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その39

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最終的に、伯爵はエラン様を屋敷に招き入れることを賛成しました。

手始めに、伯爵はエラン様に宛てて手紙を書き始めました。

私は、伯爵の部屋には入らず、自分の部屋で1日が過ぎていくのをただ待っていました。あんなことを言ってしまった自分が、少し情けなくなりました。

ただ、どうして、あそこまで感情的になってしまったのでしょうか?伯爵に何か思い入れがあると言うのでしょうか?政略結婚の廉価版であるのに……そんなことがあるのでしょうか?

普通、ありませんよね?

でも、どうしてだか……このヤキモキする気持ち……。

これは一体?


そんなことを考えている内に、伯爵が部屋にやってきました。

「マリア様。手紙が完成いたしました。今からこれを……エランの元に届けさせます……」

「ありがとう。よろしくお願いします」

伯爵は一礼して、部屋を出ていきました。

私たちのやり取りを見守っていたマイマイは、

「本当にこれでいいんですか?」

と、私に質問しました。

「いいもなにも、逆に言うとこれしかないのよ。そうでしょう?他に何かありますか?」

「そう言われてしまうと……確かに厳しいですね……」

マイマイは何かを言いたそうでしたが、ここでもやはり、私のちょっとした剣幕が原因になってしまいました。マイマイに八つ当たりをしても、何も意味ないことを知っておりました。

でも、やっぱり無性に腹立たしくて、そして、自分が情けなかったのです。

こんなとき、サリーだったら、どんな態度をとるのでしょうか?人一倍プライドの高い女でありますから、やはり、逆切れするのでしょうか?

きっとそうでしょうね……政略とは言え、婚約は婚約なのですから。

女の意地とでも言えばいいのでしょうか?

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