽くし、その本体すらも消滅させてしまう。
しかし、まだ魔獣が残っている。
狂戦士モードは持続できず、一味を焼き尽くしたイオリはフランとアレックスを解放して、魔獣の眠る地下へと落ちてしまいそうになる。
それを片腕で支えたアレックスは、緊急転移魔導具を使い、フランとイオリを地上に転送する。
アレックスは聖戦時代に禁じられた大量破壊魔法「天鏡雷灼」により、魔獣をその細胞に至るまで遺跡ごと消滅させて事件は終わる。
15 ファイナルイメージ(55000-60000)
「変化が起こった事が証明される場所ドラマティックな終わり方」
「なんて物騒な魔法を使うんだ、お前は」
「馬鹿言え、俺は単なる二挺拳銃使いの冒険者だ」
「嘘をつけ。空の神タレスの天鏡の技。魔王様を困らせたあの聖戦の猛者がこんなところにいたなんて、詐欺もいいところだ。田舎町の癖に」
「あ? 田舎を馬鹿にすんのか? それより、狂戦士のほうがよほど、物騒だね。‥‥‥勝手に死のうとしやがる」
「いつ死んでも、私の勝手だ」
「アーガイルの話はちょっとだけ聞いた。調べてもみた。あの青い帽子の由来も――」
「訊かないでくれ。まだ探している」
「なら、死に急ぐような真似すんな。娘夫婦がお前を招待したいってさ」
「なぜ‥‥‥?」
「助けてもらったんだ。当たり前だろ? 言っておくがな、こんなド田舎の街じゃ、余程親しくならない限り、こんな招待はしないんだぞ。一緒に祝え」
「何を?」
「俺の定年祝いだ!」
それはまるで、新しい家族ができたような感触をイオリに与えた。
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