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その5
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「そうそう、私の方から紹介しておきましょう。私の遠い親戚にあたるミーシャです」
ミーシャという少女は、恭しく頭を下げた。令嬢の中では中の上くらいだろうか。そのルックスはまだ幼かった。しかしながら、一部の貴族にはもてはやされそうなオーラを持っていた。ひょっとすると、ライド様もそっち系?
私は少し心配になった。しかしながら、ルックス以上に心配になることがあった。
ミーシャはライド様の隣でニコニコと笑っていた。まるで私はよそ者だと言っているかのようだった。まぁ確かによそ者ではあるが。彼女はきっと、自分のライド様の婚約者であると思っているのだろう。あるいはひょっとすると、側室にでも迎え入れるつもりだろうか?
修羅場……女は好きである。自分が悲劇のヒロインを演じて、男にチヤホヤされるのを待っている。ミーシャとはそういう女だった。だから、私はミーシャと一緒にいるのが嫌だった。
挙げ句の果てには、私のことを、エランお姉様と呼び始めた。
すると、ライド様は、はははははは、と笑い出した。
「仲が良いのは良い事ですなあっ!」
ライド様は女の争いに疎かった。だからこそ、ミーシャがライバル心をむき出しにしているというのに、何も言わなかったのだ。
私もそんなものには無関係でありたかった。しかしながら、そういうわけにはいかなかった。
ミーシャという少女は、恭しく頭を下げた。令嬢の中では中の上くらいだろうか。そのルックスはまだ幼かった。しかしながら、一部の貴族にはもてはやされそうなオーラを持っていた。ひょっとすると、ライド様もそっち系?
私は少し心配になった。しかしながら、ルックス以上に心配になることがあった。
ミーシャはライド様の隣でニコニコと笑っていた。まるで私はよそ者だと言っているかのようだった。まぁ確かによそ者ではあるが。彼女はきっと、自分のライド様の婚約者であると思っているのだろう。あるいはひょっとすると、側室にでも迎え入れるつもりだろうか?
修羅場……女は好きである。自分が悲劇のヒロインを演じて、男にチヤホヤされるのを待っている。ミーシャとはそういう女だった。だから、私はミーシャと一緒にいるのが嫌だった。
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すると、ライド様は、はははははは、と笑い出した。
「仲が良いのは良い事ですなあっ!」
ライド様は女の争いに疎かった。だからこそ、ミーシャがライバル心をむき出しにしているというのに、何も言わなかったのだ。
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