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千代田と言う毒
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それから私は、数多くの生徒が見守る中、遺体の処理を千代田の命令で行った。普通に考えて、なんてバカなことをしたんだろう、と思った。でも、あの時は千代田の命令を聞いていたほうがいいと思った。ことを荒げたら、千代田を敵に回したら、今この場にいる中間層のウジ虫たちが一斉に攻撃を仕掛けてくることは想像がついたから。
遺体は学園の地下にある焼却炉で燃やした。
「彼女には家族がいないんだ。だから、誰も彼女が死んだことに気が付かない。心配はいらないさ。君のことは僕が全力で守るから。大島さん……」
人の名前を平気で間違えるような人間を信用しろと?いやいや、私は千代田に服従しなければいけない。千代田が面倒に巻き込まれたら、私も巻き添えを食らうことは必至だったから。
「このことは、くれぐれも内密にね!」
そう言って、千代田は自分の教室へ戻った。私も遺体が完全に灰になるのを見届けて、教室へ戻った。
この一件をもって、私は遺体処理屋と言うあだ名をつけられた。下位の生徒が上位の生徒に誤った恋をしてしまった場合、殊に千代田に対する恋の場合、自殺を選択させられるらしい。
「死ねば一生、僕が君のことを愛してあげる……」
こう囁くらしい。それにしても、下位の生徒たちはバカなのか?死んだらそれで終わりじゃないか?恋もへったくれもないというのに……。
秋山以外にも死んだ女生徒は幾つかいた。彼女たちは決まって、3階の女子トイレで自殺した。私と千代田の教室から一番近いトイレだった。
「遺体屋さん!」
千代田はいつからか、私のことをそう呼ぶようになった。
「今日もよろしくね。ああっ、先に手間賃ね……」
今まで10個くらい処理したが、ざっと50万くらい貯まった。今日も5万くらい恵んでくれた。
「喜んで……」
別に用途はなかった。でも私は金が欲しかった。彼だけが唯一人間を裏切らないと信じていたから。万札に眠っている博士はいつも、私に笑顔を向けてくれた。私はすぐに万札を宙に浮かべ、キスをした。ニコニコ。
「ねえっ、あの子の名前、何て言うの?」
「ええっと……大野、じゃなかったっけ?」
「大野……そうだ、平凡な大野だ!」
私の耳の届かない所で、女子生徒たちが私のことを噂していたそう。
「あいつさ、最近千代田君とくっつきすぎじゃない?」
「そう言われてみれば、そうね!あいつも、千代田君の恋人になろうとしているのかしら?」
「それはないっしょ!あんなブスが……自殺した生徒の遺体処理係でしょ?」
「まあっ、汚らしい!」
「それで金儲けしてるんだってよ!」
「そうなの?さいてー!人の不幸を弄ぶ悪女ね!」
「ああいうバカにはお似合いでしょうけれど!」
これがイジメの始まりだった。
遺体は学園の地下にある焼却炉で燃やした。
「彼女には家族がいないんだ。だから、誰も彼女が死んだことに気が付かない。心配はいらないさ。君のことは僕が全力で守るから。大島さん……」
人の名前を平気で間違えるような人間を信用しろと?いやいや、私は千代田に服従しなければいけない。千代田が面倒に巻き込まれたら、私も巻き添えを食らうことは必至だったから。
「このことは、くれぐれも内密にね!」
そう言って、千代田は自分の教室へ戻った。私も遺体が完全に灰になるのを見届けて、教室へ戻った。
この一件をもって、私は遺体処理屋と言うあだ名をつけられた。下位の生徒が上位の生徒に誤った恋をしてしまった場合、殊に千代田に対する恋の場合、自殺を選択させられるらしい。
「死ねば一生、僕が君のことを愛してあげる……」
こう囁くらしい。それにしても、下位の生徒たちはバカなのか?死んだらそれで終わりじゃないか?恋もへったくれもないというのに……。
秋山以外にも死んだ女生徒は幾つかいた。彼女たちは決まって、3階の女子トイレで自殺した。私と千代田の教室から一番近いトイレだった。
「遺体屋さん!」
千代田はいつからか、私のことをそう呼ぶようになった。
「今日もよろしくね。ああっ、先に手間賃ね……」
今まで10個くらい処理したが、ざっと50万くらい貯まった。今日も5万くらい恵んでくれた。
「喜んで……」
別に用途はなかった。でも私は金が欲しかった。彼だけが唯一人間を裏切らないと信じていたから。万札に眠っている博士はいつも、私に笑顔を向けてくれた。私はすぐに万札を宙に浮かべ、キスをした。ニコニコ。
「ねえっ、あの子の名前、何て言うの?」
「ええっと……大野、じゃなかったっけ?」
「大野……そうだ、平凡な大野だ!」
私の耳の届かない所で、女子生徒たちが私のことを噂していたそう。
「あいつさ、最近千代田君とくっつきすぎじゃない?」
「そう言われてみれば、そうね!あいつも、千代田君の恋人になろうとしているのかしら?」
「それはないっしょ!あんなブスが……自殺した生徒の遺体処理係でしょ?」
「まあっ、汚らしい!」
「それで金儲けしてるんだってよ!」
「そうなの?さいてー!人の不幸を弄ぶ悪女ね!」
「ああいうバカにはお似合いでしょうけれど!」
これがイジメの始まりだった。
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