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その3

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マライアの処刑執行の日、第一王子は緊張した面持ちで、マライアの収監されている牢獄へ向かった。あまりにも、第一王子が緊張して、ガクガクと震えていたので、侍従たちは、

「どうしたのですか?」

と質問した。すると、第一王子は、

「いや、なんでもないんだ!!!ああ、私はちっとも緊張していないぞ!!!あんな女ごときで、緊張するわけないだろう!!!なあ、そうだろう?」

「そうだろうって……私たちには分かりませんよ……」

侍従たちは、半ば呆れていた。

「さて、マライア!!!処刑執行だあ!!!」

弾んでいた第一王子は、次の瞬間、非常にまずい実態になっていくのではないか、と思うことになった。昨日までいたはずのマライアの姿が、消えていたのだ。そして、マライアのことを見張っていた看守たちの姿もなかったのだ。

「おい、これは一体どういうことなんだ!!!」

第一王子は叫んだ。侍従たちも、互いに顔を見合わせるばかりで、何が起きているのか、すぐには理解できなかった。

「まさか……あいつは脱走したのか?でも、どうやって……」


「脱走なんかしていませんよ。私はここにいますでしょうが……」

第一王子はすぐに振り返った。それは、聴き慣れたマライアの声だった。

「マライア!!!どこにいるんだ!!!」

声は聞こえたのだが、マライアの姿は何処にも見えなかった。頭にきた第一王子は、すかさず、侍従の手からピストルを奪い取り、四方八方に撃ち鳴らした。

「この際だから、私がこの場で始末してやる!!!さあ、マライア!!!この地で死ぬがいい!!!」

第一王子は、半ば狂気とかしていた。一刻も早く、マライアを処分して、自分の身を守る……それしか考えていなかった。

全ての弾を打ち切って、第一王子は、安心した。これだけ発砲すれば、必ずどこかで死んでいる。遺体は3分もすれば見つけることができる……そう思った。


「本当、バカな人だわ……」

マライアは心の中でそう呟いた。そして、たった一発の弾丸で、第一王子の胸元を貫いた。

第一王子は即死した。侍従たちが駆け寄り、ある者は、依然としてマライアのことを探し続けた。だが、結局のところ、誰も、マライアのことを発見することができなかった。


「ああ、神様ですか?ようやく終わりましたよ。これで……私の仕事も終わったわけですね?聖女解任……わかりました。ありがとうございます……」

神の許しを得ることができたマライアは、そのまま天に帰っていった……。
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