婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?

tartan321

文字の大きさ
上 下
1 / 3

その1

しおりを挟む
「おい、メンフィスよ。私は君との婚約を破棄しようと思っているんだ!!!!」

まあまあ、なんとも勇ましい王子様ですこと。自分の不倫を棚に上げて、私が全て悪いかのように言いふらしているみたいじゃないですか?私の侍女たちまでもが、王子様の虚言に騙されて、私に白い目を向けております。全く、とんだ勘違いだと言うのに、どうして誰も、私の言うことに耳を傾けてくれないのでしょうか?

そもそも、王子様が嘘つきであることなんて、誰でも知っているのです。いつもいつも、大きなことを言っては、結局のところ、何も実現することなんて出来ずに終わってしまいます。それを、あたかも、他の人が悪いかのように言い出して、誰か適当な貴族を追放するのです。

ええ、こんなことを続けていたら、そのうち、この国は滅んでしまうと思いますよ。いや、一度滅んだほうがいいのかもしれませんね。義理のお父様であられる皇帝陛下や、義理のお母様であられる妃様は、非常にお人柄が良いわけでございますが、その息子である第一王子で私の婚約者のハンソン様は、どこで道を踏み外したのか、非常に残念なお人柄なのでした。

そんな王子様ですが、夜のお付き合いだけは、非常に積極的でした。というのも、私は毎日毎日王子様の顔を見るだけで、嫌気がさすほど王子様のことが嫌いでした。王子様も、きっとそうだったのかもしれません。お互い、ストレスがどんどんどんどんどんどん増えていく一方だったのです。

そんなストレスを解消するには、女として男を受け入れるのが一番でした。自分でするよりも、王子様は非常に優れたものを持っておりましたので、夜は大いに盛ったわけでございます。王子様のことは嫌いでしたが、王子様のものは、好物でした。

このようなぎこちない夫婦生活を営んでいるうちに、私は王子様の子供を授かりました。王家にとって、後継は大切でございますから、この時ばかりは、王子様もニッコリと微笑みました。もちろん、私に対してではなく、お腹の中の赤ん坊にでしたが。

王子様との子供を産むのは、正直言ってめんどくさいと思いました。本気で愛していない、そればかりか、嫌いな相手との子供なんて、普通は煩わしいだけなのです。

それでも、仕方なく産むことにしました。親の都合で殺すことなんてできません。とりあえず、産むだけ産んで、後は乳母が育ててくれるだろう、なんて考えていました。王子様は、生まれてきた子供を、ハリソンと名付けました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

かわりに王妃になってくれる優しい妹を育てた戦略家の姉

菜っぱ
恋愛
貴族学校卒業の日に第一王子から婚約破棄を言い渡されたエンブレンは、何も言わずに会場を去った。 気品高い貴族の娘であるエンブレンが、なんの文句も言わずに去っていく姿はあまりにも清々しく、その姿に違和感を覚える第一王子だが、早く愛する人と婚姻を結ぼうと急いで王が婚姻時に使う契約の間へ向かう。 姉から婚約者の座を奪った妹のアンジュッテは、嫌な予感を覚えるが……。 全てが計画通り。賢い姉による、生贄仕立て上げ逃亡劇。

初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。

甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」 「はぁぁぁぁ!!??」 親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。 そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね…… って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!! お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!! え?結納金貰っちゃった? それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。 ※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

ざまぁを回避したい王子は婚約者を溺愛しています

宇水涼麻
恋愛
春の学生食堂で、可愛らしい女の子とその取り巻きたちは、一つのテーブルに向かった。 そこには、ファリアリス公爵令嬢がいた。 「ファリアリス様、ディック様との婚約を破棄してください!」 いきなりの横暴な要求に、ファリアリスは訝しみながらも、淑女として、可憐に凛々しく対応していく。

継母は実娘のため私の婚約を強制的に破棄させましたが……思わぬ方向へ進んでしまうこととなってしまったようです。

四季
恋愛
継母は実娘のため私の婚約を強制的に破棄させましたが……。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

俺の子供が出来ためでたい?あの……婚約者の私は懐妊していないのですが?

仰木 あん
恋愛
ショートショートです

処理中です...