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その32

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「イサクお兄様!」

私はもう一度叫んだ。

「それはどういう意味ですか?」

イサクは剣をしまい、

「これは一種の冗談だ」

と答えた。

「これからライド様のところに行くから。帰りを楽しみに待っていてくれ」

イサクはニコニコと微笑みながら、部屋をあとにした。

ミーシャはガクガクと震えて、しばらく声が出せなかった。

「イサクお兄様!一体どうしちゃったのよ!」

私は落ち着いていられなかった。これほど大がかりな冗談は成立しない。イサクお兄様はひょっとすると……ひょっとすると?

「お姉様!」

ミーシャがいきなり飛びついてきた。

「ミーシャさん!何をしているんですか!離れなさい!ほら……私の袖で涙を拭わないで!」

私が何を言っても、ミーシャは話を聞かなかった。

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