都合のいい妹に婚約者を寝取られて婚約破棄されました～辺境に逃れたら再び恋の嵐？～

その3

王子様がわざわざ私を婚約者に選んだのには理由がありました。というのも、これは全て、妹のサリーが仕組んだ罠だったのです。それに気が付くのには、結果として随分とかかることになりました。これほど下らない話を。

考えてもみれば、最初からおかしな話でした。サリーや王子様の話を信じ切った私が、まあバカだったのです。

でも、私がまさか、サリーと王子様の不倫の現場を見ることになるとはとても思っていませんでした。

いや、だって普通考えられないじゃないですか。王子様は、どういう理由があるのか知りませんが、とにかく私のことを愛してると言ってくださったのです。そして、2人は婚約したわけです。婚約してから一夜も経っていないと言うのに、どうして、王子様はサリーの横にいるというのでしょうか。私をないがしろにして、仲人をしてくれたサリーの隣にずっといると言うのでしょうか。

そして、どうして2人は一緒の布団に入っているのでしょうか。この答えを明確に教えていただきたいと思いました。まさか、寒いから私が来るまで2人で温まっていたなんて事はないでしょう。子供じゃありませんし。

「お姉様？お部屋に入るときは、その中に誰かいないか確認するのが先ではありませんか？」

サリーは言いました。でも私は、サリーの説教を聞くつもりなんてありませんでした。どうして彼女が、私に説教することができるのでしょうか。そんな筋合いはありませんよね。

何といっても、初夜を迎えた婚約者を、彼女は私の知らないところで既に寝とっていたのですから。

「これが一体どういうことなのか、わかりやすく説明していただきましょうか？」

私は2人を睨みつけました。王子様を睨みつけるなんて、本来ならばいけないことなのでしょうが、そんな礼儀をわきまえている暇なんてありませんでした。私が貴族であるというプライドをかけて、これは一種の勝負だと思いました。それも、とびっきり重要で、命懸けの勝負でした。