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モブ令嬢

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「あなたは確か、キャシーさんではなかったかしら?」

少女を抱きかかえる姿に違和感を感じたのか、エミリーは私に話しかけた。

「あなたほどのご身分の方が、傷ついてまで子猫ちゃんを助けるだなんて、どう言う風の吹き回しかしら?」

エミリーは高笑いしていた。滑稽なのだろう。最高位の令嬢が38点なんてバカみたいな点数をとって、まともに婚約すらできないモブ令嬢があわれなのだろう。

「生憎さまね。あなたに同情される必要はないわ!」

「まあ、あなたも私に歯向かうつもりかしら?」

「そうね……人が傷ついてもなんとも思わない、そんなやつらのはびこる世界なんて、私たちにはいらないわね!」

「あなた、そっちから一体何を言っているのかしら?私にはさっぱりわからないわ」

「わからなくて当然よ。だからね、今その頭に叩き込んでやるわ。覚悟しなさい!」

別に昔から喧嘩好きと言うわけではなかった。ただ、無性に腹が立った。正義の楔を打ち込んでやろうと思った。
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