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その11

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「ツァイス様!!!」

侍従があわただしく部屋に入って来ると、ツァイスは壁画ペロペロタイムを急遽終わらせた。そして、いつものように威厳溢れる王子の風格に戻った。

「何かあったか?」

「はい、令嬢エリーナ様の事故の件でございますが……」

「なんだ、そんなことか。あーあっ……私にはもう興味のない話だ。エリーナのやつ、偉そうに貴族裁判を起こすんだって?勝手にやってくれって話だよ。逆にチャンスかもしれないな。知っての通り、エリーナの父親が所有している財産は莫大だ。エリーナが裁判に負けて、その上で、私が不敬罪か何かを追加すれば、お家潰しくらいはできるだろう。家族ごとみんなで遠くの田舎に引っ越してもらえばいいんだ。もちろん、財産は全部没収でな、そしたら、やつらの財産は全部私の物になる……ああっ、もちろん君たちにも少し分けてやるから……」

「ツァイス様!!!私の話をお聴きください!!!」

侍従の方が遥かに高潔で、威厳があった。

「……仕方がないな……それで、何だ?」

「あの事故で犠牲になった少女は、聖女クロルではございません!」

「……それは、どういうことだ?」

侍従は説明を始めた。
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