政略結婚のゴールは婚約破棄？それはそれでようございますからとっとと消え失せてくださいこの野郎！

その42

「エランを拉致すると、それは可哀想だからな。やめておこう。もっと穏便に……でもその前に掃除をしないといけないみたいだな……」

イサクは、エランとライド、それにミーシャの平和はなるべく崩したくなかった。しかしながら、自分が一番でないと不安になるのは、これも人間の性というものだった。

「イサク様。あなたの身体を真っ二つにちょん切って差し上げましょうか？」

無気味なライドの声も聞こえることだし、早いうちに滅ぼしておいたほうが得策だと、イサクは考えた。

「ライド様は確かに優しいが、扱いを間違えると、彼もまた私のように凶悪化するんだろうな……」

イサクは兵然とニコニコしていた。既に複数の兵士に取り囲まれていたが気にはしなかった。