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その2
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さて、ハリソンは成長するにつれて、どういうわけだか、乳母たちから離れて、私の部屋にやってくるようになりました。
「おかーさま、おかーさま!!!!」
と、元気よくやってくると、さすがに追い返すわけにもいかず、
「よくきたわね」
と、ぎこちない挨拶を返しました。まあ、昼間はとくにやることがないので、しばらくの間、ハリソンの様子を見ていました。一応は母親なのですから、全ての養育を放棄することなんてできませんからね。
「ねえ、おかーさまは、どうしていつもつまらなそうなの?」
ハリソンは、私のことをよく見ていました。つまらなそう……そんな態度だったのでしょうか。私はすぐに不安を感じました。
「いや、そんなことはないのよ?ただね、ちょっと疲れただけなの……」
すると、ハリソンは私のところまで歩いてきて、
「ぼくのこと、ひょっとしてきらいなの?」
と、きいてきました。
私は焦って、
「そんなことはないわよ!」
と答えました。すると、ハリソンは、
「ぼくはおかーさまのことがだいすき!!!」
なんて言うものですから、すっかり驚いてしまいました。
そして、私はハリソンのことを抱きしめました。
それ以降、私はハリソンを自分の手で育てていこうと決意しました。王子様がなんと言っても、私の息子であることに変わりは無いのですから、私がどのように育てても、とやかく言う筋合いはなかったのでございます。
婚約破棄することが決定されて、王子様は当然、ハリソンを自分のところに置いておこうとしました。しかしながら、ハリソンは、
「おかーさまといっしょがいい!!!」
と言いました。そこで、私は王子様に申し上げました。
「どうせ、私の血を引いている人間が、跡取りになる事は許されないのでしょう?ですから、ハリソンは私が引き取りたいと思います」
すると、王子様は、
「それはできない。ハリソンこそが、正当なる私の後継者であるのだ」
と言い続けました。
「おかーさま、おかーさま!!!!」
と、元気よくやってくると、さすがに追い返すわけにもいかず、
「よくきたわね」
と、ぎこちない挨拶を返しました。まあ、昼間はとくにやることがないので、しばらくの間、ハリソンの様子を見ていました。一応は母親なのですから、全ての養育を放棄することなんてできませんからね。
「ねえ、おかーさまは、どうしていつもつまらなそうなの?」
ハリソンは、私のことをよく見ていました。つまらなそう……そんな態度だったのでしょうか。私はすぐに不安を感じました。
「いや、そんなことはないのよ?ただね、ちょっと疲れただけなの……」
すると、ハリソンは私のところまで歩いてきて、
「ぼくのこと、ひょっとしてきらいなの?」
と、きいてきました。
私は焦って、
「そんなことはないわよ!」
と答えました。すると、ハリソンは、
「ぼくはおかーさまのことがだいすき!!!」
なんて言うものですから、すっかり驚いてしまいました。
そして、私はハリソンのことを抱きしめました。
それ以降、私はハリソンを自分の手で育てていこうと決意しました。王子様がなんと言っても、私の息子であることに変わりは無いのですから、私がどのように育てても、とやかく言う筋合いはなかったのでございます。
婚約破棄することが決定されて、王子様は当然、ハリソンを自分のところに置いておこうとしました。しかしながら、ハリソンは、
「おかーさまといっしょがいい!!!」
と言いました。そこで、私は王子様に申し上げました。
「どうせ、私の血を引いている人間が、跡取りになる事は許されないのでしょう?ですから、ハリソンは私が引き取りたいと思います」
すると、王子様は、
「それはできない。ハリソンこそが、正当なる私の後継者であるのだ」
と言い続けました。
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