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「私は人民よりも宝石が欲しいの!」
「僕は宝石よりも人民が欲しいの!」
そんな二人の男女が絶妙なタイミングでクロスした時、世界は違った方向へ動き出す……。
女の名前はソフィーという。巨大帝国フィンガーの皇女であり、第132代皇帝である父親の寵愛を受けて育った。今まで女帝は存在しなかったのだが、父親はソフィーを第133代皇帝にするべく、画策していた。
男の名前はラスコーという。フィンガーを支える巨大財閥リッチーの御曹司であり、時期総裁候補と目されていた。
「お父様、私ね、皇帝なんか、そんなのどうでもいいんです。それよりね、お金がたくさん欲しいんです」
「お父様、僕はお金よりも、名誉が欲しいのです。絶対的な権威を手に入れて、世界を変えたいのです」
「うーん……困ったな……」
双方の父親は困り果てた。何とかして子供の願いをかなえることはできないだろうか……?
彼らは共に散歩が趣味だった。首都の庭と呼ばれる、特別な空間を散歩するのが日課だった。また、悩みごとを抱えると、散歩しながら考えるのがお決まりだった。
「ああっ、皇帝陛下!」
「おおっ、リッチー殿……」
二人は大抵どこかでばったりと会う。その度に悩みを打ち明けては、思わぬ解決策を発見し、二人とも満足する。
「お恥ずかしい話でございますが、私のせがれがですね、会社経営に興味が無いらしく、未来が心配なのですよ。金ではなく名誉が欲しい、なんて言っているので……」
「なるほど……実は私も娘のことで迷っているのです。私は娘を次の皇帝にしたいのですが、どうも本人にはその気がないようで……ああっ、子供というのは可愛いもので、常に親の手の届く範囲に収めておきたいと考えるものなんですね……でも、子供の考えを無視するわけにはいかないし……」
二人はしばらく立ち止まって悩んでいた。
「おやっ……そうだ、それがいい!」
「何かいいアイデアが浮かびましたか?」
「ええっ、ものすごく。そうです、これが娘たちの願いをかなえるのにちょうどいい!あなたのご子息と私の娘を婚約させましょう」
「婚約……私のせがれがですか?」
「そうです、それがいい!」
皇帝は一人で納得した。
「僕は宝石よりも人民が欲しいの!」
そんな二人の男女が絶妙なタイミングでクロスした時、世界は違った方向へ動き出す……。
女の名前はソフィーという。巨大帝国フィンガーの皇女であり、第132代皇帝である父親の寵愛を受けて育った。今まで女帝は存在しなかったのだが、父親はソフィーを第133代皇帝にするべく、画策していた。
男の名前はラスコーという。フィンガーを支える巨大財閥リッチーの御曹司であり、時期総裁候補と目されていた。
「お父様、私ね、皇帝なんか、そんなのどうでもいいんです。それよりね、お金がたくさん欲しいんです」
「お父様、僕はお金よりも、名誉が欲しいのです。絶対的な権威を手に入れて、世界を変えたいのです」
「うーん……困ったな……」
双方の父親は困り果てた。何とかして子供の願いをかなえることはできないだろうか……?
彼らは共に散歩が趣味だった。首都の庭と呼ばれる、特別な空間を散歩するのが日課だった。また、悩みごとを抱えると、散歩しながら考えるのがお決まりだった。
「ああっ、皇帝陛下!」
「おおっ、リッチー殿……」
二人は大抵どこかでばったりと会う。その度に悩みを打ち明けては、思わぬ解決策を発見し、二人とも満足する。
「お恥ずかしい話でございますが、私のせがれがですね、会社経営に興味が無いらしく、未来が心配なのですよ。金ではなく名誉が欲しい、なんて言っているので……」
「なるほど……実は私も娘のことで迷っているのです。私は娘を次の皇帝にしたいのですが、どうも本人にはその気がないようで……ああっ、子供というのは可愛いもので、常に親の手の届く範囲に収めておきたいと考えるものなんですね……でも、子供の考えを無視するわけにはいかないし……」
二人はしばらく立ち止まって悩んでいた。
「おやっ……そうだ、それがいい!」
「何かいいアイデアが浮かびましたか?」
「ええっ、ものすごく。そうです、これが娘たちの願いをかなえるのにちょうどいい!あなたのご子息と私の娘を婚約させましょう」
「婚約……私のせがれがですか?」
「そうです、それがいい!」
皇帝は一人で納得した。
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