11 / 27
その10 part1
しおりを挟む
「それで……この幻の空間って何なんですか???」
私がこう質問すると、男は呆れ顔で、
「本当に知らないのかい???」
と聞き返しました。
「ええ、本当に知らないのです。ですから、教えてください」
「やれやれ……でも、お前さんは本当にラッキーだよな。テレポートバグで、ここにやって来るんだからな。ここは本来、最上級レベルの魔法使いしか到達できないとされる、始まりの空間、そして、終わりの空間に通じるゲートなんだ」
「ゲート……ということは、ここは入り口なのですね???」
「ああ、そうだ。ここでもう一度、テレポートを試みる。さあ、私の手をしっかり握っているんだよ」
そう言って、男は私に手を差しのべました。
「あの……汚れてますけど???」
「ああ、気にすんな。それより、早くしないと置いていくぞ???」
置いていく……また一人になるのが嫌だった私は、言われた通り、男の少し汚い手を握りました。
「さあ、行くぞ!!!」
男が目をつぶった瞬間、私たちはまた新しい空間に到着しました。
「ここが、始まりの空間だ……」
男がそう言いました。でも、何もありませんでした。
「あの……ここで何が始まるんですか???」
「おいおい、お前さんには見えないのかい???仕方ないな。ほら、このグラスをかけてみろ」
そう言って、男は懐からグラスを取り出しました。私は男の言う通り、グラスをかけました。すると、不思議な空間に様変わりしました。無限に広がる空間の中央に大きな機械のような有機物が存在し、そこから人を模した赤ちゃんたちが流れてきました。そして、ハッチが開いて、赤ちゃんたちが空間の外へ運ばれていきました。
「始まりって……ひょっとして、命の始まりですか???」
「その通りだ。ここで、人間としての命が始まる。そして……母親の元に届けられる。母親は子を産む……そう言うわけだ……」
「なるほど……それで、おじいさんがここに来た理由は、何かあるのですか???」
「ああ、母親の元に届けられる前に、母親や、あるいはその家族が子供を意図的に殺すってことがあるじゃないか。そういった赤ん坊は、もう一回ここに戻って来るんだ。ほら、そこの一角にゴミ置き場みたいなのがあるだろう。そこに捨てられた赤ん坊たちが溜まっていくんだ……」
男の言っていることは非常に残酷でしたが、言っているとおり、暫くすると、外界から再び戻ってきた赤ちゃんたちが、溜まっていきました。
私がこう質問すると、男は呆れ顔で、
「本当に知らないのかい???」
と聞き返しました。
「ええ、本当に知らないのです。ですから、教えてください」
「やれやれ……でも、お前さんは本当にラッキーだよな。テレポートバグで、ここにやって来るんだからな。ここは本来、最上級レベルの魔法使いしか到達できないとされる、始まりの空間、そして、終わりの空間に通じるゲートなんだ」
「ゲート……ということは、ここは入り口なのですね???」
「ああ、そうだ。ここでもう一度、テレポートを試みる。さあ、私の手をしっかり握っているんだよ」
そう言って、男は私に手を差しのべました。
「あの……汚れてますけど???」
「ああ、気にすんな。それより、早くしないと置いていくぞ???」
置いていく……また一人になるのが嫌だった私は、言われた通り、男の少し汚い手を握りました。
「さあ、行くぞ!!!」
男が目をつぶった瞬間、私たちはまた新しい空間に到着しました。
「ここが、始まりの空間だ……」
男がそう言いました。でも、何もありませんでした。
「あの……ここで何が始まるんですか???」
「おいおい、お前さんには見えないのかい???仕方ないな。ほら、このグラスをかけてみろ」
そう言って、男は懐からグラスを取り出しました。私は男の言う通り、グラスをかけました。すると、不思議な空間に様変わりしました。無限に広がる空間の中央に大きな機械のような有機物が存在し、そこから人を模した赤ちゃんたちが流れてきました。そして、ハッチが開いて、赤ちゃんたちが空間の外へ運ばれていきました。
「始まりって……ひょっとして、命の始まりですか???」
「その通りだ。ここで、人間としての命が始まる。そして……母親の元に届けられる。母親は子を産む……そう言うわけだ……」
「なるほど……それで、おじいさんがここに来た理由は、何かあるのですか???」
「ああ、母親の元に届けられる前に、母親や、あるいはその家族が子供を意図的に殺すってことがあるじゃないか。そういった赤ん坊は、もう一回ここに戻って来るんだ。ほら、そこの一角にゴミ置き場みたいなのがあるだろう。そこに捨てられた赤ん坊たちが溜まっていくんだ……」
男の言っていることは非常に残酷でしたが、言っているとおり、暫くすると、外界から再び戻ってきた赤ちゃんたちが、溜まっていきました。
0
お気に入りに追加
674
あなたにおすすめの小説
大嫌いな令嬢
緑谷めい
恋愛
ボージェ侯爵家令嬢アンヌはアシャール侯爵家令嬢オレリアが大嫌いである。ほとんど「憎んでいる」と言っていい程に。
同家格の侯爵家に、たまたま同じ年、同じ性別で産まれたアンヌとオレリア。アンヌには5歳年上の兄がいてオレリアには1つ下の弟がいる、という点は少し違うが、ともに実家を継ぐ男兄弟がいて、自らは将来他家に嫁ぐ立場である、という事は同じだ。その為、幼い頃から何かにつけて、二人の令嬢は周囲から比較をされ続けて来た。
アンヌはうんざりしていた。
アンヌは可愛らしい容姿している。だが、オレリアは幼い頃から「可愛い」では表現しきれぬ、特別な美しさに恵まれた令嬢だった。そして、成長するにつれ、ますますその美貌に磨きがかかっている。
そんな二人は今年13歳になり、ともに王立貴族学園に入学した。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
逆行転生した侯爵令嬢は、自分を裏切る予定の弱々婚約者を思う存分イジメます
黄札
恋愛
侯爵令嬢のルーチャが目覚めると、死ぬひと月前に戻っていた。
ひと月前、婚約者に近づこうとするぶりっ子を撃退するも……中傷だ!と断罪され、婚約破棄されてしまう。婚約者の公爵令息をぶりっ子に奪われてしまうのだ。くわえて、不貞疑惑まででっち上げられ、暗殺される運命。
目覚めたルーチャは暗殺を回避しようと自分から婚約を解消しようとする。弱々婚約者に無理難題を押しつけるのだが……
つよつよ令嬢ルーチャが冷静沈着、鋼の精神を持つ侍女マルタと運命を変えるために頑張ります。よわよわ婚約者も成長するかも?
短いお話を三話に分割してお届けします。
この小説は「小説家になろう」でも掲載しています。
【完結】両親が亡くなったら、婚約破棄されて追放されました。他国に亡命します。
西東友一
恋愛
両親が亡くなった途端、私の家の資産を奪った挙句、婚約破棄をしたエドワード王子。
路頭に迷う中、以前から懇意にしていた隣国のリチャード王子に拾われた私。
実はリチャード王子は私のことが好きだったらしく―――
※※
皆様に助けられ、応援され、読んでいただき、令和3年7月17日に完結することができました。
本当にありがとうございました。
【完結済】冷血公爵様の家で働くことになりまして~婚約破棄された侯爵令嬢ですが公爵様の侍女として働いています。なぜか溺愛され離してくれません~
北城らんまる
恋愛
**HOTランキング11位入り! ありがとうございます!**
「薄気味悪い魔女め。おまえの悪行をここにて読み上げ、断罪する」
侯爵令嬢であるレティシア・ランドハルスは、ある日、婚約者の男から魔女と断罪され、婚約破棄を言い渡される。父に勘当されたレティシアだったが、それは娘の幸せを考えて、あえてしたことだった。父の手紙に書かれていた住所に向かうと、そこはなんと冷血と知られるルヴォンヒルテ次期公爵のジルクスが一人で住んでいる別荘だった。
「あなたの侍女になります」
「本気か?」
匿ってもらうだけの女になりたくない。
レティシアはルヴォンヒルテ次期公爵の見習い侍女として、第二の人生を歩み始めた。
一方その頃、レティシアを魔女と断罪した元婚約者には、不穏な影が忍び寄っていた。
レティシアが作っていたお守りが、実は元婚約者の身を魔物から守っていたのだ。そんなことも知らない元婚約者には、どんどん不幸なことが起こり始め……。
※ざまぁ要素あり(主人公が何かをするわけではありません)
※設定はゆるふわ。
※3万文字で終わります
※全話投稿済です
おじさんとショタと、たまに女装
味噌村 幸太郎
恋愛
キャッチコピー
「もう、男の子(娘)じゃないと興奮できない……」
アラサーで独身男性の黒崎 翔は、エロマンガ原作者で貧乏人。
ある日、住んでいるアパートの隣りに、美人で優しい巨乳の人妻が引っ越してきた。
同い年ということもあって、仲良くなれそうだと思ったら……。
黒猫のような小動物に遮られる。
「母ちゃんを、おかずにすんなよ!」
そう叫ぶのは、その人妻よりもかなり背の低い少女。
肌が小麦色に焼けていて、艶のあるショートヘア。
それよりも象徴的なのは、その大きな瞳。
ピンク色のワンピースを着ているし、てっきり女の子だと思ったら……。
母親である人妻が「こぉら、航太」と注意する。
その名前に衝撃を覚える翔、そして母親を守ろうと敵視する航太。
すれ違いから始まる、日常系ラブコメ。
(女装は少なめかもしれません……)
悪役令嬢は、いつでも婚約破棄を受け付けている。
ao_narou
恋愛
自身の愛する婚約者――ソレイル・ディ・ア・ユースリアと平民の美少女ナナリーの密会を知ってしまった悪役令嬢――エリザベス・ディ・カディアスは、自身の思いに蓋をしてソレイルのため「わたくしはいつでも、あなたからの婚約破棄をお受けいたしますわ」と言葉にする。
その度に困惑を隠せないソレイルはエリザベスの真意に気付くのか……また、ナナリーとの浮気の真相は……。
ちょっとだけ変わった悪役令嬢の恋物語です。
婚約破棄されたおっとり令嬢は「実験成功」とほくそ笑む
柴野
恋愛
おっとりしている――つまり気の利かない頭の鈍い奴と有名な令嬢イダイア。
周囲からどれだけ罵られようとも笑顔でいる様を皆が怖がり、誰も寄り付かなくなっていたところ、彼女は婚約者であった王太子に「真実の愛を見つけたから気味の悪いお前のような女はもういらん!」と言われて婚約破棄されてしまう。
しかしそれを受けた彼女は悲しむでも困惑するでもなく、一人ほくそ笑んだ。
「実験成功、ですわねぇ」
イダイアは静かに呟き、そして哀れなる王太子に真実を教え始めるのだった。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる