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その7

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私はとりあえず、取り留めもないような質問をトールにぶつけてみようと思いました。本当に、特に意味はなかったわけでございますが……そうでもしないと、私の腹の虫がおさまらないと言いますか、決して、ただ子供のように駄々をこねたいからそうしているわけではございませんで、これも正当な方法であると、そう心得て、私は全てのことをしているわけでございますから、そのあたりにつきましては、勘違いしないでいただきたいと思います。

「トール……どうして、私がこんなことになったのか……あなたには分かるかしら????????」

私がこう質問しますと、トールは非常に苦悶したようでございました。そんな質問が飛んでくること自体を、あまり予想していないと言いますか……これは私たち2人にとっては、非常に大きな問題でございます。ある種の主従関係を支える根幹のようなものでございますから、こういったものを蔑ろにしてはいけないわけでございます。それにしても……トールはどうして、明確に答えようとはしないのでしょうか???????????私がもう一度質問するのを待っているのでございましょうか?????????そうだとしたら……やはり、これ以上、主従関係を続けるのは難しいと判断するしかないわけでございましょう???????????????そうでなくても、この私はもうじきはち切れてしまいそうだと言いますのに……もしも、そのことについて、トールが何も感じないと言いましたらば、それ以上浅はかなメイドというものはいないわけでございますから……。潔く、この場で切り捨てるしか方法はないでしょう???????????????????私の言っていることに間違いがあると思いますか????このように殺伐とした空気の中では、こう短絡的に物事を考えても仕方のないことなのだと、私は結論づけます。それしか、私には道が残されていないわけでございますから…………。

「それは……恐れながら…………」

暫くして、トールはやっと、その重い口を開くことになるわけでございました。ここまでは非常に長かった……いいえ、それは全て私の戯言ということにして、全て水に流すことにいたしましょう。問題はこれからどうするか、ということなのです。仲間内で喧嘩をしても、それは全く意味のないことなのでございますから。トールが何を知り、そして、どのように考えているのか、私はこの点につきまして、非常に興味がありました。逆に言いますと、それ以外のことにつきましては、特に何も考えておりませんで……はっきりと申し上げますと、それは、どうでもいい事柄でございました……。そんな、私の気持ちに答えてくれたトールに、まずは称賛したいと思いました。こんな私のために…………ありがとう、トール!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

トールはやっぱり把握しているようでございました。その素振りから、私は全てを悟りました。

「ねえ、トール。もう隠さなくてもいいのよ???????????だって、私も全て知っているのですから」

「奥様……それは本当でございますか??????????」

トールは、私が旦那様の浮気を知っていることを、驚いていました。

「ええ、古い友達に頼んでね、色々調べてもらったの……そしたらさ、全部わかっちゃったんだ……」

私がこう言いますと、トールは、

「なるほど……そうでございましたか…………」

と言いました。

「それで……相談なんだけど……私はこれからどうすればいいと思う????????????あなたの考えを聞かせて欲しいのよ…………」

私は素直に、トールに頼んでみました。すると、トールはしばらく頭を抱えて…………。


「恐れながら、奥様。この度は婚約破棄を宣告されるのがよろしいかと思いますが……」

トールの口から出たのは、婚約破棄でした。

「トール……私もそれについては考えたのだけど……いや、私の名誉を回復するには、それしか方法がないということなのよね?????????」

私がこう言いますと、トールは、こくりと頷きました。

「ええ、分かっています。私も…………ですがね、婚約破棄を宣言したところで……旦那様は受け入れてくださいますでしょうかしら?????????????」

ここが一番の問題でした。旦那様に罪があることは、火を見るより明らかでございますが、その証拠を捏造だとか、言い出すのではないかと思いまして、それはそれは、非常に不安でございました…………。

「恐れながら、奥様。お友達から何を頂いたのかは分かりませんが……こちらの方にも様々な証拠は届いているわけでございまして…………」

トールはそう言いました。

「あら、そうなの?????????????あなたも、それじゃ、随分と前から気が付いていたのね????????????」

私がこう質問しますと、またもや、トールはこくりと頷きました。

「なるほど……。それだけ証拠があれば……婚約破棄は可能かもしれないわね…………」

私はそう思いました。しかしながら、実際には非常に難しい話でございました。仮に、婚約破棄を実行したところで、私の立ち位置はよくなることなんて、恐らくありません。かえって、この世界の居心地が悪くなるとでも言ったらよいのでございましょうか。ともかく、旦那様を敵に回すと、令嬢は大変な運命になるわけでございます…………。



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